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顧客分析の手順 - 分析フォーマットの適用例: 行動トレンド分析 新規獲得顧客の定着トレンド

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この本書は2017年4月1日にTeradata Japanのブログに掲載された内容を、再掲載したものです。
掲載内容の正確性・完全性・信頼性・最新性を保証するものではございません。
また、修正が必要な箇所や、ご要望についてはコメントをよろしくお願いします。

著者 山本 泰史 (やまもと やすし)

顧客分析の手順

第11回: 新規獲得顧客の定着トレンド

前回に示した分析フォーマット(5つ)と分析テーマ(3つ)に基づき、今回より 15 の分析例をご紹介していきます。今回は「行動トレンド分析」という分析フォーマットを利用した、「新規顧客の獲得」のための分析です。

分析の前提

「新規顧客の獲得」という分析テーマは、大きく以下の 2つを目的としています。現実的に、未だ顧客となっていない人々のデータは保持されておらず、見込み客としての関係が存在しない限りにおいては、分析のしようがありません。しかしながら新規に獲得した顧客を定着させるという目的、そして新規に増加している顧客像を捉え、マスマーケティングやメディア選定を実施するうえでの参考にするという目的において寄与することが可能です。

1. 新規に獲得した顧客のフォローアップを行い、定着を図る

2. 獲得顧客のプロファイルから、獲得可能性のある顧客プロファイルを理解する

今回は、この 1. の目的に沿って分析を実施します。想定する企業としてはクレジットカード会社、新規にカード会員として入会した顧客が対象です。図19A に分析フォーマット(グリッド)を示します。

image.png

定着状況の理解

分析の対象顧客として、2008年12月に新規入会したセグメントを対象としています。指標値として顧客数を用い、属性として月間の利用回数を、0回、1-3回、4-6回、7-9回、10回以上という 5つの属性に分割して利用しています。そして対象セグメントを 4ヶ月間、月毎にトレンドで集計しています。各月の合計を示していますが、何らかの理由で早々と退会された顧客もいるため、合計顧客数としては微減で推移しています。

これをグラフで示したのが図19B です。データ内容は同じですが、横軸に時間トレンドをおいてそれぞれの構成比の推移を把握できるようにしています。この企業としては、カード会員として入会いただいたからには、お買物やキャッシング等でカードをお使いいただきたいと考えています。

image.png

このため、このようなグラフが表示された際に期待するのは、利用回数ができるだけ多くなっているような構成です。しかしながら、一定数の顧客における利用が 0回ということで、入会はしたもののお使いいただけていないことが分かります。もしかしたら入会月から 1ヶ月間程度は利用の機会が無かったり、実質的にカードが届かなかったりといった理由もあるかもしれませんので、0回という結果(13,611名: 図19A 参照)もやむをえないかもしれませんが、以降もご利用いただけていない場合、他社のカードとの競合の中で埋没して利用されていない等の可能性が想定できます。もちろん利用頻度が低く、1度使って次の月は利用 0 といった顧客もいらっしゃるかもしれませんが、月あたり 4,000名強が利用回数 0 のまま推移していることが分かりました。

月1回以上ご利用いただいている顧客に関しては、定着化傾向にあることが伺えます。特に月7回以上の利用は増加傾向にあることがグラフから伺え、これらの顧客に関しては定着化が完了し、生活の中の支払い手段の一つとして位置づけられていることが想定できます。1ヶ月は 30日ですので、4-5日に 1回程度の頻度でご利用いただけていると想定できます。おそらくメインカードとして自社のカードが位置づけられています。

アプローチの方向性

ここまでの理解から、申し込みから 1ヶ月、もしくはカード到着想定日から数週間経っても利用回数が 0回の顧客に関しては、まずは「利用」を定着させることが求められます。最初の利用に対してポイント付与等のインセンティブを提供する等、まずは一回使っていただくことに主眼を置いたキャンペーンが必要です。また、利用にあたっての不明点があるかもしれないため、利用方法や利用にあたっての心配事/疑問に対する回答をまとめたご案内を行なうことも考えられます。

また、具体的な利用先の提案として、他の新規顧客の利用先(オンラインショッピングなのか、レストランなのか等)と顧客プロファイルを分析して、「使ってみようかな」と思わせる利用先を案内することもキャンペーンアイデアとして考えられます。新規に獲得したばかりの顧客群であるため、分析の対象と出来るデータはお申し込み時のデータ(主にデモグラフィック属性)に限られるかもしれませんが、それでも数パターン(性別、年齢層別等)に分けた利用先提案が可能です。

このように新規に獲得した顧客の行動トレンドを捉えることによって、顧客の定着/未定着状況を捉え、フォローアップをすべき顧客群とその内容についての検討が可能となります。

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