AWSアカウントのコスト削減のすゝめ
こんにちは
今回は、自分が実際に取り組んできた「AWSアカウントのコスト削減」について書いていきます。
先に言っておくと、この記事は魔法の銀の弾丸ではありません。
でも、現実的で、実行可能で、純利益に直結するアクションプランを提示できればと思います。
まずは金の価値を見直そう
「1,000ドル」があるとします。
これを、誰も使ってないリソースの維持に使うのか、
それとも、パフォーマンスがギリギリのDBのスペックアップに使うのか。
どちらが価値を生むかは、言うまでもないです。
AWSコスト削減の本質は、
「ただ節約する」じゃなくて「価値のあることにお金を使えるようにする」ことです。
コスト削減がもたらす副次的メリット
-
純利益の増加
=> 売上を伸ばすのは難しくても、コストはコントロールできる -
空いた予算で必要な投資ができる
=> 例:RDSのインスタンスサイズを上げてユーザー体験向上
=> 結果として、信頼性・安定性の向上につながる -
運用効率の向上
=> 不要リソースの削除により、管理対象が減る
=> 監視・アラートの精度向上
ただし、どこかで頭打ちは必ず来る
もしかしたら、この記事を読んでくださっている方のアカウントは
すでに最低ランニングコストになっているかもしれません。
それでも定期的にチェックしていれば、
「不要リソースが勝手に湧いてくる」問題に気づけます。
実際に取り組んだコスト削減アクション
まずは書き出す
以下のようにアクションを棚卸ししていきました。
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不要リソースの削除
- 未使用のEC2インスタンス
- 古いEBSスナップショットー
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CloudWatchログの保持期間見直し
- 本番環境:30日
- ステージング環境:7日
- 開発環境:3日
- 重要度に応じたS3へのアーカイブ
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Lambdaやバッチの処理方式変更によるコスト抑制
- バッチ処理の最適化
- 並列処理の導入
- タイムアウト設定の見直し
- メモリ割り当ての最適化
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RDSインスタンスの見直し
- Aurora Serverless v2 への移行
- インスタンスサイズの最適化
- マルチAZ構成の見直し
- バックアップ保持期間の調整
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S3のライフサイクルポリシー設定
- アクセス頻度に応じたストレージクラス変更
- 古いバージョンの自動削除
それぞれのアクションに「評価軸」をつける
これは自分の直属のマネジメントの先輩に教えていただいた、
マネジメント手法をコスト削減の実施計画に落とし込んだらうまく行ったのでこちらをお勧めします。
評価軸の考え方
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組織受入体制
- 高:関係者全員が受け入れることが可能
- 中:一部の関係者で調整が必要
- 低:大規模な組織内での調整が必要
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技術的容易性
- 高:設定変更のみ
- 中:コード修正が必要
- 低:アーキテクチャ変更が必要
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削減見込コスト
- 月間の削減額を想定
- 年間換算で判断
具体的な評価例
アクション | 組織受入体制 | 技術的容易性 | 削減見込コスト(月) | 備考 |
---|---|---|---|---|
CloudWatchログ保持期間見直し | 小 | 高 | $100〜$300 | 影響範囲が限定的 |
RDSインスタンスのダウンサイジング | 中 | 中 | $500〜$1,000 | パフォーマンス確認必須 |
未使用EC2の削除 | 高 | 高 | $1,000〜$2,000 | 即時効果あり |
S3ライフサイクルの設定 | 小 | 中 | $50〜$150 | 段階的実施可能 |
バッチ処理をLambda + S3に置き換え | 低 | 低 | $300〜$500 | 長期プロジェクト化 |
優先度のつけ方
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組織受け入れが高くて、技術的にも簡単、かつ効果がある
=> 最優先。即やる。- 未使用EC2の削除
- 古いEBSスナップショットの削除
- 未使用のElastic IPの解放
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組織の調整が必要 or 難しいけど効果がでかい
=> プロジェクト化して進める。- RDSインスタンスの最適化
- バッチ処理の再構築
- マルチAZ構成の見直し
-
難しい上に効果も薄い
=> 今はやらない。メモだけ残す。- マイクロサービス化によるコスト最適化
- リージョン間のリソース再配置
この判断軸をもとに優先順位をつけて、実施計画を作成しコスト削減を実施しておりました。
実際の効果
この方法で自分は数千万円の年間コストを削減しております。
リソースを削ることに抵抗がある、コスト削減に対して不安がある組織でも、
「数値」と「難易度」と「インパクト」が整理されていれば、説明しやすいし、実行しやすいです。
最後に
AWSのコストは放っておくと勝手に増えます。
だからこそ、「見える化と評価」がとても大事です。
定期的なコストレビューと、継続的な最適化の仕組みを作ることで、
長期的なコスト管理が可能になります。
この記事が、あなたのAWSコスト削減の一歩目になれば嬉しいです。