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[Swift] DropDelegate で画面外に放したアイテムを検知する

Last updated at Posted at 2024-01-08

はじめに

今回は SwiftUIDropDelegate に関してです。
特定の挙動に対してあまり情報がなかったので、メモ的な感じで残しておきます。

概要

DropDelegate に関して

SwiftUI 上でドラッグ&ドロップを実装する場合、一番簡単なのは ListeditMode を使うことです。

ただし、List では

  • バージョンでの UI 差分(主に iOS15 未満で発生)
  • List のセルによるデザイン制約
  • 機能自体をカスタムができない

などの理由もあり、より細かい実装をしたい場合には、DropDelegate を使う状況もあると思います。

DropDelegate には、デフォルトで5つのメソッドが用意されています。

  • func validateDrop(info: DropInfo) -> Bool
  • func performDrop(info: DropInfo) -> Bool
  • func dropEntered(info: DropInfo)
  • func dropUpdated(info: DropInfo) -> DropProposal?
  • func dropExited(info: DropInfo)

名前からもわかる通り、ドロップに関連したライフサイクル周りのメソッドです。

DropDelegate で発生した問題

今回は LazyVGrid 上のアイテムを並べ替えさせる実装を想定しています。
以下のように、画面外にアイテムを持って行った場合で問題が起きました。

ezgif-5-2723bd4a4f.gif

タイトルにもありますが、長押しをした View を画面外に持っていき指を放したとき、検知できずに困りました...。

あらかじめ用意された func dropExited(info: DropInfo)

Tells the delegate a validated drop operation has exited the modified view.

が該当するように思ったのですが、アプリ上では反応したりしなかったり...🧐


少し試したところ

  • iPad の SplitView
  • Mac でのアプリ外

など、アプリを跨ぐ場合はちゃんと反応してくれそうな感じでした。

以下は例として、Swift Playgrounds 上でアプリを跨いだ場合の反応テストをした結果です。

Screenshot 2024-01-08 at 1.35.28.png

このように、アプリを跨いだ場合は dropExited がちゃんとよばれています。

放したアイテムを検知する方法

いくつかのケースで動作しないパターンがあるようなので、今回は3つご紹介します。

- 移動するアイテムの Opacity を付ける

これは移動するアイテムを透過している場合にのみの起こります。
例えば、移動中のみアイテムを透過にしたい場合があると思います。

【Example】

.swift
ForEach(models) { model in
    GridItem()
        .opacity(draggingModel?.id == model.id ? 0 : 1)
        .onDrag {
            /* 略 */
        }
        .onDrop(
            /* 略 */
        )
}

このように移動するアイテムの opacity0 だと、破棄が検知されません。
performDrop が呼ばれない)

対策としては

  • (可能なら)背景色をつける
  • opacity を 0.001 でうっすらつける

などの対策が有効です。

- NSItemProvider のライフサイクルを利用する

この方法は ※ iOS15.4以上 ※ でしか使えません。

DropDelegate.onDrag で返される NSItemProvider を元に差分を検知しています。

【Example】

.swift
ForEach(models) { model in
    GridItem()
        .onDrag {
            let identifier = String(model.id) as NSString
            return NSItemProvider(object: identifier)
        }
        .onDrop(
            /* 略 */
        )
}

この NSItemProvider はドラッグが終わると破棄されるので、これを利用します。具体的には、独自に NSItemProvider を作成して、破棄されるタイミングで処理を差し込むようにします。

独自の NSItemProvider を作成し

.swift
class GridItemProvider: NSItemProvider {

    var deinitialize: (() -> Void)?

    deinit {
        deinitialize?()
    }
}

.onDrag で処理をいれる

ForEach(models) { model in
    GridItem()
        .onDrag {
            let identifier = String(model.id) as NSString
-           return NSItemProvider(object: identifier)
+           let provider = GridItemProvider(object: identifier)
+           provider.deinitialize = {
+               DispatchQueue.main.async {
+                   // do some handling
+               }
+           }
+           return provider
        }
        .onDrop(
            /* 略 */
        )
}

処理がバックグラウンドなので、必ずメインスレッドで動くようにしましょう。
(MainActor でも大丈夫だが扱いに注意)

以下は実際の動作例です。

ezgif-5-53e955fc55.gif

画面外で離した場合に、NSItemProvider が破棄されてハンドリングできます!

冒頭に記載しましたが、iOS15.4 以上でないと denit のタイミングが違うため動作しないことに注意しましょう。

- 外側の View にも DropDelegate を付ける

今回実装しているものは、アイテムが横に全画面だったため対象外でした。
こちらは画面の一部にあるアイテムを移動する場合に該当します。

実際の例を見てもらう方が早いでしょう。

このように領域外に持って行った場合、アイテム廃棄が検知されずドロップ状態が続いています。

この場合は、外側の View にも DropDelegate をつけてあげることで、検知できるようになります。

【Example】

.swift
var body: some View {
    ScrollView {
        LazyVGrid(columns: columns) {
            ForEach(models) { model in
                GridItem()
                    .overlay(dragging?.id == d.id ? Color.white.opacity(0.8) : Color.clear)
                    .onDrag {
                        /* 略 */
                    }
                    .onDrop(of: [UTType.text], delegate: YourDragDelegate(
                        /* 略 */
                    ))
            }
        }
    }
    .onDrop(of: [UTType.text], delegate: YourDropOutsideDelegate(
        /* 略 */
    ))
}

実際の動作はこうなります。

ちゃんとハンドリングされて、色も戻っています!

動かさずに放したアイテムに対処する

以下はiOS17未満で発生します。

ここまで実装しても、もう1つハンドリングできない動作があります。

具体的には、onDrag長押しをして動かさずに戻した場合です。この場合は NSItemProvider の破棄が呼ばれないため検知できません。

以下は実際の動作です。

Screen-Recording-2024-01-09-at-13.50.37.gif
(もう一度見たい場合はクリック)

動作では、次のドラッグ動作が開始されると、1つ前の NSItemProvider が破棄されています。

これはコントロールできないため Timer を使って擬似的にキャンセルする方法を考えました。(もし他の方法があればコメントをくださいmm)

実装コード例

コード全てを載せるのは大変なので、ざっくり実装したものを置いておきます。

DropDelegate を使う場合、ドラッグしているアイテムを自前でコントロールすると思いますが、それをタイマーを使ってリセットします。具体的には、1-2秒間アイテムの移動がなかった場合は、破棄されたとみなしてキャンセルするようにします。

今回はタイマーをViewのモデルで管理する想定です。

ViewModel.swift
class ViewModel: ObservableObject {
    /* 略 */

    var draggingTimer: Timer?

    /* 略 */

    func setTimer() {
        draggingTimer = .scheduledTimer(
            withTimeInterval: 1.5,
            repeats: true
        ) { [weak self] _ in
            // ドラッグアイテムのリセット
        }
    }

    func invalidateTimer() {
        draggingTimer?.invalidate()
    }
}

DropDelegate の処理で Timerセットリセットを行います。
タイマーをモデルで管理するため、DropDelegate では処理を委譲します。

.swift
struct YourDropDelegate: DropDelegate {
    var dropEntered: () -> Void
    var dropUpdated: () -> DropProposal?
    var performDrop: () -> Bool
    func dropEntered(info: DropInfo) { dropEntered() }
    func dropUpdated(info: DropInfo) -> DropProposal? { dropUpdated() }
    func performDrop(info: DropInfo) -> Bool { performDrop() }
}

セットリセットの処理はこのように行います。

.swift
@ObservedObject var viewModel: ViewModel

/* 略 */

GridRow(model: model)
    .onDrag { /* タイマーのセット */ }
    .onDrop(of: [UTType.text], delegate: YourDropDelegate(
        dropEntered: { /* タイマーのリセット */ },
        dropUpdated: { /* Do nothing */ },
        performDrop: { /* タイマーのリセット */ }
    ))

実際に動作するものを置いておくので、こちらでお試しくださいmm

終わりに

SwiftUIDropDelegate は不完全な部分も多いです。正直なところカスタムはしずらいので、UIKit をラップするほうが、現実的かもしれません。

毎年アップデートされ、動作は改善されているので、今後に期待ですね!

参考

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