皆さんの記事を読んで、頭で知ってた事でもまとめられているものは意義があると感じたので書いてみました。
大手の参入、活況が予測される市場
- AppleやGoogle, Amazonによる大手のフレームワーク参入、及び開発が活況である。
- Facebook ARやSnapchat等、大手のARサービス参入が活況である。
- ARの市場予測は2020年以降も伸びると予測されている。
https://www.moguravr.com/digi-capital-ar-vr-2022/
https://www.moguravr.com/marketsandmarkets-ar/
しかし実際の情勢を鑑みると、これらは我々が携わるフレームワークを使ったスマートフォン向けのアプリ市場なのか、少々疑問が湧いてきました。
実際の情勢
ハイプ・サイクル
2017年時点で幻滅期
https://www.gartner.co.jp/press/html/pr20170823-01.html
実は2013年から4年間幻滅期に入ったままです
https://www.gartner.co.jp/press/html/pr20130903-01.html
Googleトレンド
ARとVRの比較。具体的な数値ではないのではっきりした事は言えませんが、日本ではVRの方がARよりはるかに関心度が高いようです。
https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=2008-06-03%202018-07-03&geo=JP&q=AR,VR
なお検索範囲を全世界に広げるとARとVRの位置関係が逆転しますが、検索ワード上位を見るとParrot社のAR Droneが多く検索されているようです。
https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=2008-06-03%202018-07-03&q=AR,VR
実利用における課題
現状、エンターテインメント向けにしか活用が見いだせていない。
F-35のARヘルメットのような専用機器ごと開発し提供される場合を除き、VuforiaやARKitのようなフレームワークを活用したアプリケーション開発においては、その殆ど全てがエンターテインメント向けのアプリ開発に偏っています。
そしてそのエンターテインメント向けARアプリは以下の点での課題があり、現状解決できていません。
・コスト、特にCGの制作コストが割高である
例えば2次元のキャラをパーツ分割してcssアニメーション等で動かす場合と、3DCG化してボーン入れてアニメーションさせる場合で比べると明らかに後者の方が割高になります。
対して視聴するユーザーの方にとっては多くの場合、そのコンテンツが2Dなのか3Dなのかはあまり重要ではありません。
そしてその割高なコストは予算の壁に阻まれることになり、苦肉の策として2D絵をAR表示する形になったりします。
・代替手段が多すぎる
例えばポスターを画像認識しポスターが動き出すようなAR広告を打ちたいとなったとします。
技術的には出来るのですが、QRコードを読み込んでyoutubeを表示させても同様の動画を流すことができてしまいます。
クライアントとしては動画広告を見てもらうことが目的で、広告予算は限られていますから、
そうなると演出の差にそこまでお金を出すか?という話になります。
身も蓋もない話、現状ARで出来ることはARじゃなくても出来てしまうことが殆どです。
演出がちょっと違うだけです。
勿論そのちょっとの違いで集客効果が大幅に向上するなら選択する価値があるのですが、そのような話は聞いたことがありません。(事例あったら是非教えてください)
・スマートフォンの強みと矛盾している
スマートフォンが我々の暮らしを大きく変えてしまったものとして、欲した時に即行動できる、衝動を逃さないようになったことが挙げられます。
気になるゲームがあったら即ダウンロードしてすぐ遊べる、みたいなやつです。
対してAR、なかでも画像認識や位置情報を基準とするものはマーカーを印刷したり、その場所に行ったりしないと楽しむことができません。その間に衝動が逃げてしまいます。
偶に「ARには、その場所に向かわせる力がある」と言われますが、残念ながらAR技術にそこまでのインセンティブ性はありません。それはAR技術の力というよりはコンテンツの力で出しているのが現状です。
・根源的な課題がある
根源的な課題として、AR技術そのものは一瞬の驚きしか与えてくれません。ゆえに継続性や中毒性、課金させたくなる要素などはコンテンツや企画で出さざるを得ません。
対してVR技術には他では味わえないような没入感があり、ここがVRとARの差になっていると見ています。
ARは商売として、ペイすることが非常に難しいと感じています。
エンターテインメント以外の用途に向けての課題、規制
ではエンターテインメント以外では使えないのか?という話になります。
社会的な課題に対しARでのみなし得る解決策を提示することが何より必要なことです。
・Google glass等の眼鏡型デバイスと著作権・肖像権問題
「両手が塞がっている状態の課題はARでのみ解決し得るのでは」と私は常日頃思っており、
それに対し眼鏡型のデバイスは一番有望たるデバイスと見ています。
しかし、そこに立ち塞がるプライバシー問題
https://news.yahoo.co.jp/byline/ohmototakashi/20150118-00042341/
からの、個人向け販売中止
https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20150116-00042294/
Intelも撤退
https://japanese.engadget.com/2018/04/19/vaunt/
個人的には役に立つARは業務利用で限定したシーンにおいて活用されていくのでは、と見ています。
フレームワークを活用したスマートフォンアプリではなく、機器の販売になるのではないでしょうか。
まとめ
活況=ビッグチャンスのように状況を鵜呑みにせず、社会的な課題に対しARでないと解決できないことを探していくことが大切です。
2019/06/07追記
Facebook F8にて今後InstagramでもARが利用可能となるらしい。
Facebook自身がEコマースの未来にAR/VRが活躍するという記事も出しているし今後力を入れていく分野なのかもしれない。
(気になる商品にカメラをかざすとネットショップに繋がる感じだろう)
認識して分類するという機能でいうとLINNE LENSが身近では最も近いが、そうするとARというより機械学習寄りになってくる。
とはいえ全てはコスパなので、極端だが全てのモノを認識できるように大量のコストをかけてなったとして、それに見合うリターンが得られるのかどうか正直微妙なところ。
カメラ認識では形のない物(感情とか)は当然ながら検索できないので、テキスト検索には敵わない部分もある。
2020/01/06追記
iOSのPeople Occulusionは結構凄くてこれでやっと人の後ろに人物モデルを立たせたり、要はジョジョのスタンドみたいな事ができるようになった。他にもナイアンティック等がやっている障害物を検知して物陰に隠れるARが出来るようになったり技術的にはかなりの進歩を感じる。
とはいえコスパ問題はまだまだ未解決といったところ。昔WindowsPhoneやKinectのセミナーでMSの人が「世界を変えるのはあなたです」と言っていたような、技術だけ作るから後よろしくみたいな丸投げ感をまだ感じる状態。
運用フローに関してはロボノの居る夫みたいにプリインされていてインストールの手間も要らない状態にできればだいぶ良さそうで、それが出来る可能性があるのはAppleとGoogleかな。そのうちARカメラ的なアプリがOSアップデートで追加されるかも。
テクテクのサービス終了が惜しまれる。
あとスマートヘルメットいいね。これをスマホと連動させて通知とか出せるといいと思う。(凝視しない程度の情報に減らす工夫が必要)
できれば小さいスクリーンではなくヘルメットシールドに貼れるようなスクリーンが出ればいいと思うが。
参考資料
ARサービスの「意義」と「意味」のデザイン(2019/01/07追加)
https://speakerdeck.com/kajiken_meson/arsabisufalse-yi-yi-to-yi-wei-falsedezain
VR/ARに今、参入する意義 ―20年後の勝者になるために―(2019/01/29追加)
http://www.fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/2018/2018-1-4.html
ARとVRで変わりゆくコミュニケーションとEコマースの未来
https://www.facebook.com/business/news/how-ar-and-vr-are-shaping
「変化への予兆」が揃ってきた、2019年のVRとAR そしてその先は?(2020/01/06追加)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191230-00000009-zdn_n-sci&p=1
スマートヘルメット新時代到来【視界に情報が浮かび上がる未来】(2020/01/06追加)
https://young-machine.com/2019/02/26/26773/