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誰でも楽しく法律が読める《法令.app》というWebアプリを作っています。

Qiitaの更新をせずに、デバッグや「自動データ更新」のスクリプトを書いていました。

テキストから「法令名」を抜き出す処理で、たとえば「介護保険法」なのに「保険法」にマッチしてしまうバグがありました。「最長一致」に修正したのですが、全体の処理時間が倍増してしまいました。これまでは「途中でやめてた」のを最後まで調べるようになったからです。

例えば、参照法令が282個もあった『租税特別措置法』では、いつまで経っても処理が終わらず、全体的な処理方法を見直しました。結果、時間が1/6に短縮されました(が、アルゴリズムが悪いのか、ここに書けないくらいまだ長い)。技術ブログらしく、処理についてもいずれ書きます。

「自動データ更新」についても、大体できたのですが、思いのほか「一回の更新量」が大きく、まだ本番に組み込めてません。例えば、6/10月曜の更新データは:

  1. 法令数:49
  2. 画像やPDFの圧縮ファイル:18
  3. 展開後の画像など:3,726(2回分混じってるかも)
  4. 展開後のファイルサイズ:85MB(上に同じ)

おそらくは法務関係の官僚たちが、準備して決済して、地道に頑張ってくれてるんでしょうね。

:grimacing: タイトルは盛りましたが、いつも考えています

ニッチな分野である法律の条文を並べても興味を持たれないかと思い、少し「盛った」タイトルになっています。ただ、いつも考えていることではあります。残念ながら、法律はもとより、論理学や情報理論の素養がまったくないので掘り下げることはできません(・・大学でさらっと聞いた気がしますが、理解してないし苦手分野です)。

国民を代表する国会で作られた法律が、使いやすくなり、より広く知られ活用されることは、法治・民主制国家にとって良いことであるはずです。誰かに影響を及ぼせるアプリではありませんが、アプリ開発を通して「そういう分野(があるなら)」の進展を追ってみたい気持ちがあります。

個人的には、よほど解釈で問題になっている法律でなければ「けっこういけるんじゃないか」と思ってます。また、「(かっこ)のネスト」とか「IF OR AND」といった単純な論理のレベル(深さ)までならいけそう。

行政職が実務で使う本を手に入れたので、分からないなりに法律の知識も入れて、アプリに反映させたいと思います。(いずれAIがやってくれるから要らないのでは?という意見には・・まあ確かにその通りかも・・AIについては別で書きます)

:dizzy_face: 法律は奥深い。遭遇したケース

法律職ではないので、紹介できるエピソードはほとんどありませんが、検察庁に「裁判記録」の閲覧を申し込んだ時のエピソードを紹介します。

最初に問い合わせをしたときから不思議なやり取りでした。役所とのやり取りは本筋でないので省きますが、「できないとは言わないが、かなり難しいし時間もかかるし、あまりお勧めしない」といった何とも煮えきらない返答でした。(結果としては誠実に対応してもらえました。過去に、公開した結果トラブルが起きたこともあって対応には苦慮してるようです1

関係するという刑事訴訟法53条 を読んでみました。

(1項)何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるときは、 この限りでない。
(2項)弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は一般の閲覧に適しないものとしてその閲覧が禁止された訴訟記録は、前項の規定にかかわらず、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があつて特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、これを 閲覧することができない (以下略)

一項の「何人も、閲覧することができる」これは「全肯定」ですね。「できるんだ!」と安心した、そのすぐ後に「この限りではない」と書いてあり、結局どっちなのか分からなくなります。分解してみます。

  • (1項)何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる
    • 但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の ①事務に支障のあるときはこの限りでない
  • (2項)②弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は ③一般の閲覧に適しないものとしてその閲覧が禁止された訴訟記録は、
    • 前項の規定にかかわらず、訴訟関係人又は閲覧につき ④正当な理由があつて特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ
    • これを 閲覧することができない

① 「事務に支障のあるとき」は、具体的な決まりは、特に法令に書かれていないはずです。ネットの体験談によれば、判決後すぐは見られず「準備に◯ヶ月かかる」と言われた、などがありました。
② 原則非公開の「少年事件」や、関係者のプライバシーに関わる「薬害訴訟」などのことだと思います。これは裁判の時点で決まっています。
③ 何が禁止されるかは、「ふわっとした内容」に見えます。「加害者の更生をさまたげる」とか「公序良俗を害する(例えばセクシャルな内容ということのようです)」とかです。
④ 「訴訟関係人」は、被告本人や弁護人になると思いますが、それ以外でも文書に氏名が出てくると「関係がある」となるようです。「正当な理由」は、私が申請した時に聞かれたのは「更生に資するかどうか」などでした。

:raised_hands: 回りくどいにもほどがある

断る理由のうち「事務に支障がある」も「一般の閲覧に適しない」も、役所の事務職か、文書の「管理検察官」という役人の判断なので、ここはもう「ごめんね!役所が全部決めるね!」と一言で書いてくれれば一番わかりやすい。

2項の「どういうときに禁止されるか」は、刑事確定訴訟記録法4条 に書いてあって、これも「断ろうと思えば何とでも言える」広い解釈ができる文言が並びます。

  • (2項) 保管検察官は、(略)次に掲げる場合には、保管記録(第二号の場合にあつては、終局裁判の裁判書を除く。)を閲覧させないものとする。ただし、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合については、この限りでない。
    • 保管記録が弁論の公開を禁止した事件のものであるとき。
    • 保管記録に係る被告事件が終結した後三年を経過したとき
    • 保管記録を閲覧させることが公の秩序又は善良の風俗を害することとなるおそれがあると認められるとき。
    • 保管記録を閲覧させることが犯人の改善及び更生を著しく妨げることとなるおそれがあると認められるとき。
    • 保管記録を閲覧させることが関係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することとなるおそれがあると認められるとき。
    • 保管記録を閲覧させることが裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員又は裁判員候補者の個人を特定させることとなるおそれがあると認められるとき。

「事務に支障があるから」と何ヶ月も待たされているうちに「3年」が過ぎてしまうこともある。

・・さらに、赤字の(カッコ書き)の中にひっそり重要なことが書かれています。「裁判書を除く」裁判記録の中で「判決文」と「判決理由」の部分は「裁判書」といって別の扱いになります。

「裁判が終わるまでの期間」と「よりプライバシーに触れる証拠書類」には厳しいが、その他は「公共財」として、ということなのか多少ゆるいみたいです。

ただ、「全部OK!」の後で「(実質)全部ダメ」と言って、その後すぐに「(こちらのサジ加減で)全部アウト、だけど、出方によっては考えてやらんでもない」、、「情緒のおかしな人」を相手にしている気分になってきます。最後に(かっこ)の中に、小声で「厳しいこと言ったけど、本当はね・・」みたいな別の顔も見せてきて「この人、関わりたくないなぁ」と思ってしまいます。

:triumph:80年前のお役人「裁判の公明明朗を期待したわけでございます」

日弁連の意見書ではバッサリと批判されています。

「裁判所若しくは検察庁の事務に支障のあるとき」(刑事訴訟法第53条第1項ただし書き)という閲覧制限は,解釈いかんによっては全ての場合に当てはまってしまい,閲覧禁止規定として機能しかねないから,削除すべきである。

しかし、制定当初は、新憲法の公開裁判の趣旨(日本国憲法に飛びます)に則って「記録を公開する規定を新たに作った!」という進取の気概みたいなものがあったようです。

こちらのサイトの情報を参考にさせていただきました。交通事故トラブル解決ガイド・刑事記録の目的外使用として禁止され、刑事罰の対象となる行為とは? (本当に失礼ながら、サイト名は量産型のアフィリエイトブログなのに、骨太の情報があって素晴らしいです)

第2回国会 参議院 司法委員会(昭和23年6月10日)の法務省事務官の答弁

宮下明義・法務廳事務官
次は五十三條の規定でございまするが、これは全く新らしい規定でございまして、被告事件がすべて終結した後に、その確定記録を一般國民に公開する制度を新たに規定したわけでございます。勿論、記録の保存或いは裁判所、檢察廳の事務に支障を生じてはなりませんので、その支障のない場合に限つて、何人も訴訟記録の閲覽を請求することができるという趣旨の規定を設けたわけであります。

而して第二項において、辯論の公開を禁止した事件の訴訟記録及び一般の閲覽に供しては適當でないと考えられる事件で禁止をしたもの、それらについては、特に許可した場合でなければ閲覽を許さない。

併しながら日本國憲法八十二條の第二項但書の事件は、政治的な事件でありまするので、このような事件は絶對に閲覽を禁止することはできない、必ず公開するという建前をとりまして、裁判の公明明朗を期待したわけでございます。

あちこち資料が飛んで(自信がないので資料でごまかす!)よみにくいですが、裁判記録の破棄問題を受けて法務省が作った文書(pdf)に出てくる、これが全てなんでしょうね。

裁判の公正担保等の要請と関係者の名誉等の保護の要請との調整を目的とした規定と考えられる

「矛盾」とまでではないけど、利害が反する趣旨を両立させようと考えた結果、とにかくややこしい文章が量産されていくのでしょう。悪気はなさそうだけど、分かりやすくする動機もなさそうで困ります。

:bird:ひばりソフト(ひばり)

  1. 『僕はパパを殺すことに決めた』調査委員会報告書

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