はじめに
前回はこちらの記事「BlueXPのGUIから、AWS上のNetApp Cloud Volumes ONTAPをAmazon FSx for NetApp ONTAPにレプリケーションしてみた」で同じリージョンのONTAP(CVOとFSxN)のレプリケーションをご紹介しました。今回はcross-region
(Tokyo-Osaka)でONTAPのレプリケーションを検証したいと思います。
いきなりまとめ
結果から言うと、NetApp BlueXPのGUIから簡単な操作で、AWS上のNetApp Cloud Volumes ONTAPをcross-regionでレプリケーションすることができます。
Keyword
- SnapMirror
SnapMirrorはLANまたはWAN経由で、データを高速にレプリケートできる機能です。仮想環境であるかそうでないかを問わず、高いデータ可用性と高速なデータレプリケーションを実現できます。データをネットアップ ストレージシステムにレプリケートし、セカンダリデータを継続的に更新すると、データは常に最新の状態に保たれ、必要なときにいつでも利用できる状態に保たれます。外部のレプリケーション・サーバは必要ありません。 - BlueXP
ストレージとデータ サービスを統合コントロール プレーンで一元管理し、ハイブリッド マルチクラウド エクスペリエンスを変革します。わかりやすいインターフェイスと強力な自動化により、種類の異なる環境を管理する際のリソースの無駄、複雑さ、リスクを軽減でき、シンプルな運用が実現します。 - Cloud Volumes ONTAP (CVO)
VMインスタンスにONTAPを搭載し、重複排除・圧縮・階層化などの効率化機能を提供する、クラウドストレージサービスです。CVOは、オンプレミスでお使いのアプライアンス型のONTAPと同等の機能を持ち、クラウド上のファイルとブロックのワークロードに対応した高度なデータ管理を実現するSoftware-Defined Storageです。データ保護、セキュリティ、コンプライアンスなどに対応しています。 - VPC Peering
VPC Peeringとは、2つのVPC間でトラフィックをプライベートでルーティングできるネットワーク接続です。どちらのVPCのインスタンスも、同じネットワーク内にあるように通信することができます。VPC Peeringは、同じAWSアカウント、別のAWSアカウント、または別のAWSリージョンの間に作成できます。
手順
1.AWS consoleからTokyoとOsakaのVPC Peeringを準備
2.BlueXPのGUIにより、TokyoとOsakaにCVOを作成
3.BlueXpのGUIにより、CVOをcross-regionでレプリケーション
構成図:
1.AWS consoleからTokyoとOsakaのVPC Peeringを準備
VPC Peeringの為にIPv4 CIDRがOverlapping
しないように、Tokyoの方を10.0.0.0/16
、Osakaの方を10.1.0.0/16
にしてそれぞれのVPCを作成します。最後はこのようなRoute tables
になります。
- Tokyo Route tables
- Osaka Route tables
では、Tokyo VPC->Osaka VPC->Peering->Modify Route talbes
の順番で作成します。 - Tokyo VPC
AWS consoleからTokyo
リージョンにvpc and more
を選び、IPv4 CIDR
を10.0.0.0/16
にしてVPCを作成します。今回はprivate subnet、NAT gateways、VPC endpints
を利用せずに、public subnets
のみでレプリケーションを検証します。本番の場合は条件に合わせてVPC endpints(S3の為とか)などを確認してください。
二つのSubnets
とRoute tables
が自動に作成されて、Non-Main
のroute tableに二つsubnetsがExplicit subnet associations
になっています。
SubnetsのAuto-assign public IPv4 address
を、defaultのNo
をYes
に変更します。
- Osaka VPC
Osakaリージョンに切り替え、同じ手順でvpc and more
を選び、IPv4 CIDR
をOverlapping
しないように10.1.0.0/16
にしてVPCを作成します。検証のため、シンプルにシングル AZ、一つpublic subnet
にします。
同じように、SubnetsのAuto-assign public IPv4 address
を、defaultのNo
をYes
に変更します。
- Peering
Tokyo
リージョンに切り替え、Peering connections -> Create peering connection
をクリックして、下記の図のように必要な情報を確認して、TokyoからOsakaにPeering リクエストを出します。
Create peering connections
をクリックすると、両方のリージョンでPending acceptance
状態になります。Accept
の有効期間は一週間になっています。
Osakaから詳細を確認してAccept request
します。
- Modify Route talbes
Accept
すると、Tokyo側でActive
、Osaka側でProvisioning
になり、少し待つとActive
になります。Modify my route tables now
をクリックしてOsaka側のRouteにTokyo VPCを追加します。Tokyo側でも同じようにEdit Route -> peered VPC IP CIDR(Osaka)
を入れて、peering connection
を選択してOsaka VPCを追加します。
ここまではVPC Peeringの準備が完了です。
2.BlueXPのGUIにより、TokyoとOsakaにCVOを作成
「BlueXPのConnecorとCVOをAmazon Cloudに作成」と「CVO: Quick start for Cloud Volumes ONTAP in AWS」を参照して、先程作成したVPC、KeyPair、Security Groupなどを確認した上でBlueXPのConnectorをTokyoリージョンに作成してから、TokyoとOsakaリージョンにそれぞれのCVOを作成します。今回はレプリケーションを検証する為、Cloud Tiering、Cloud Backup、Data Sense
をoff
、No Storage Efficiency
とFreemium(up to 500GiB)
にします。
3.BlueXPのGUIにより、CVOをcross-regionでレプリケーション
- OsakaからTokyoにレプリケーション
BlueXPのGUIから上記で作成したOsakaCVO
をTokyoCVO
にドラッグしてReplication
を選びます。
Wizardに従い、レプリケーションしたいボリュームnfs
を選び、Destination
をTokyoCVO
にして新しいnfs_copy
ボリュームを作成する形で、S3 TieringせずにGeneral purpose SSD
でレプリケーションします。
今回はdefaultの100MB/s
とMirror
でスケジュールを10min
に設定してレプリケーションが自動で実行します。
最後にSource
側(OsakaCVO)とDestination
側(TokyoCVO)の情報をレビューしてGo
します。
BlueXPのGUIProtection->Replication
からレプリケーションの状況を確認できます。またOsakaCVO->Replications
からも詳細が見られます。
CVOにssh -i YourKeyPair admin@YourCVOPublicIP
でログインして、vserver peer show -vserver svm_OsakaCVO
、vserver peer show -vserver svm_OsakaCVO -instance
でpeeredになってることが確認できます。
- TokyoからOsakaにレプリケーション
既に一方からのレプリケーションが構築されていても、逆の方向でもできます。同じような手順で、今度TokyoCVO
にあるボリュームnfs
をOsakaCVO
に新しいボリュームnfs_copyfromTokyo
を作成する形でレプリケーションします。
それぞれの情報を確認してGo
をクリックします。
レプリケーションができると、両方矢印がつけられ、TokyoCVOのReplicaiton Target
が1
になります。
注意事項
- VPC Peeringの為、それぞれのIP CIDRが
Overlapping
しない - VPCを作成した後に、自動作成された
Non Default subnet
のAuto-assign public IPv4 address
をNo
からYes
に変更
最後に
今回はAWS VPC Peeringしてcross-region
で東京と大阪にあるNetApp Cloud Volumes ONTAPの間でレプリケーションができることを検証しました。NetApp Cloud Volumes ONTAPとFSx for NetApp ONTAPの間でも同じようなことができます。次回はcross-region
で大阪にあるCVOと東京にあるFSxNの間でレプリケーションできるかを検証してみたいです。
参考リンク
1.BlueXP: Learn about the Replication service
2.Cluster and SVM administrators
3.What SVMs are
4.Compatible ONTAP versions for SnapMirror relationships
5.CVOを作成、上記のADにジョインしたCIFSボリュームを追加
6.CVO: Quick start for Cloud Volumes ONTAP in AWS
7.BlueXPのConnectorとCVOをAmazon Cloudに作成
8.Learn about replication policies
9.SnapMirrorソフトウェア:ユニファイド レプリケーションで迅速なリカバリを実現
10.Prerequisites for cluster peering
11.vserver peer show
12.BlueXPのGUIから、AWS上のNetApp Cloud Volumes ONTAPをAmazon FSx for NetApp ONTAPにレプリケーション
13.Cluster and SVM peering workflow