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この本書は2017年4月1日にTeradata Japanのブログに掲載された内容を、再掲載したものです。
掲載内容の正確性・完全性・信頼性・最新性を保証するものではございません。
また、修正が必要な箇所や、ご要望についてはコメントをよろしくお願いします。

著者 山本 泰史 (やまもと やすし)

評価測定ケースの考察 - 3

今回、キャンペーン評価の例としてご紹介する最後のケースは、事前段階における必要なレスポンス率の推定、そして実施後における実際の評価と原因の分析例です。

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5つめのケースは、既存顧客に対して実施するダイレクトメールでのクロスセリングを想定します。採用/棄却の基準は利益率ベースで150%、利益金額ベースで 1億円(100M)以上となっています。また固定経費として 1,000万円(10M)、案内する顧客あたりの変動経費として 1,000円(0.001M)、レスポンスが有り購入した顧客あたりの売上金額が 5万円(0.05M)、粗利金額が 2万5千円(0.025M)で、固定で 100,000名に案内するとします。 この場合、レスポンス率が確定すれば、購入顧客数が確定し、順にキャンペーンの売上金額、粗利金額、経費合計が算出されますので利益金額と利益率が自動的に確定することになります。表計算ソフト等を用いてこのレスポンスを推移させていくと、採用/棄却基準である利益率150%、利益金額 1億円(100M)以上の基準を両方満たすには11%のレスポンスを 100,000名の顧客から獲得すれば良いということは容易に判断できることでしょう。

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これに対して幾つかのセグメンテーション変数を用いて11%のレスポンスを得られるであろう 100,000名のターゲット顧客を選定しました。そしてキャンペーン実施後、実施前の想定と比較して、乖離が発生した部分を分析していきます。 まず何よりも、利益率の結果が必要基準を満たしていません( A )。この理由の一つとしては、( B )固定経費が多少増加していることが分かります。例えば理由が作成したクリエイティブに直前修正が入り、余計な経費がかかってしまった等、原因がシンプルかつオペレーショナルな要因であれば以後気をつければ良いこととして結論付けることが可能でしょう。 これに対して( C )はレスポンス率が予定の11%より低くなってしまったことを示しています。更にこれがキャンペーンにおける購入顧客数、売上金額、粗利金額の低下をもたらしていることが見て取れます。レスポンス率が悪かったということは、発したメッセージに訴求力がなかったか、ターゲティングした顧客が適切でなかったことが想定され、更に原因を深く見ていく必要が有ります。

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実際に幾つかの分析をしていく中で、最終的に年齢層毎に見た際に大きな結果の乖離があったことが判明したとしましょう。30歳を基準としてレスポンスが大きく下がっていることが分かります。 ダイレクトメールの内容やクロスセリングの商品が若年層向けであったとすればうなずける結果であるということができます。メッセージやクロスセル商品を31歳以上に対してのみ変更し、2パターンにするだけでも効果が有るかもしれません。またターゲティングという観点からはもう一つ注目するべき事実が導き出されます。もし仮に年齢層で絞り込んでおり、30歳以下に絞り込んでいれば、十分な利益率を得られただけでなく、固定経費 1,000万円(10M)を差し引いても利益金額が十分であったことが伺えます。

ここでは分かりやすくするために、非常に素朴な年齢という属性を用いており、改善アクションとしてはダイレクトメールの内容を2種類にするという方法を選定していますが、実際には絞込みのための変数をより複雑に( = 顧客の多様性に合わせて)適用させることによっても、ダイレクトメールをパーソナライズさせることによっても(多少コストは上がるかもしれませんが)レスポンス率の改善を期待することはできるでしょう。 重要な点は、このような形で最初の仮説/想定と実際の結果を比較すること、これらを分解した形で把握することによって、何が悪かったのかを理解することが分かるようになることです。そしてこれらを分析し、悪かった原因を突きとめることによって、次回以降のキャンペーンに活かすことが可能となります。

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