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顧客分析の手順 ー分析フォーマットの適用例:クロスセグメント分析 成長顧客&離脱顧客の特定

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この本書は2017年4月1日にTeradata Japanのブログに掲載された内容を、再掲載したものです。
掲載内容の正確性・完全性・信頼性・最新性を保証するものではございません。
また、修正が必要な箇所や、ご要望についてはコメントをよろしくお願いします。

著者 山本 泰史 (やまもと やすし)

顧客分析の手順

第19回: 成長顧客&離脱顧客の特定

クロスセグメント分析を利用した分析例の 3回目として、今回は「顧客リテンション」をテーマとした分析例をご紹介します。

分析の前提

今回の分析例は、フリクエント・ショッパー・プログラムや、フリクエント・フライヤー・プログラム等、FxP を展開している企業で実施される分析の例です。図28 に示したクロスセグメント分析では、縦軸に当年のランク、そして横軸に前年のランクを配置しています。縦軸横軸ともに、ランク別にセグメントを切り、交差させることによってランクアップ顧客とランク維持顧客、そしてランクダウン顧客を分布させています。さらに指標値として、会員数の全体と、性別毎の会員数を配置しています。

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なお、ここではプラチナ会員が最も貢献度の高い優良会員で、ブロンズが最も貢献度の低い会員としています。当然ながら 2007年段階では会員登録されていなかった顧客が 2008年に入会していますし、2008年になって離脱してしまった顧客に関しては 2008年の結果に反映されていません。従ってこのように縦横で交差させた場合、このグリッドから漏れている顧客群も存在します。

ランクアップ/ダウンの傾向把握

最初に全体の傾向を見ていくと、プラチナ会員が 2007年で 20,000名であるのに対して、2008年度は 35,000名と増加しています。これは好ましい傾向で、買上や利用を自社でよく実施していただける顧客群の増加を意味しています。これに対して、シルバー、ブロンズ会員は全体として少なくなっており、新規に獲得する顧客が少なくなっているか、既存顧客の離脱も発生している可能性を示しています。

このため、まず縦に 2007年度プラチナ会員だった顧客群を見ていきます。ランクダウンした顧客の中でも、シルバー、ブロンズにダウンした顧客に関しては、何らかの理由で自社における購入/利用が減少していることが分かり、その数が 11,000名となっています(5,000名+6,000名)。すべての顧客ではないにせよ、これらの顧客はプラチナ会員となるだけの支出をする力を持っている会員ですから、これらの顧客を抜き出し、行動傾向が当年対昨年でどのように変化しているのかを把握する必要があります。

このような手順は、ランクアップ顧客に関しても同様です。これらの顧客に関しては、何らかの理由で自社に対する支持度合いが増加していることを示しています。たとえば本年プラチナ会員にランクアップした顧客群のうち、昨年ゴールド、シルバー、そしてブロンズであった会員は 4,800名+10,700名+11,600名=27,100名いらっしゃることが分かります。両年ともにプラチナの会員は 2,700名ですので、如何に多くの顧客がランクアップしたか、ここから分かります。

そしてもうひとつ重要なポイントとして、全体として男女比がほぼ同じであるのに対して(母集団参照: 男性会員=111,050名、女性会員=108,050名)、これらのランクアップ顧客群においては女性の割合が高いことが分かります。何か、女性にとって支持される理由が存在しており、これが 3,000名+7,200名+7,600名のランクアップにつながっていると言えます。

アプローチの方向性

まず重要なプラチナ会員のランクダウンに関しては、ランクダウンした顧客群のプロファイルや顧客行動変化を理解し、ランクダウンの理由、原因を見つけることが急務です。そしてそれ(品揃え、サービス等)を改善し、再度ご利用頂くためのアプローチを実施することが必要となります。

続いてランクアップ会員に関しても、同様にランクアップの理由を探ることが必要です。これに関しては女性のランクアップが増加しているというヒントが、分析例から得られていますが、これ以外にも何か理由があるかもしれませんし、女性会員に対して何がアピールできたのかを把握することも求められます。

そしてこれによって、たとえば昨年も当年もシルバー会員、もしくはブロンズ会員となっている顧客の中で、同様のプロファイルを有している顧客に対して、そのアピールポイントが伝わっていなかった可能性も認識できます。これらの顧客群に対してこのアピールポイントを再度アピールし、ランクアップ(を結果的に達成できる商品やサービスの利用)を促すことが可能となります。

このようなアプローチにより、これら固定/優良顧客の顧客数*支出額が収益の大部分を占めるようになり、全体の顧客構造を強固にしていくことが可能となります。一方でランクダウンをもたらしてしまうことは、何かしら失望や期待度の減少を顧客に対して与えてしまっていることを意味し、あてにしていた顧客基盤、収益基盤が崩れていることを意味します。このような分析によってそれらの顧客群は特定できるのですから、あとはその原因を特定することが収益上も重要です。場合によっては直接コンタクトをとって話をお伺いすることも、アンケートを企画して顧客の心理的側面を探ることも必要です。

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