はじめに
ChatGPTがリリースされて以降、とんでもない勢いで関連サービスが拡大していますね。
そのひとつに、オリジナル AIチャットボットが作成できる! ってものがあり、すでに選択肢もいくつかある状況です。
まず私は、ChatPDF に手を付け、この使用感を確認した記事を note にアップしました。
私は、ChatPDF で、もう十分すぎる程、満足なのですが、巷では Chatbase を取り上げておられる方が多いので、ChatPDF と Chatbase を比較してみることにしました。
AIチャットボットを作成する作成サービスって?
現在話題の OpenAI社が開発した対話式のAI「ChatGPT」を利用した、PDFファイルをアップロードしたり、URLを指定するだけで、そのファイル(やURL)に関する質問に答える AIチャットボットを作成してくれるサービスです。
このAIチャットボットは、質問に合わせて言語を切り替えて回答します。例えば、英語の文書に対して日本語で質問すると、日本語で回答してくれます。
ChatPDF と Chatbase の価格は?
以下は、両者の無料プランの内容を表にまとめたものです。
ChatPDF | Chatbase | |
---|---|---|
データ制限 | 120ページかつ10MBまで | 40,000文字まで/チャットボットあたり |
使用制限 | アップロードは1日3つまで、質問は1日に50以内 | 質問は1ヵ月に30以内 |
備考 | ウェブサイトに埋め込むことができる |
テンポラリーとしての利用ならば、いずれもイケると思いますが、1ヵ月に数回利用すると考えた場合、Chatbase は、”質問は1ヵ月に30以内” という制限に引っかかるかもしれませんね。
ChatPDF は、無料範囲でもテンポラリーならある程度、Chatbase は、あくまでお試し使いという位置づけのように思います。
有料プランは以下を確認してください。
使い方
■ ChatPDF
1.以下のURLにアクセスします。
2.質問に答えてほしいPDFファイルをDrop PDF here にドロップするだけ!
■ Chatbase
1.以下のURLにアクセスし、アカウント登録します。
2.Built Your Chatbotをクリックします。
3.立ち上がったCreate New Chatbotページにて、アップロードするデータソース file,text,website のいずれかをクリックし、アップロードします。
手順はこれだけ。超簡単です。
私がアップロードしたファイルについて
私がアップロードしたのは、ある企業がCDPという団体に回答した気候変動に関するPDFファイルです。
近年、特に上場企業は、CDPと呼ばれるプロジェクトに参加し、目標を宣言した上でCO2を下げていかないといけない・・・ということになってきています。
CDPは、ざっくり言いますと、カーボン(炭素)をディスクローズ(情報開示)するプロジェクトです。もうすこし具体的には以下となります。
CDPは、英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)で、投資家・企業・国家・地域・都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営しています。
CDPは、気候変動・水セキュリティ・森林保全という3つの分野において、企業や自治体に対して質問書を送付し、その回答内容を公開しています。集計した回答内容は4段階のレベルで評価し、Aレベルを最高評価として企業や自治体の環境パフォーマンスに対するスコアリングを行っています。この評価は世界的な基準として認知されており、多くの投資家やステークホルダーが参考にしています。
私は、アップロードPDFは、NokiaのCDP回答書です。
なぜ、選んだか?といいますと、Nokiaが好きということもありますが、ページ数が100ページ近くあり、かつ英語だから・・・です。(アップロードしたPDFは 100ページ弱、約2MBでした。CDPサイト→Wordに展開、ページ数を120ページ以内に収めました。)
だって、こーゆー大量の文書の内容を読み取ったり、まとめたりするのは大変でしょ?!
ファイルをアップロードするだけでChatが起動!
■ ChatPDF
まずは、ChatPDF です。
アップロード後、わずか数秒後に以下のチャット画面が表示されました。
チャットの反応をみると、すでに文書全体のことを理解されている感がでちゃってます。
おまけに、質問例まで出してくれています。・・・なかなかやるな。
質問を投げてみる
提案された質問を利用するのは癪なので、ちょっと難しめのこと聞いてやれ!ということで、「気候変動に対する認識や方針」を投げかけました。
Nokia Groupは、気候変動に対して真剣に取り組んでいます。私たちは、持続可能な未来を実現するために、技術を活用して世界をより良くすることを目指しています。私たちは、CDP(Carbon Disclosure Project)への回答や、People & Planet 2021 reportなどの報告書を通じて、気候変動に対する取り組みやGHG排出量に関する情報を公開しています。また、私たちは高い透明性と責任ある行動を実践し、より生産的で持続可能かつ包摂的な世界の実現に向けて貢献しています。詳細は、「Combating climate change, pages 39-54 and Environmental data, pages 98-102」セクションをご覧ください。
・・・う~ん、返答がめっちゃまとも! どのページに情報があるかも示してくれます!
質問を立て続けに投げてみる
返答がはやい!
しかも、簡潔かつ正確なので、自らまとめるより、まとめてもらった方がよいと強く感じてしまいました。
よく似たことをすこしだけニュアンスを変えて質問してみる
以下の質問もしてみました。
質問1)の返答
Nokia Groupは、顧客やサプライヤーに対して、環境に配慮した取り組みを促進するための働きかけを行っています。私たちは、サプライチェーン全体で環境負荷を削減するための取り組みを推進しており、サプライヤーに対して環境マネジメントシステムの導入や省エネルギー技術の採用などを促しています。また、顧客に対しても、省エネルギー技術や再生可能エネルギーの利用など、低炭素社会の実現に向けた製品やサービスを提供することで貢献しています。詳細は、「Combating climate change, pages 39-54 and Environmental data, pages 98-102」セクションをご覧ください。
質問2)の返答
Nokia Groupは、顧客やサプライヤーとの関係を重視しています。私たちは、サプライチェーン全体で環境負荷を削減するための取り組みを推進することで、サプライヤーとの協力関係を強化しています。また、顧客に対しては、製品やサービスの提供だけでなく、環境に配慮した取り組みについても積極的に情報提供し、共感を得ることで長期的な信頼関係を築いています。詳細は、「Combating climate change, pages 39-54 and Environmental data, pages 98-102」セクションをご覧ください。
ニュアンスの違いも汲み取ってくれている!
すげーな。
出来がいいから、意見も仰いでみる
もう、あまりに出来がよいので、教えを乞うてみようと思います。
- 質問1)Assa Abloyは、気候関連対応と事業成長の両立が図れると思いますか?
- 質問2)これもやった方がよいというアドバイスがあればお願いします。
質問1)の返答
Nokia Groupは、気候関連対応と事業成長の両立が可能であると考えています。私たちは、環境に配慮した取り組みを推進することで、新たなビジネスチャンスを創出し、競争力を高めることができると考えています。また、内部炭素価格の導入や省エネルギー技術の採用などにより、コスト削減にもつながっています。詳細は、「Combating climate change, pages 39-54 and Environmental data, pages 98-102」セクションをご覧ください。
質問2)の返答
Nokia Groupでは、環境に配慮した取り組みを推進することで、ビジネスチャンスを創出し、競争力を高めることができると考えています。そのためには、以下のようなアドバイスがあります。
- 環境マネジメントシステムの導入や省エネルギー技術の採用など、環境に配慮した取り組みを積極的に推進すること。
- サプライチェーン全体で環境負荷を削減するための取り組みを推進し、サプライヤーとの協力関係を強化すること。
- 顧客に対しては、製品やサービスの提供だけでなく、環境に配慮した取り組みについても積極的に情報提供し、共感を得ることで長期的な信頼関係を築くこと。
- 内部炭素価格の導入や省エネルギー技術の採用などにより、コスト削減につなげること。
以上のアドバイスが参考になるかもしれません。詳細は、「Combating climate change, pages 39-54 and Environmental data, pages 98-102」セクションをご覧ください。
おそれいりました。(笑)
「私に問題を出してください」と伝えると、以下のように問題も出してくれます。
■ Chatbase
次は、Chatbase です。
アップロード後、わずか数秒後に以下のチャット画面が表示されました。
こちらは、ChatPDF よりシンプルな画面となっています。
画面上のMy Chatbotをクリックすると、以下のようにアップロードしたファイルがわかります。無料プランの場合、チャットボットはひとつだけという制限がありますので、別のファイルをアップロードする場合は これを一度削除しないといけないことになります。
質問を投げてみる
ChatPDF と同じ質問、「気候変動に対する認識や方針」を投げかけました。
返答内容は、ChatPDF とは少し異なっていました。
ゼネラルな投げかけということもありますが、最初の返答はすこしざっくりしていましたので、「もう少し詳しく教えてください」と再度投げかけています。
ChatPDF の返答は、気候変動に対する認識に重きがあり、Chatbase は、気候変動に対する方針や目標に重きをおいた返答になっていました。
あと、Chatbase では、チャット画面の下にSourcesが表示されます。
よく似たことをすこしだけニュアンスを変えて質問してみる
Chatbase にも、よく似たことをすこしだけニュアンスを変えた以下の質問をしてみました。
質問1)の返答
Nokia Groupは、顧客に対して、通信ネットワークで使用される製品のエネルギー消費量の削減、エネルギーおよび材料の効率化の向上、デザインから製造、納品、運用、廃棄までのチェーン全体での革新を促進することで、環境に配慮した取り組みを行っています。また、CSP(通信サービスプロバイダー)に対しては、Mobile Networksビジネスグループからの製品の購入によって引き起こされる炭素排出量の削減に取り組んでいます。さらに、企業にも環境や社会的な側面について働きかけています。
質問2)の返答
Nokia Groupは、顧客との関係において、90%以上の炭素排出量が顧客の通信ネットワークで使用される製品によって引き起こされることから、エネルギー消費量の削減やエネルギーおよび材料の効率化の向上など、環境に配慮した取り組みを行っています。また、Mobile Networksビジネスグループからの製品の購入によって引き起こされる炭素排出量の削減に取り組むため、CSP(通信サービスプロバイダー)との関係を重視しています。さらに、企業にも環境や社会的な側面について働きかけています。
こちらも、ニュアンスの違いも汲み取ってくれています。
ChatPDF の返答は、質問したことの全体感を伝えてくれている感があるに対し、Chatbase は、固有名詞や数値を絡め、すこし具体的に伝えてくれているなと感じました。返答のクセは少し違う感じです。
最後に
AIチャットボットサービスを使えば、読み進めるうえで生じる障害が抑えられる
文字数が多い文章は、把握・理解の上で、以下のような障害があります。
- 最初に方に読んだ内容は、メモを取る等していなければヌケてしまう。
- すでに読んだ箇所があとで気にかかった場合も、その箇所に戻るのは(しおり・マーキングなどしておかないと)至難だ。
- どの内容とどの内容が関連づいているか?は、これも、慎重かつ記録する等していないと難しい。
AIチャットボットサービスなら、上記のような人間的な障害はありませんね。
内容が想像できない文書の場合は、まずどんな文書かを尋ねてみよう
全く内容が想像ができない文書の場合は、何から質問すればよいかもわからない・・・ということもあるかもしれません。このような場合は、以下のような問いかけからはじめると、理解の助けになるでしょう。
AIチャットボットサービスに助けてもらえそうな場面
- 「操作が複雑で難しい機器」や「処理する工程が長い作業」等は、手順が膨大になりがち・・・操作や作業しながら質問を投げかけて返答もらったほうが理解が進みそう。
- 新人や中途社員の方に、「社内規定はココにあります。読んでおいてください。」と伝えるのは、伝えられる方も伝える方も酷 (笑)。「社内規定をAIチャットボットにアップロードしておいたから」の方がありがたい。
- これまで未知の法令や規格(特に海外)等の文書は、まずAIチャットボットに預けてから、ポイント絞ったうえで、詳細理解に進んだ方が効率がよさそう。
ChatPDF と Chatbase ならどっちがいいんだ?
無料で使うことを前提とすれば、制限の影響を受ける可能性が低いのは ChatPDF。
返答の質の甲乙つけがたいですが、ChatPDF は平たく返答してくれ、Chatbase は、固有名詞・数値を絡め、すこし具体的に返答してくれる印象。
双方、「より詳しく」という突っ込みを入れると、より詳しくフォローしてくれる。Chatbase は、初回回答がすこし薄めかもしれません。
AIチャットボットを使ってみて強く感じたのは、
- 文書は、順々に読み進めてゆくよりも、チャットしながら内容を把握したり、理解を深めたほうが絶対に効率的だ!
ということです。理解って双方向の対話の方が進むんだな ということをあらためて認識しました。
先輩や専門家とやり取りしているかの如く、確認しながら、内容の理解を深めてゆくことができるなというのは本当にありがたく、この利点の立場からは、ChatPDF か Chatbase かを選ぶのではなく、どちらとも対話したほうがいい(笑) と思います。