Microsoft Imagine Cup
Imagine Cupはマイクロソフトが年次開催している学生向けのAI起業コンテストです。優勝チームは賞金 $100,000 にくわえて、マイクロソフトCEOサティヤ・ナデラのメンターシップも受けられるとのこと。この Imagine Cup 、現在はファイナリスト Top3 チームまで絞り込まれていて、来週のMSBuildで優勝チームが発表される予定です。学生さんと侮るなかれ、これがなかなか各チーム興味深く、かつファイナリストの顔ぶれを見るとマイクロソフトのメッセージもうっすら伝わってくるような気がしてくるので、まとめてみました。せっかくなので去年分、2023年のTop3から。
2023年のトップ3チーム
チーム | 国 | 概要 |
---|---|---|
Eupnea | アメリカ | 咳の音声を3秒聞かせると結核リスクを80%の精度で判定。スキンテストの画像診断や治療のゲーミフィケーションも備える。利用は無料とし政府やNGOと契約する目論見。 |
CS-M Tool | タイ | スマホに聴診器を接続し心臓病リスクを97.6%の精度で測定。既存の医療機器にくらべ安価なので早期発見に有効。 |
TAWI (優勝) | ケニア | APD(聴覚情報処理障害)支援。音声を認識しスマホにテキストで表示。多言語対応、月額$5、既存のソリューションにくらべ84%安価。 |
感想
すべてのチームが「社会貢献」、ヘルスケアが2個と学習支援が1個。身のまわりの問題をAIで解決、というモチベーションは共通しているし、今現在のAI技術でも実現可能かつ既存のソリューションにくらべ安価、というスタンスも似ている。ヘルスケア2個はどちらも「病気のハイリスク群を早期発見」という、AIの精度が出なくても価値創出できる切り口を見つけてきた目のつけどころがすごい。いっけん堅実に見えるTAWIはAndroid 5でも動く後方互換性を謳っていて、これと低価格で幅広くリーチする戦略です。
2024年のトップ3チーム
チーム | 国 | 概要 |
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FROM YOUR EYES | トルコ | 画像認識と動画認識を98%の精度で高速に行う視覚障害者向けアプリと、企業向け画像処理API |
JRE | イギリス | 鉄鋼業向けAI制御システム。鉄鋼の連続鋳造におけるスラグ検知 |
PlanRoadmap | アメリカ | ADHD支援、タスク実行を支援するAIコーチ |
感想
なんというか、雰囲気が変わりましたね? 2023年のTop3は「学生らしさ」というか、世界を変えんとする情熱+フレッシュな着眼点+やや粗削りな面も、という共通項がありましたが、2024年はなんかガチになっちゃったというか、着眼点とかじゃなくて精度で勝負に来ちゃったかぁ、というか。ちょっと鼻白むところも正直ありつつ、でもまあ言われてみればこうやって資本のない若者が大企業と勝負できる点もソフトウェアの面白さでありAIによるエンパワメントの側面かもしれなくて、だいたい学生さんっていうけどAlexNetだって学生が作ったわけですしね。
2023年はChatGPTショックからのAI元年でした。2024年はどんな年になるんでしょうか? というと、マイクロソフトは「Go to Productionの年」にしたいのだと思います。PoCの年は終わりました。AIは未来の技術ではなく、すでに世界を変革しています。AIはあらゆる人をエンパワーする素晴らしい技術です。学生起業家たちがAzureを活用し素晴らしいソリューションを現実化し世界を変革しています。みなさんもAzureを活用して世界を変えましょう。わたしたちに手伝わせてください。そんなメッセージを感じました。
ということで2024年のImagine Cup優勝は PlanRoadmap になると思います!
⇒ 優勝はFROM YOUR EYESでした。おめでとうございます!