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来たるCakePHP 4.0 を知ろう

Last updated at Posted at 2019-11-30

CakePHP Advent Calendar 2019の1日目がやってきました。今年のCakePHPの大きなトピックとしては、CakeFestが日本で開催されたことではなかったでしょうか。CakeFest 2019では、CakePHPのFounderであるLarry Mastersさんや、Lead DeveloperであるMark Storyさんなど、CakePHPのコアメンバーの方々が一同した会でした。そこで、CakeFest 2017に続き、CakePHPの次のメジャーバージョン 4.0 の説明がありました。初日の本日は、そんなCakePHP 4.0をざっくり知る記事を展開していきます。

CakePHP 4.0 のこれまでの経緯

CakeFest 2017で行われたMark Storyのプレゼンテーション「CakePHP - The Road Ahead」にて、CakePHPの過去と現在と未来の話をされていました。

その中で、未来のCakePHPの話としてメジャーバージョン 4.0 のアイデアの紹介がされました。

その直後2017年6月23日に、「Upcoming CakePHP Roadmap & Releases」が公開され、CakePHP 4 のアナウンスがされました。

そして、2018年6月4日に、CakePHP 4 の開発開始が告知され、4.0のRoadmapが紹介されました。

CakePHP 4.0 の開発進捗は、その後コアデベロッパーのツイッターにて時々見受けられるようになり、例えば2019年1月29日には、CakePHP 4.0 がPSR-15のサポートをする実装ができたといったツイートがされるなど、進んでいっていました。

開発が進んでいく中で、2019年11月7日(木)〜11月10日(日)に開催された、CakeFest 2019にて、「Safer, More Helpful CakePHP」という発表がMark Storyさんにて行われて、具体的なCakePHP 4.0 についての説明があり、「もうすぐリリースか!」といった温度感を感じる内容となっていました。

CakePHP 4.0 の特徴

Safer, More Helpful CakePHPの発表内で、CakePHP 4.0 を説明する一文として、

EARLY FEEDBACK & SAFETY

という言葉を使っています。4.0 についての新機能や新たな非推奨は、4.0 Migration Guideにて確認することができます。

大まかな部分として、次のような特徴を持っています。

PHP7.2+

4.0 では、PHP 7.2以上をrequirementとしています。7.2以上とすることで、PHPにおける型機能がCakePHPの内部実装においても使えるようになっています。これは、GitHubのIssue、Raise minimum version of PHP to 7.2 for 4.0での投票にて決定しました。

そのため、CakePHPの 4.x ブランチにおける composer.json でも php 7.2.0以上を requireとして定義されています。

    "require": {
        "php": ">=7.2.0",

STRICTER TYPING

4.0 では、内部実装において基本的にすべてのPHPファイルで、declare(strict_types=1);を定義し、厳密な型チェックを有効にしています。

試しに、Routeクラスをピックアップすると、次のように定義されていることがわかります。

<?php
declare(strict_types=1);

戻り値型宣言

PHP7.2以上としたことによって、スカラー型宣言を利用できるので、内部実装において、戻り値の型宣言を多く使用しています。また、array|boolといったエラーハンドリングがされていたような実装は、nullable型を利用し型宣言をできるようしています。

例えば、Routeクラスのparse()というメソッドを見てみると、3.xの場合は、

    public function parse($url, $method = '')
    {
        if (empty($this->_compiledRoute)) {
            $this->compile();
        }
        list($url, $ext) = $this->_parseExtension($url);

        if (!preg_match($this->_compiledRoute, urldecode($url), $route)) {
            return false;
        }

と失敗した場合はfalseを返すような実装は、4.xにて次のようになりました。

    public function parse(string $url, string $method): ?array
    {
        $compiledRoute = $this->compile();
        [$url, $ext] = $this->_parseExtension($url);

        if (!preg_match($compiledRoute, urldecode($url), $route)) {
            return null;
        }

PSR-15,16対応

すでに3.xでマージされているものもありますが、4.0 Roadmapにて、PSR-15やPSR-16対応がされていきました。

PSRとは、PHP Standards Recommendationsであり、各種物議を醸しつつも、コミュニティにて影響が大きい勧告です。

PSR-15は、Middlewareに関連するものですが、4.xに向けて対応がされマージされています。

PSR16はCacheに関するものですが、こちらも3.7の段階で対応が完了しています。

これらに関する説明について、2019年1月に自分がPHP勉強会で発表した「Steadily developing CakePHP 4.0」にて説明しているので、気になる方はこちらをご覧ください。

使用者として気がついたこと

これまで、CakePHPの内部にてどういうふうに変わったかという話をしていましたが、実際に使用者側としてどういうことを感じたかという点を、主観でピックアップしていきます。

templatesについて

templatesについてまずディレクトリ構成が変わり、src以下から飛び出し、別途templatesディレクトリができました。

src/
templates/

これは、CakeFest 2019にて、日本人コアコミッターである@chinpei215さんが解説されていましたが、セキュリティホールに対する対応とのことでした。

As I said in the dev channel, this change could be a security hole accidentally. If you call class_exists('App\Template\Users\index'), composer will include index.php. If we want to do that, we would also have to move the Template directory to the root directory like config or bin.

また、このissueのタイトル「RFC: Use .php extension by default for templates.」にもありますが、テンプレートファイルのデフォルトの拡張子が.ctpから.phpに変更されました。

JSON viewを返却する際の変更

4.0 において、JsonViewの特殊なビュー変数である_serialize_jsonOptions_jsonpが非推奨となりました。そのため、JSONを返すAPIを作る場合に次のようなコードを書くことになったようです。

    public function view($slug = null)
    {
        $article = $this->Articles->findBySlug($slug)->firstOrFail();
        $this->viewBuilder()
            ->setClassName(JsonView::class)
            ->setOption('serialize', 'response');
        $this->set('response', ['article' => $article]);
    }

4.0 へのアップデート

既存システムの4.0へのバージョンアップは、CakePHP3.8へアップグレードし、PHP7.2以上にバージョンアップしてから4.0にあげるのがベターなようです。

それにあたって、様々非推奨になったAPIが存在するので、非推奨機能の利用をすべて排除してから上げる必要があります。

実際、昨今の3.xのマイグレーションガイドでは、Deprecationsの告知が非常に多くなっています。

逆に言うと、非推奨機能の利用を取り除けば、3.xから4.0にバージョンアップできるということになります。

また、アップデートツールも用意されています。

現在サポート中のバージョン

2.xや3.xのバージョンのサポートに関しては次のスケジュールとなっています。

2.x

  • Bug fixes for 12 months after the release of 4.0.0
  • Security fixes for 18 months after the release of 4.0.0

3.x

  • Security fixes for 36 months after 4.0.0 is released

最後に

2日目のCakePHP Advent Calendar 2019は、@nojimageさんの記事です。楽しみですね!ではまた!

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