渋谷の小さな植物園が閉鎖予定という話を知り合いから聞いてiNaturalistのことを思い出したのでウィキペディアで使える画像としてご紹介します。
概要
iNaturalistは市民科学の分野ではお手本のようなよくできた仕組みで、市民が身の回りの生き物や植物を写真に撮ると、スマホ上で画像解析により類似度の高い生物/植物名の候補が表示されるのでその中からひとつ選ぶか自分で名前を指定して投稿します。
するとその写真を見た別の参加者がそれはこちらの種じゃないか、ということで変更を提案してくれ、それに賛成するかどうか反応しながら時間とともに生物の同定の精度が上がっていく仕組みです。
写真には位置情報が付いているため、結果として世界中の生物の分布がリアルにわかることになります。
下記はiNaturalistサイトで「ニホンザル」で検索した生物の写真の投稿状況ですが、青森から屋久島まで、広く撮影されています。
「ゴーヤ(ニガウリ)」で検索してみると日本は意外と少ししかありません。珍しくもないので撮影する気にならないということでしょうか。日本以南では多くの国々で栽培されている様子が窺えます。
ユーザー登録後、PC向けのウェブ画面右上で
「アカウント設定>コンテンツの表示」から自分が投稿する写真のライセンスを選ぶことができ、
CC0/CC BY/CC BY-SAのいずれかを選んだユーザーの写真は誰でもそのライセンスに従って二次利用でき、コモンズにアップすればウィキペディアでも使うことができます。(デフォルトはCC BY-NCです。自分の写真をコモンズにアップして自由に使ってもらいたい方は、ここでCC0/CC BY/CC BY-SAのいずれかに切り替えてください。)
各ユーザーが選んだライセンスは画像下部に表示されます。
ライセンス別の写真の探し方
探索ページからフィルターで、他の様々な条件と合わせてライセンスを指定します。
コモンズへアップロードする際の記述
iNaturalistからコモンズにインポートされた画像は「Category:Media from iNaturalist」というカテゴリにあります。
例えば下記画像のページを選んで
編集モードで開くと以下のように記述されています。
== {{int:filedesc}} ==
{{Information
|description={{en|''Abablemma bilineata''}}
|date=2018-05-11
|source=https://www.inaturalist.org/photos/18030813
|author=[https://www.inaturalist.org/users/22589 Sam Kieschnick]
|permission=
|other versions=
}}
{{Location|26.0531119061|-97.848005565}}
{{iNaturalist|12491657}}
{{iNaturalistReview |status=pass |author=sambiology |sourceurl=https://www.inaturalist.org/photos/18030813 |archive= |reviewdate=2021-11-19 |reviewer=INaturalistReviewBot |reviewlicense=Cc-by-4.0 |reason=sha1}}
[[Category:Abablemma bilineata]]
[[Category:Uploaded with iNaturalist2Commons]]
== {{int:license-header}} ==
{{cc-by-4.0}}
目的の画像をiNaturalistからダウンロードし、アップロードウィザードで適宜コモンズにアップした後に、この記述を参考におおよそ以下のようにiNaturalist上の情報を転記します。
source欄:出典としてiNaturalist上の画像ページのIDを含むURL(下記④)
author欄:作者としてiNaturalist上の投稿者アカウント名を含むURL(下記③のリンク先)を①の帰属表記名付きで記述
{{iNaturalist}}テンプレート:⑤のリンク先「https://www.inaturalist.org/observations/12491657 」にある観察IDを元に{{iNaturalist|12491657}}のように記述
ライセンス:②を元に{{cc-by-4.0}}のように記述
補足
生物は私のような素人が使う一般名で探すだけなら分かりやすいのですが、分かりやすい一般名が見つけづらい生物はザラにあり、その場合学名やタクソンで対象を探すのは素人にはなかなか厳しいものがあります。対象を探したり、インポート時の記述を自動登録するための支援ツールがいくつか開発されているのでコモンズのiNaturalistページなどをご参照ください。
iNaturalistそのものの活動も生物や植物に関心のある方にとっては興味深いものではないでしょうか。よろしければアプリの方もお試しください。ウィキペディア・タウンならぬウィキペディア・フィールドみたいなこともできるかもしれませんね。運営資金はウィキペディアと同様に寄付などで賄われているようです。
関連情報
- iNaturalistウェブサイト
- iNaturalistウィキペディア日本語版記事
- iNaturalistアプリ(iPhone)
- iNaturalistアプリ(Android)
- コモンズのiNaturalistページ
- ウィキデータの生物多様性プロジェクト
画像の出典:iNaturalist/ウィキメディア・コモンズ