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コミュニティ・デザイン・アンチパターン

Last updated at Posted at 2015-12-10

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ここ数年、いろいろな地域のシビックテック的なコミュニティ活動のお手伝いに関わらせて頂いたり、話をお聞きしたりしてきました。その中で感じたコミュニティ立ち上げ時期のうまく行かないパターンを列挙してみます。総じてやり過ぎはよくないようです :smirk:

1.民主的にやりすぎる

  • 民主的な運営は大事なことですが、あまりに関係者を広げすぎ、参加者を受け入れすぎ、みんなの意見を聞きすぎるとやりたいことが人の数だけ増える一方で、いつまでたってもオリエンテーションと勉強会から先に進めません。もちろん、それ自体を目的としている組織があっても良いと思いますが、通常は具体的なアクションに取り組まないと次第に求心力が薄れてきます。
  • 少ない人数と凝縮された意志の方が行動を起こすという点においてはやりやすいと思います。

2.大きな課題に取り組みすぎる

  • 社会的な課題はいろいろありますが、課題を解決するにはまず誰にとっての課題を解決しようとしているのかを理解しておく必要があります。
  • 例えば高齢化問題とひと口に言っても、自治体にとっての課題なのか、自分の肉親のことなのかで解決策の切り口は違ってくるはずです。
  • シビックテック的な切り口として、自らの市民目線で共感したり検討できる身近で切実な課題に取り組んだほうが、良い結果が出やすいように思います。もちろん、専門的な知見をお持ちの方は、より大きな課題に取り組むことも可能だと思います。

3.事例をとりあえず横展開してしまう

  • 他地域でうまく行った事例を横展開するのは立ち上げ時期のコミュニティにとっては手軽に取り掛かれますし学べることもたくさんありますが、どういうところが良いのかをあまり考えずにやみくもに真似てしまうと、何のためにやったのかよく分からなくなることがあります。
  • 例えば5374.jp の横展開は、とりあえず作ってみました、で終わらせるには勿体なさ過ぎます。グッドプラクティスのどういうところがグッドなのかをじっくり考えてみると良いと思います。
  • ちなみに私の考える5374.jp の良いところは、githubを使ったことの無い人が「こんなに簡単に自分でもやれるんだ」と感動してシビックテックの楽しさに目覚めたり、オープンデータの考え方に触れてみたり、作ったアプリを自治体の方に見てもらって「わが町のゴミ出し情報をPDFではなくCSVで出してもらえればこんなことができますよ」といった具合に自治体とコミュニケーションを始められる(市民参画の第一歩になる)、といった点だと思います。

4.組織を作り込みすぎる

  • オレの組織を作ったり、とりあえず代表とか理事とか役職を決め/就きたがる場合がありますが、代表はよくも悪くも組織のカラーに大きな影響を与えますので、早い者勝ちではなく慎重に決めるべきです。まぁ、最初は勢いで決めても良いけど、民主的な手続きで選び直せるようにしておくべきだと思います。特定の代表をあえて決めていないCode for Aizu や代表月替り制のCode for Nagoya といった興味深い試みもあります。
  • シビックテックとは何かという定義が現時点で明確にひとつ存在している訳ではありません。そういう状態では箱(組織)を作ることよりも目的意識を合わせたり、まずは何か活動をしてみることを優先した方が良いと思います。 自分たちのやりたい活動がどういうことなのかがある程度見えてきてから、その活動をやりやすい組織を後付けで作るくらいでも十分ではないかと思います。
  • 新しい酒には新しい革袋と言いますが、前例のないことをやろうとしているところに既存の体制やスキームを持ち込んでもなかなかうまく行きません。いつもの枠組みで、今度はシビックテックやってみようか的な取り組みだと取り組みは始めやすい反面、何のためにやっているのか目的がぼやけてしまいだんだん活動を続けることが試練のようになってくる場合があります。
  • 理念を共有するための組織の方針とかルールづくりも大事ですが、それも程度問題です。最初は必要最低限で良いのではないでしょうか。本当に重要なことはさほど多くは無いと思います。

5.多様性を機械的に重視する

  • 多様性を語る際によく男女比率を持ち出す人がいます。確かに明らかに違う属性を強制的にサンプリングするのは、平等性を担保する必要のある公共機関などでは意味があるかもしれません。
  • しかし私たちは公平性を担保する必要のある公共機関などではありません。男女比率はある程度参考にはなるかもしれませんが、それが目的ではなく(たまたまの)結果だと思うのです。多様性が重要だとする意図は、様々な考え方やスキルやネットワークを持った人がいると活動に幅が出る、ということではないでしょうか。とりわけ異なるネットワークをつなぐハブとなる人物の存在が重要です。似たような人たちだけでなく、ネットワーク的に遠い距離にいる人たちが集まるとわくわく感も高まります。

6.きっちりやろうとしすぎる

  • 社会課題の解決とは言ってもその活動はストイックである必要は全くありません。お菓子を食べながらワイワイ議論して、ダメモトでわくわくすることにチャレンジしてもらいたいと思います。イノベーションは突拍子の無い組み合わせから生まれます。

7.最後に

  • この記事は、シビックテックをテーマにした、「Civic Tech Advent Calendar 2015」企画の7日目の原稿です。他の記事は一覧から見られるようになっており、日ごとに記事が増えていく予定です。ぜひ、ご覧ください。
  • カレンダー7日目にエントリーしていながら、投稿が遅くなりました。内容がイマイチこなれておらず、的外れの内容もあるかもしれないと不安なのですがとりあえず公開してみます。
  • 自分の経験などを元にしていますが、特定の組織や個人に対しての意見ではなく、抽象化した試論、私見です。

画像の出典:Crossroads: Success or Failure/Chris Potter/CC BY 2.0

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