ドーモ。さくらインターネットの1ユーザーによるさくらインターネット(その2) Advent Calendar 2016への投稿です。
先に結論。
さくらインターネットさん、いつもDebianを始めとしたOSSコミュニティを支援してくださってありがとうございます。
コンゴトモ ヨロシク。
豆知識:security.debian.orgのアジア担当はさくらインターネットにある
#Debian has a new Asian #security mirror in Sakura, Japan sponsored by Sakura Internet. ありがとう! http://www.sakura.ad.jp/
— The Debian Project (@debian) 2014年12月4日
背景
Linuxディストリビューション老舗「Debian」のパッケージリポジトリは世界各所にミラーされています。しかし、サポート対象である安定版(この記事の時点では Debian8 コードネーム"Jessie")のセキュリティアップデートは、Debianシステム管理チームが管理する security.debian.org サーバー以外には配信されません。security.debian.org サーバーおよびそのミラーは北米とヨーロッパにあり、そのため安定版を使ってセキュリティアップデートを適用しようとすると「遅いぃぃー!」となっていました。2年前までは。
なんとかしたい
日本に居るDebian関係者(特に私)は当然この事を知っていて「なんとかしたいなー」「なんとかしたいなー」と常々思っておりました。具体的には「security.debian.org ミラーサーバーを日本に置きたい」と。で、関係者に「securityミラー、日本に置けないかな?」と言っていたら、システム管理チームも乗り気になり、「じゃぁ機材探してよ」と言ってくれることに。これが2013年、3年前のこと。ただ、要件がなかなか厳しい。
- x86_64サーバー(400GB 以上のディスク容量、4GB 以上のメモリ容量)
- 仮想マシン不可、OS は Debian の利用可
- 潤沢なネットワーク接続(1Gbps以上推奨、トラフィック制限なし)
- IPv4 アドレス x 2 (IPv6 もあればなお可)
- Debianシステム管理チームがrootとして管理可能な事
- SSH 以外のシリアルコンソール (HP iLO など) のアクセス提供
- ファイアウォールによるアクセス制限無し
- 電源/ディスクなどの冗長構成(ハードウェア保守付)
ディスクやメモリ容量はまぁ良いにしても「仮想マシンはダメ」「シリアルコンソール」あたりは結構面倒な要件で、VPSなどは不可。一台占有の専用サーバーじゃないとダメなわけです。専用サーバー借りるとなると、結構なお値段もしちゃうのですけど、Debianは完全にボランティアベースで運用しているディストリビューションで、しかも寄付の集め方はド下手。開発者の中心は欧米で、彼らは遠い日本・アジア地域にセキュリティミラーが無くたって別に困らない。うーん。
なんとかなるかも
セキュリティミラーの機材募集はしてはみたものの、要件に見合う形での応募はなく時は流れ...。
そしてある時、コミュニティのメンバーが参加した関西オープンソース(k-of)で、さくらインターネットの田中さんがいらっしゃったので機材の話を相談したところポジティブな反応を頂けた、との話を聞き「これはおねだりチャンス!」と打診メールを送付。
結果、OKもらえて機材を借用させていただくことになりました。フットワーク軽いなぁ。
(この後、機材のIPMIコンソールのJavaアプレットがLinuxではうまく動かずWindowsを必要としたものの、Debianシステム管理チームの誰もWindows持ってなくて...と、時間を要したのはまた別の話)
ありがとう、さくらインターネット
ということで、無事にプレスリリースも打ち、今日もさくらインターネットの専用サーバーからアジア地域向けのDebianユーザーはセキュリティアップデートを受け取れているのです。もしあなたがDebianを利用していて、何かのイベントでさくらインターネットの関係者の方に会ったら、お礼しましょう。感謝の言葉は重要と古事記にも書いてある。
あ、さくらインターネットの方も、openSUSEだけじゃなくて Debianも推していただけると幸いです。さくらインターネット内にセキュリティミラーだけじゃなくて、通常パッケージの公式ミラーも置かせていただいていますので、快適に利用できますよ。