私自身、あえて PostGIS を使わない側に立つことが多いのですが、そういった立場の論理として、bdon さんの The Surprising Anatomy of a One-Man Map Tech Stack の記載がいいなと思ったので、翻訳翻案して共有します。
- PostgreSQL や PostGIS に問題があるのではない。むしろそれらはオープンソース地理空間情報技術の可能性についての模範であり、政府での GIS に大きなインパクトを与えている。
- それらは、地理空間情報がネットワーク経由で同時書き込みされる際のリレーショナルモデルのトランザクション処理については完璧なソリューションである。ただ、我々にとってはネットワーク経由の同時書き込みは重要ではないのだ。
- PostGIS を、GDAL/OGR や GEOS に対する便利な SQL フロントエンドとして使う会社が多いが、GDAL/OGR や GEOS を単純に直接使っても問題が解ける場合が多い。クライアントサーバ方式のデータベースを使うことで、ポート設定やユーザ認証、プロセスマネージャなどが関わってきて、自動化がとても複雑になる。SQLite や LMDB を使って自己完結した方が単純になる。
- スケーラビリティを意識すれば、ネットワーク越しにデータを取り出すのはオーバーヘッドが大きすぎることがある。
- 単一の会社とそのワークフローおよび仮定が学術領域と産業を支配しているというのが GIS の現状である。つまり、「GIS をやる」ということが、リレーショナルデータベースを操作することであると定義されており、ソフトウェア開発がベンダーの側に来るような形に抽象化されている、というのが GIS の現状なのである。