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OpenStreetMapAdvent Calendar 2016

Day 14

OSM日本のマッピング状況を県別に比べてみた

Last updated at Posted at 2016-12-13

都道府県別OSMマッピング状況表

統計はクエリなどを仕込んで自動的・継続的にやるのがベストですが、技術のない私が他力本願で待っていてもなにも起きないので、人力でできることにチャレンジしてみました。その結果がこちらの都道府県別OSMマッピング状況表。元にした情報は全てリンクされているので再利用や改変はどうぞご自由に。

都道府県別OSMマッピング状況01.png
閲覧権限だとフィルタ機能が使えないようなので、昇順/降順に並べ替える場合はコピーしてお使いください。

表の説明

1行目にデータソースや計算方法を書いています。

A-D列: ウィキデータより取得
E-F列: OSM Analyticsというツールより都道府県のポリゴンを指定して取得
G列: 国交省による道路統計(国・自治体が管理する道路の都道府県別の延長距離。ただしOSMでいうresidential以下の道路は含まない)
H列: 今回作成した、道路用の「指標1」。1平方キロあたり、何キロの距離の道路(highway = * )がOSMでマッピングされているか、いわば道路の密度を示します。一般的に都市部では道路密度は高く、農山漁村部では低いので、この数字がそのままOSM道路マッピングの達成度を示すものでは無い、という点には注意が必要です。
I列: 今回作成した、建物用の「指標2」。人口10人あたりのOSMで書かれた建物数を表します。建物数はある程度人口に比例すると思われるため、都道府県ごとのOSM建物マッピング度合いの比較の目安にはなりそうです。問題は全体でどれだけ建物を書けば完了なのかがわからないことですが、estatの平成25年住宅・土地統計調査に総住宅(人が住める建物)数が6063万戸とあり、セルF2にある日本OSM全体での建物数(住宅&それ以外)が約490万件なので、日本全体でみて少なくとも総住宅数の1割以下しか書けていない、というところかと思います。
J列: 今回作成した、道路用の「指標3」。国や自治体が管理する道路の総距離数を分母として、OSMで描かれた道路の距離数の比率を表したもの。OSMではYahoo/ALPSインポートをベースに、住宅街の道路や山道なども描かれているので、既に大半の自治体では国や自治体の管理道路の総距離数を上回っています。最終的に何km描けば道路マッピング完了なのかということまではわかりませんが、都道府県の横並び比較の目安にはなると思います。

順位比較

あくまで簡易に取得できるデータで勝手にやっているものなので話題提供程度に軽くとらえてください。ご指摘・改変はウェルカムです。

指標1) OSM道路密度ベスト10

都道府県別OSMマッピング状況11.png
上位に来ているのはやはり大都市を持つ都道府県ですね。香川、佐賀のあたりはやや意外な感じがしますが、なんとなく新旧のアクティブなマッパーが思い浮かびます ;) もしかしたら道路のコンプリート率は他と比べて高いのかもしれません。

指標2) 人口10人あたりのOSM建物数ベスト10

都道府県別OSMマッピング状況12.png
おっと、クライシスマッピングで噂の鳥取が1位です。コメントは差し控えさせて頂きます。福島は皆さんご存知破壊力のあるマッパーが複数おられるので順当かな。山梨は意外でした。北海道は広くて大変だと思いますが、ポツリポツリとアクティブなマッパーさんがおられますね。徳島も頑張っていますね。熊本はクライシスマッピング関連でしょう。静岡は最近アクティブな方が多いのと、オープンデータのインポートが効いていそうです。福井も以前のオープンデータインポート効果かな。広島はスーパーアクティブなマッパーさんが人力で頑張っておられる姿が目に浮かびます。ご無沙汰しておりますがお元気でしょうか。大分は意外でしたがクライシスマッピングの影響なのかな。

指標3) 国・自治体管理道路の総距離に対するOSM道路距離の比率ベスト10

都道府県別OSMマッピング状況13.png
こちらでも神奈川がトップです。国や自治体管理の道路の約2.4倍の道路が書かれているということになります。Yahoo/ALPSインポートをベースに、更新したり、それ以外の住宅道路や山道を書くマッパーが多そうな気はします。静岡はこれもインポート効果かなぁ。京都はコミュニティ活動がさかんでコンプリートした自治体もありますので順当なとこでしょうか。

この比較表の作成手順

以下は参考までに上記表の作成手順です。

まずは都道府県の基礎情報から

人力では1800自治体は手にあまるので47都道府県をベースにします。47都道府県のコード、名称、人口、面積を基礎情報に使います。このような情報は日本じゅうでおそらく150万人くらいの人が探した経験があると思いますが(てきとう)私はCC0のwikidataから抜いてきます。(実はこれを言いたくてこの記事を書いた、、かも)

ウィキデータのサイトにアクセスして左メニュー中段あたりの「Query Service」を選び
WikidataQS.png

以下のようにクエリを書きます。サンプルを真似ればこれくらいはカンタンです。
Wikidata Query Service01.png
2400万件の項目の中から
・「分類」というプロパティに「都道府県」という値を持ち
かつ
・「国」というプロパティに「日本」という値を持つ項目
を抽出し、そこから「地方公共団体コード」「項目名称」「人口」「面積」などのデータを出力する
といった内容が記述されています。なんとなく分かりますよね。暴走を懸念して抽出件数は100件を上限としています。

「実行」ボタンをクリックすると必要な項目が抽出できました。
Wikidata Query Service02.png
東京都が2件あるのは、人口が履歴で2件あるためです。ウィキデータでは人口や歴代首長といった複数の値を持つプロパティについては「推奨」「通常」「非推奨」のランク付けをすることができ、最新のデータには「推奨」ランクを付けます。
値が複数ある場合は推奨ランクの値だけを抽出する、というクエリをちゃんと書けば1件だけ抜けるはずなのですが、私にはその記述がよくわからないので、抜いた後で不要なデータを消すことにします。

地方公共団体コードで昇順にソートして「ダウンロード」から「CSV」を選びます。
QS03.png

ダウンロードしたCSVファイルから「地方公共団体コード」「label(都道府県名)」「人口」「面積」を別シートに貼り付けて表のベースにします。
wikidata01.png

OSM道路距離と建物数

OSM Analytics というツールを使います。ツール説明のWiki記事はこちら
OSMA.png

左上の検索窓で都道府県名を入れるとおおよそのポリゴンを自動生成してくれますが、粗かったり離島が網羅されないことがあるので、その場合は次のように手動でポリゴンを追加・作成します。
対象地域に移動し、上部中央の「Outline Custom Area」をクリックすると矩形の枠が出てくるので、白丸(頂点)またはグレーの丸(中間点)をドラッグして対象エリアに合わせたポリゴンを描きます。
OSMA01.png
なお、グレーの丸をクリックすると白丸になり、白丸をクリックすると削除できます。

ポリゴンを描き終わると、そのポリゴン内のBuilding(建物)の数が左下部に表示されます。下記では799,994件になっています。
OSMA02.png
右上の「Buildings」をクリックして「Roads」に切り替えると道路の距離数が表示されます。
OSMA03.png

さいごに

この比較表はCC0で公開しますので、不十分なところがありましたらぜひコピーして改良してみてください。
都道府県別OSMマッピング状況表

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