はじめに
自分は英語に対する好奇心が強く、これまでの人生において、「英語にしますか?日本語にしますか?」という問いには常に「英語で」という選択をして来ました。それで損もしてきたし、得もして来ました。AWSに携わるエンジニアとしてもこの「英語にしますか?日本語にしますか?」の問いには常に晒されており、これも常に「英語」を選んできましたが、それで得したこと損したことをまとめてみました。
得したこと
1. AWSサポートをフル活用できる
仕事で少しハマったとき、
- 詳しい人がチームか友人にいて、
- その人と気軽に連絡が取れる
状況だと嬉しいですが、現実はそうでないことが多い。そういうとき、その内容がAWSサービスに関わるものだったらAWSサポートに聞くのがおすすめです。しかも日本語でなく英語で聞くのがおすすめです。
理由としては、
- 夜に聞くと翌日の朝には回答が来てる
- 詳細かつ的確な回答が来て、問題が解決することが多い
- 細かいところ(このAPIレスポンスに〇〇は含まれないのか?等)も答えてくれる
- AWSサービス間の連携の部分(例えばStepFunctionsとSageMaker)などもカバー
- Greengrassなどの他では誰も答えてくれなそうなマイナーなサービスでも質問できる
- APIの設計などこういう意図で作っている、というようなAWSの考え方を知ることもできる
- 込み入った質問の場合は開発チームの主要メンバーから回答が来ることもある
などいいところしかありません。
最近だとDeepLなど優れた翻訳ソフトもあるので、まずは試しに質問してみるのをおすすめします。1文1文を短く、かつシンプルで論理的な文章で書けば翻訳後も割と意味の通る英語になります。
質問文に使える英語集
挨拶と自己紹介
Hello. I'm Taro Yamada, an IoT engineer working for XXX.
-> こんにちは、私は山田太郎です。XXX社で働いているIoTエンジニアです。
I have a question regarding XXX.
-> XXXについて質問があります。
質問の背景
・I was doing XXX, but YYY was ZZZ.
-> XXXをしていましたが、YYYがZZZでした。
・I read the User Guide, but I didn't understand XXX.
-> ユーザーガイドを読みましたが、XXXについて理解ができませんでした。
質問の内容
・Is there a way to do XXX?
-> XXXをやる方法はありますか?
・How can I do XXX?
-> どうしたらXXXをできますか?
・I'm stuck. What am I missing?
-> ハマってしまいました。何か見逃している項目があるのでしょうか?
結び
I would appreciate it if I could get any help on this.
-> 何か少しでもサポートが得られれば幸いです。
Thank you in advance.
Best regards,
Taro Yamada.
サポートプランについて
AWSサポートにはいくつかプランがありますが、自分は最低レベルのDeveloperプランでも大体十分なサポートが得られると感じています(個人の感想であり、筆者の所属する団体の以下略)。
Developerプランは、おおよそ毎月29ドル(AWS利用料がある程度以上高いと利用料の3%)です。得られるサポートの速さと質を考えると、超お得だと思います。
↓サポートプランの詳細
2. ユーザーガイドの機械翻訳による変な日本語を読まなくていい
これはこれ以上の説明は不要ではないでしょうか。別にクリティカルな話ではないですが、あの日本語は読んでて結構しんどいです。それに慣れれば意外とすらすら読めるようになるのかもしれませんが、それ以前に、AWSさん、結構儲けてるんだし、翻訳にお金使ったらどうでしょうか?他の翻訳AIより遥かに読みにくい日本語訳をAWSのユーザーガイドという一番エンジニアが見るところに堂々と掲げているのは如何なものか。他が素晴らしいAWSなので余計にそういう粗が目立ちます。
と脇道に逸れてしまいましたが、この問題もそもそも英語で読んでしまえばなくなることなんです。少し無理してでも英語で読んでしまいませんか?
損したこと
3. 資格試験
AWSの資格試験、例えばCloud PractitionerやSolusions Architect Associateなどは、受験するときに言語を選べますが、言語に、
・英語を選択すると試験問題は「英語のみ」見られる
・日本語を選択すると試験問題は「日本語と英語両方」見られる
英語を選択する意味は?となります。実際Cloud Practitionerを受けたときに1問だけ英語の意味がよくわからないものがあって、日本語見たいな、と思いましたが、見られませんでした。以上の理由から、AWSの資格試験は英語ではなく日本語を選択しましょう。
4. 電話サポート
AWSは顧客ファーストを掲げていて、とにかくサポートが素晴らしいです。そして必要に応じて電話対応もしてくれます。ですが、これはかなりリスクがあります。というのも国を超えると電話の音質はときに恐ろしいほど低下するからです。
軽い気持ちで電話サポートをお願いしたら…
自分が趣味用の個人AWSアカウントでMFA(多要素認証)のリセットをしたくて、その際に電話でも対応可、とあったので「この時間帯にかけて来てください」というメールをAWSに出したことがあります。実際電話がかかってきて(No Caller Identity、つまり非通知で)、「Hello」と言ったら返って来たのは音質が下がりすぎてHelloなのかHolaなのかもわからない英語でした。
その時は20分くらい粘って「Excuse me, could you say that again?(すみません、もう一回言ってくれませんか?)」を100回くらい言って、なんとか「OTP(One Time Password)」という言葉を聞き取り、「今メールでOTPを送ったから本人確認のためにそれをこの場で言ってくれ」の意味だと解釈しことなきを得ましたが、なかなかの冷や汗ものでした。これはむしろ何回聞き返しても怒らず対応してくれた先方に感謝の気持ちしかありませんでした(料金も結構かかってしまったんじゃないかと思います)。
とにかく、この一件から得られた教訓は、海外からの電話サポートはできるだけ避けよう、です。英語以前の超えがたい壁が立ち塞がることがあります。
さいごに
英語英語と書いて来ましたが、日本にはQiitaやAWS Blackbelt(AWS Japanの作る1時間くらいのAWSサービス紹介動画)、Classmethod(AWSのハンズオン記事大手)という強い味方がおり、AWSをやる際に日本人で良かったと思うことは多々あります。これらは英語圏にはない強みだと感じています。これに少しの英語(すなわちAWSサポート)が加われば日常でぶつかるAWSに関する問題の、大方のことは解決できる、とそう信じています。