はじめに
Microsoft Build Day1のKeynoteはAzure AI Foundryのスタックの絵が繰り返し繰り返し登場したのが印象的でした。Copilot(副操縦士)という位置付けはやや存在感が薄れ、今後のエージェントによる変革が既定路線となるなかで、開発者をそして世界中の人々を支援しエンパワーするためにマイクロソフトが考えるAIへの取組みについてCEOが語り倒すという贅沢な基調講演で、聞いてるこちらとしては現地のナマの熱気と興奮にワクワクさせられつつも、来たるべきエージェンティックな世界観で開発者に求められる変化と責務の大きさに武者震いが出てしまう側面もありました。
Buildの発表内容は順次Book of newsに追加されており、日本語ニュースサイトでも紹介され、日本MS社員有志の皆さんによる最速レポート配信もありました。また、Keynoteのみ、すでにYoutubeでも視聴可能です。
サプライズゲスト
今年はOpenAIのサム・アルトマン、Grokのイーロン・マスク、NVIDIAのジェンスン・フアンがオンラインで登場しました。サム・アルトマンは発言が聞き取れなかったのでホテルに戻って動画を見てみたところ、たった三分ほどの会話なんですが印象深い内容だったので、私なりの抄訳を記載します。
サム・アルトマン対談パート(翻訳と強調は筆者)
サティア:
わたしたちは先週金曜にリリースされたOpenAI Codexに非常に興奮しています。サム・アルトマンをオンラインでお招きすることができ、光栄です。サム、ようこそBuildへ!
サム:
お招きいただきありがとう。
サティア:
開発者がソフトウェアエンジニアリングで使う様々な規格について聞かせてください。たとえばOpenAIはCLIに対応し、先週にはコーディングエージェントを発表しました。今後ソフトウェア・エンジニアリングがどのように進化していくのか、また開発者がこういった様々な規格をどのように使っていくのか、あなたの考えを聞かせてくれますか?
サム:
2021年のことだったと思いますが、私があなたと一緒にCodexの最初のバージョンをGitHubで開発したとき、私たちは「いつか本当のエージェンティックなコーディング体験が実現される日が来る」と話していましたよね。今それがついに目の前にあることに感銘を受けています。これはプログラミングに関すれば私がこれまで目にしてきた中で最大の変革だと思います。バーチャルな同僚に仕事をアサインできて、「これやっといて」とか、もっと進んで「これこれこういう大きなことを実現したいから数日間やってみて」みたいなことを言える、しかもそうした指示を並列に多数実行できる、バグ修正や新規機能開発やコードの解説とか、これは真の意味でソフトウェアエンジニアリングのタスク委譲といえると思います。もちろんまだ発展の余地はありますが、これは本当にすばらしい瞬間です。GitHubと深く連携して、環境とリポジトリにアクセス許可を与えて、驚くべきことを達成させることができますから。
サティア:
そうですね。開発者がフロー状態にとどまり、AIエージェントと人間の両方を同僚としてプロセスを加速させるのを目にするのはとてもすばらしいです。サム、今後のモデルロードマップについてすこしだけ教えてくれますか?
サム:
モデルは既にとても賢いですし、今後もより賢くなりつづけます。しかし今後はモデルの使用がより簡単になり、自動的に適切な結果を返すようになりますし、より信頼できるようになります。マルチモーダルやtool use連携といった機能もさらに強化され、「ただ動く」という状態に近くなっていきます。会話もできるし、複雑なコーディングもできるし、エージェンティックなタスクもできて、私は信頼して任せられる、人々は進化の早さに驚くと思います。
サティア:
ChatGPTはいま世界で最も大規模なステートフル・エージェンティックアプリケーションです。Codexもそうですよね。Buildに参加している開発者にむけて、かれらが大規模なステートフル・エージェンティックアプリケーションを開発していくために、先駆者としてアドバイスをお願いします。
サム:
最も対処が難しいのは変化のスピードだと思います。 モデルが2年前に可能だったことを思い出してみて、また2年後に可能となるだろうことを考えたとき、この驚くべき速さの進化を開発者がどのように開発計画に織り込んで、製品を開発していくのか。いかに新しいツールと新しいワークフローに全力を注ぐのか。歴史上を見てもこれほどのテクノロジーシフトは多くないですが、早期に全力を注いだものが報われてきたことは確かです。
サティア:
そのとおりですね。このBuildで強調していることのひとつも、アプリケーションサーバーによって開発者が最新のサンプルを取得しつづけるという…
サム:
この数か月間Codexに携わってきて非常に感銘を受けたことがあります。アーリーアダプターというのはいつも非常に少数なのですが、かれらが急速にCodexを一日中使い続けるようになり、かれらのワークフローを変革させ、同僚にくらべ驚くべき量の仕事をできるようになったんです。
サティア:
すばらしい。ありがとうございました。またBuildでお会いしましょう。
感想
"Leaning in early and hard has been very rewarded." 濃密なイベントですので、動画が配信されニュースサイトに記事が出てしまった後でも書きたいことは尽きません。これはBook Of Newsには載ってなかった情報ですが、近いうちにnotepad.exeでマークダウンが表示可能になるようです!