以下の内容は、JDLA Generative AI Test 2023を受験するにあたり、JDLA「生成AI利用ガイドライン第1版」より、ガイドラインのタイトルと注意すべき内容を、個人的にまとめた内容です。
JDLA Generative AI Test 2023の内容については、シラバスを確認の上、学習をお願いします。
JDLA Generative AI Test 2023については、以下を参照ください。
https://www.jdla.org/certificate/generativeai/
シラバスについては、以下を参照ください。
https://www.jdla.org/certificate/generativeai/#toc4
JDLA「生成AI利用ガイドライン第1版」については、資料のダウンロードや簡易解説付の資料も公開されていますので、以下のリンクより、ご確認ください。
https://www.jdla.org/document/#ai-guideline
ガイドライン例(東京大学の生成AIについて)
https://utelecon.adm.u-tokyo.ac.jp/docs/20230403-generative-ai
ガイドラインの内容
1.ガイドラインの目的
2.ガイドラインが対象とする生成AI
→ ホワイトリスト方式で指定することをお勧めする。
3.生成AIの利用が禁止される用途
→ 利用機関によって禁止される用途を指定する。
4.ガイドラインの構成
5.データ入力に際して注意すべき事項
(1)第3者が著作権を有しているデータ(他人が作成した文章など)
・他人の著作物を入力するだけの行為は、著作権法30条の4「情報解析」
「非享受利用」に該当すると思われるため、著作権侵害のリスクは
かなり低い。
・プロンプトエンジニアリングのために、ユーザが自社サーバ内や
生成AIサービス事業者のサーバ内に、他人の著作物を蓄積する行為を
行うことについても、「必要と認められる限度」の行為であれば
著作権法30条の4により適法ではないかと考えられる可能性はある。
ただし、「必要と認められる限度」を超える場合は、著作権法
30条の4は適用されず、著作権侵害に該当する可能性がある。
(2)登録商標・意匠(ロゴやデザイン)
・生成AIにロゴやデザインを入力する際は、登録商標・意匠の調査の
必要性は乏しいが、その後の生成物を利用する場合には調査が必要
である。
(3)著名人の顔写真や氏名
・著名人の顔写真や氏名を生成AIに入力する行為は、当該著名人が
有しているパブリシティ権の侵害には該当しない。
ただし、生成AIを利用して生成された著名人の氏名、肖像などに
ついては、それらの氏名や肖像などを商用利用する行為は
パブリシティ権の侵害に該当する。
(4)個人情報
・個人情報を生成AIに入力する行為が適法か否かは、該当生成AIない
での出――たの取り扱いや当該サービス提供者が外国にある事業者
なのかによっても結論が分かれ、非常に複雑である。
そのため、本ガイドラインでは一律、個人情報の入力を禁止に
している。
(5)他社から秘密保持義務を課されて開示された秘密情報
・監視目的での限定されたアクセスしかしない、または
一切アクセス、保存しない場合で、かつ、組織が機密情報の
利用目的として定められている目的のために生成AIに秘密情報を
入力して分析・生成する行為は、NDAには違反しない。
一方、大規模言語モデル(LLM)の多くは入力データが学習に
利用されるので、NDA違反を構成する可能性が高い。
そのため、本ガイドラインでは一律、入力を禁止にしている。
(6)自組織の機密情報
・社内の機密情報(ノウハウなど)を生成AIに入力する行為は
何らかの法令に違反するということではない。
しかし、機密情報が法律上保護されなくなったり、特許の出願が
できなくなったりしてしまうリスクがある。
そのため、本ガイドラインでは一律、入力を禁止にしている。
6.生成物を利用するに際して注意すべき事項
(1)生成物の内容に虚偽が含まれている可能性がある
・大規模言語モデル(LLM)の原理は、「ある単語の次に
用いられる可能性が確率的に最も高い単語」を出力することで
もっともらしい文章を作成していくもの。
そのため、書かれている内容には虚偽の内容が含まれている
可能性がある。必ず、根拠や裏付けを自ら確認するようにする
必要がある。
(2)生成物を利用する行為が誰かの既存の権利を侵害する可能性がある
・著作権侵害
→ 生成物が既存の著作物と同一・類似している場合は、著作権の
侵害に当たる場合がある
そのため、以下の留意事項を遵守してください。
・特定の作者や作家の作品のみを学習させた特化型AIは利用しない
・プロンプトに既存著作物、作家名、作品の名称を入力しない
・生成物を利用する場合は、生成物が既存著作物に類似しないかの
調査を行う。
・商標権、意匠権侵害
→ 画像生成AIにて生成した画像や文章生成AIにて生成したキャッチ
コピーは、他者が権利を持っている登録商標権や登録意匠権を
侵害する可能性がある。
・生成物が既存著作物に類似しないか、登録商標・登録意匠の調査
する。
・虚偽の個人情報、名誉毀損など
→ 個人に関する虚偽の情報を生成する可能性がある。
そのため、個人情報保護法違反(法19条、20条違反)や名誉毀損
信頼毀損に該当する可能性がある。
(3)生成物について著作権が発生しない可能性がある
・仮に生成物に著作権が発生していないとすると、生成物は基本的に
第3者に模倣され放題になる。そのため自らの創作物として権利の
保護を必要とする個人や組織にとっては大きな問題になる。
著作権は、人間の「創造的寄与」があるかが論点となるため、生成物を
そのまま利用することは極力さけ、できるだけ加筆・修正する
→ 画像生成AIの場合
自分の意図通りに高画質の画像を生成するために、以下の内容を実施
した場合は「創作的寄与」があるとして、それらの行為を行った人間を
著作者として著作権が発生する。
・詳細かつ長いプロンプトを入力して画像を生成した場合
・プロンプト自体の長さや構成要素を複数回試行錯誤する場合
・同じプロンプトを何度も入力して複数の画像を生成し、その中から
好みの画像をピックアップする場合
・自動生成された画像に人間がさらに加筆・修正をした場合
→ 文章生成AIの場合
何らかのリサーチ結果、アイデアや回答を得た場合、それらの出力には
著作権が発生しないということになりそう。
(4)生成物を商用利用できない可能性がある
・この論点は、利用する生成AIの利用規約により、結論が左右される。
(補足)
・ChatGPTは生成物の利用に制限がないことが利用規約に明記されている
ので、この点は問題にならない。
・画像生成AIであるMidjourneyの場合、無料会員が生成した画像の著作権は
いったん無料会員にAI生成物の著作権が貴族した後、Midjourneyに当該
著作権が移転し、そのうえで、Midjourneyは、当該AI生成物を創作した
無料会員に対して、CC4.0NCの下、ライセンスをすることになっている。
そのため、無料会員は当該AI生成物を商用利用することはできません。
(5)生成AIのポリシー上の制限に注意する
・生成AIにおいて、上記のリスク以外にも、サービスのポリシー上独自の制限を
設けていることがある。
・消費者向けコンテンツを作成して提供する場合にはAIが使用されていることと
その潜在的な限界を知らせる免責事項をユーザに提供する必要があることも
同ポリシーには明記されている。
・AIを利用した生成物であることを明示することなどが定められているなど
以上