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ウィキデータ語彙素(Lexeme)の紹介-2 動詞の登録

Last updated at Posted at 2020-04-11

著作権保護期間満了の辞書の中から「大日本国語辞典」を選んで、私なりのやり方で実際に登録してみます。お気づきの点などありましたらコメント欄でご指摘頂けると嬉しいです。

現代人から見ると古典的な記述が多く見られます。まずは国語辞典から始めたいので、適宜読み替えながら登録してみます。

1 見出し語を選ぶ

「大日本国語辞典」の中から動詞の「起く」を選んでみます。

口語体では「起きる」という見出しになります。

2 未登録チェック

すでに登録されていないか確認します。右上の検索窓で「L:起きる」と入力して検索。

登録済みでした。

既存の語彙素「起きる」を選んで未登録の属性を追記することにします。
なお、新規作成は画面左パネル上部寄りの「語彙素の新規作成」から行います。

3 共通属性の登録


・読み仮名:「おきる」
・修正ヘボン式ローマ字表記(ローマ字):okiru
・発音(音声ファイル):Lingua Libreを利用すると簡単にコモンズに登録して、その音声ファイル名を使用できます。(詳細は別途紹介予定)
・IPAによる発音表記:okirɯ(「日本語の音素と音声の対応」から転記していますが簡易的なもののようなので詳しい方はコメント頂けると幸いです。)
・IPA点字:⠊⠣⠙(「Unicode点字変換」を利用させてもらいました。)

4 語義の登録

「大日本国語辞典」の語義を現代文に読み替えます。
語義1)伏したるより立ちあがる。→寝た状態から立ち上がること。
語義2)眠り覚む。寝所より出づ。→眠りから覚めること。寝床から出ること。
語義3)うつし心になる。気がつく。→現実に返る。気がつく。(古語)
語義4)うかびいづ。浮く。→浮かび出る。浮く。(古語)

「語義を追加」をクリックして追加します。

・言語:「ja」または「日本語」と入力すると自動補完してくれます。
・注釈:用意した語義を入力します。

右寄りの「+追加」で
典拠:大日本国語辞典
という文を語義に追加し、さらに「情報源を追加」をクリックして出典に関する情報を入力します。

古語については
言語変種:古語法
という文を語義に追加して表現します。

このように読み替え(翻案)したものへの典拠や情報源の付け方は不要、あるいはもっと良いやり方があるかもしれませんが、ひとまずオリジナルの出典を付けるやり方としました。

5 文例の登録

語彙には、その用例があると理解しやすくなります。「大日本国語辞典」の用例はほぼ古典のため現代人にはわかりづらいので、せめて近代以降の文例を探します。利用対象として、著作権保護期間内の辞書以外で引用の範囲であればほぼ問題ないのですが、ここでは青空文庫を全文検索して探しました。

語義1に相当する文例)

この地面のうちでは寝るとも起きるとも勝手にせよ(夏目漱石「草枕」)

語義2に相当する文例)

早く床につき早く起きることは、人を壮健、富裕、賢明ならしむ(佐々木邦「朝起の人達」)

共通属性欄で、語義と語形を示して登録します。

語義と語形については該当する「L番号-枝番」を指定すると、自動的にその値に置き換えられて表示されます。

これで「起きる」に属性をいくつか登録できました。

(つづく)

ウィキデータ語彙素(Lexeme)の紹介-1

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