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チャネル最適化のための分析 - 保守サービスにおける分析シナリオ

Last updated at Posted at 2023-04-10

この本書は2017年4月1日にTeradata Japanのブログに掲載された内容を、再掲載したものです。
掲載内容の正確性・完全性・信頼性・最新性を保証するものではございません。
また、修正が必要な箇所や、ご要望についてはコメントをよろしくお願いします。

著者 山本 泰史 (やまもと やすし)

チャネル最適化のための分析

第4回:保守サービスにおける分析シナリオ

今回ご紹介する分析シナリオは保守サービスデータに関連する分析シナリオです。ここではお客様のオフィスや工場施設に機器等を納品し、そこにお伺いして保守サービスを行っているビジネスケースを想定しています。

分析例3-1 インシデント種別コール頻度分析
製品毎の障害発生頻度を理解し、製品開発や品質改善、サービス対応に役立てます。

分析例3-2 保守サービス状況分析
障害発生の頻発するケースのみに絞り込み、対応履歴を把握します。

分析例3-3 サービス生産性分析
分析例3-4 サービス担当者生産性分析
保守サービスの訪問活動における生産性を理解し、必要なサービス担当者配置に役立てます。

分析例3-5 製品別故障傾向分析
分析例3-6 部品別故障頻度分析
製品及び部品の故障傾向をトレンドと頻度から理解することにより、顧客環境に設置している製品をライフサイクルの観点からサポートします。

分析例3-7 部品在庫状況分析
交換部品需要と準備在庫のバランスを理解することによって、部品在庫を適正化します。

分析例3-1 インシデント種別コール頻度分析

最初の分析は、お客様からの障害受付内容に関して、その種類別の頻度を把握するための分析です。特定期間、特定地域における機種、障害種別毎の発生頻度を分析しています。<

image.png

縦軸には、障害種別をリストし、横軸には種別毎の[コール受付数]、[設置機器数]、そして[コール受付数]/[設置機器数]からそれぞれの機種-障害種別毎の障害[発生率]を算出しています。また、機種AとBでその傾向の違いを比較しています。頻度が高いということはすなわちその障害種が機種の品質上の課題であるということが想定されます。従って、当座としては対応するための部品やマニュアルなどを準備し、障害発生時に迅速に対応することが必要となりますし、平行して製品開発、品質管理、予防改善等のアクションも必要になります。

分析例3-2 保守サービス状況分析

2つ目の分析では、顧客毎の保守サービス履歴を把握しています。

image.png

ここでは、特定機器の特定月におけるコールが一定数以上発生している、おそらくお客様にとっては品質に対する不信感や迷惑を与えていると想定されるケースをピックアップしています。ここから別途特別な対応を実施する必要があるかもしれませんし、これまでの作業内容において適切な対応がなされていたかを確認し、適切な対応がされていなかった場合には改善(担当者を変更する、プロセスを見直す等)を実施する必要があります。また同様のケースが発生していないかを確認し、重要な傾向としてサービス担当者間で共有することも必要となるでしょう。
このレポートでは縦軸に顧客名称、コールがあった日付、障害の種別をリストしています。また指標値としては、[経過時間]として、[コール-到着]までの時間と[作業時間]、そしてその[合計時間]を把握しています。また[作業内容]を合わせて表示し、どのような作業がなされていたのかを把握しています。

分析例3-3 サービス生産性分析

3つ目の分析として、サービス担当者の生産性分析を行います。この分析では全体的な生産性を理解し、サービス担当者の配置を最適化させることが目的となります。

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縦軸には各地区をリストしています。そして指標値としては、それぞれの地区の[担当者数]、[顧客数]、[設置機器数]、[コール受付数]を把握しています。また生産性に関する指標値として、担当者1人あたりの顧客数を示す[顧客数/担当者]、担当者1人あたりのコール受付数を示す[コール受付数/担当者]、1顧客あたりの平均的なコール数を示す[コール数/顧客]を把握しています。1人のサービス担当者がより多くの顧客、設置機器、そしてコール受付と作業をこなすことが生産性を高めるための要因となりますが、一方でサービス担当者に過度の負荷がかかり、顧客サービスレベルが落ちることも避けなければなりません。 このような分析レポートを用いることによって、適切な生産性のレベルを理解したうえで、人材配置を行うことが可能となります。また、顧客数だけでなく地理的な(時間的な)カバレージ範囲を考慮に入れ、必要に応じてサポート拠点を統合する/増やす等の配置施策が必要になる場合も考えられますし、配置実施後にも同様のレポートで改善効果を把握することが可能です。そして特に生産性が高い地区に関しては特別な方策を講じているのかもしれませんので直接問い合わせるなどして確認し、成功事例として共有することも必要となるでしょう。

分析例3-4 サービス担当者生産性分析

4つ目の分析は、サービス担当者毎の生産性を把握するための分析です。

image.png

縦軸には特定部門内の各サービス担当者をリストアップしています。そして横軸にはそれぞれが担当している[顧客数]、それぞれの顧客からの一定期間における[コール受付数]、そして、コールを受け付けてからお客様の事務所までの到着時間と、到着してからの作業時間、そしてこの2つの合計時間を[経過時間]の[コール-到着]、[作業時間]、[合計]として把握しています。また、[合計]の[経過時間]を[コール受付数]で割って、[平均経過時間/コール]を算出しています。 ここから、サービス担当者毎の負荷状況を図ることが可能となります。顧客数を均等にサービス担当者に配分したとしてもお客様毎のコール受付数、そしてお客様の事務所に到着するまでの距離は異なります。従って、どの程度の時間をそれぞれが費やしているか、また作業成熟レベルや作業負荷(作業時間)等も考慮に入れてアサインをしなければなりません。これらのデータを把握することによって、最適な配置の為の知識を得ることが可能となりますし、顧客数や顧客毎のコールの変化を鑑みた形で継続的に配置の見直しを行うことが可能となっていきます。

分析例3-5 製品別故障傾向分析

5つ目の分析は、製品毎に障害傾向のトレンドを把握していくことによって、製品そもそもの時間の変化に伴う品質の変化や利用状況によって変化する障害の経過を理解するための分析です。

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縦軸には、機種毎の障害種別をリストして、横軸には経過月数を置き、トレンドで[コール受付数]を把握しています。これにより、機種別に見たときに、いつ、どのような障害が発生する傾向にあるかを理解することが可能となります。例えば、初期障害が発生する傾向の高い機種もあれば、特定部品のライフサイクルが一定期間経過後に終了し、それが障害を引き起こす傾向が高い場合もあるでしょう。また、そもそもの品質が悪く、一定の割合で障害が発生している機種もあるかもしれません。
これらの傾向に基づき、傾向をマニュアルに追加することにより対応策を準備しておく、必要な部品ボリュームを理解するといったことが可能となります。そして当然予防改善ができれば顧客サービスの観点からも望ましいのは言うまでもありません。

分析例3-6 部品別故障頻度分析

こちらの分析では、部品毎に障害の発生頻度を把握しています。

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縦軸に特定機種を構成する部品をリストし、当該部品が含まれている[機種数]と機種が導入されている[顧客数]、そして[交換発生数]を表示しています。また月あたりの頻度と顧客1ヶ月あたりの頻度ということで、[故障発生数/月]、[故障発生数/月/顧客]を合わせて表示し、頻度傾向が部品交換の観点と、お客様の視点から見たときにどの程度発生しているかを理解することが可能となります。 これによって、部品交換頻度を理解し、対応作業に役立てると共に、部品需要を理解して、在庫準備に役立てることが可能となります。またあまりにも頻度が高い部品に関しては、開発や生産部門がライフタイムの長い部品へと変更するなどの対応が必要な場合もあります。この分析ではこれらのアクションに必要な知識を理解することが可能となります。

分析例3-7 部品在庫状況分析

7つ目の分析は、部品毎の在庫状況を把握するための分析です。

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縦軸には部品を保管している事業所をリストし、特定機種、特定部品における現在在庫数量を分析します。[交換発生数/月]は、3-6の分析においても紹介した、部品が月毎に交換される頻度を示した指標で、ここでは部品に対する需要データとして利用しています。これに対して[在庫数量]として、[現在在庫数量]と[発注済在庫数量]、その[合計]を表示しています。 さらに、現在在庫と発注済在庫で、向こう何ヶ月で在庫切れになるかを示す指標として、[在庫月数]を表示しています。これは、[在庫数量]の[合計]/[交換発生数/月]で算出したものです。これによって将来的に必要な在庫数量に関しての理解を得ることが可能となります。ここから在庫が過少であれば追加補充をしなければなりませんし、緊急であれば在庫が豊富にある他事業所と融通しあうことも容易になるでしょう。そして部品の生産部門がこの情報を把握することにより、必要な生産と供給を実現することが可能となります。

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