はじめに
Webアプリケーションを開発する際、クライアント側にデータを保存する方法として「SessionStorage」「LocalStorage」「Cookies」の3つがよく使われます。それぞれの特徴や違いを理解し、適切に使い分けることで、アプリケーションの性能やセキュリティを最適化することができます。ここでは、これら3つのストレージの違いや、実際の利用シーンについて備忘録としてまとめてみました。
SessionStorage
概要
- 保存期間: ブラウザのタブが閉じられるまで
- 容量: 約5MB
- スコープ: オリジン（ドメイン + プロトコル + ポート）
- セキュリティ: JavaScriptからアクセス可能
特徴
SessionStorageは、特定のタブで開いている間だけデータを保持します。タブを閉じるとデータは自動的に削除されるため、一時的なデータ保存に適しています。
利用例
- 一時的なユーザー入力の保存: ユーザーがフォームを途中まで入力したが、ページ遷移やタブの操作が行われた場合でも入力データを保持しておきたい場合に利用します。
- ステップごとのデータ保存: 複数ステップにわたるフォームなどで、ユーザーが各ステップごとに入力したデータを保存しておく場合。
// データの保存
sessionStorage.setItem('key', 'value');
// データの取得
const value = sessionStorage.getItem('key');
// データの削除
sessionStorage.removeItem('key');
LocalStorage
概要
- 保存期間: 永続的（ユーザーが削除するまで）
- 容量: 約5MB
- スコープ: オリジン（ドメイン + プロトコル + ポート）
- セキュリティ: JavaScriptからアクセス可能
特徴
LocalStorageは、ユーザーが手動でデータを削除しない限り、永続的にデータを保存します。容量がSessionStorageやCookiesに比べて大きいため、アプリケーション設定やユーザーのカスタマイズデータなど、長期間にわたって利用するデータの保存に適しています。
利用例
- ユーザー設定の保存: ダークモード設定や表示言語設定など、ユーザーが再度アクセスしたときに同じ状態を維持したい場合。
- アプリケーションのキャッシュ: オフライン時にアプリケーションを利用できるように、データをキャッシュとして保存する場合。
// データの保存
localStorage.setItem('key', 'value');
// データの取得
const value = localStorage.getItem('key');
// データの削除
localStorage.removeItem('key');
Cookies
概要
- 保存期間: 開発者が指定（セッション終了、または指定された期間）
- 容量: 約4KB
- スコープ: ドメインとパスで制御可能
- セキュリティ: HTTPOnlyオプションを使用することでJavaScriptからのアクセスを制限可能
特徴
Cookiesは、主にサーバーとクライアント間でのデータのやり取りに使用されます。HTTPリクエストごとに自動的に送信されるため、セッション管理やユーザー追跡に便利です。ただし、容量が非常に小さいため、少量のデータの保存に適しています。
利用例
- セッション管理: ログイン状態を維持するためのセッションIDを保存する場合。
- トラッキング: ユーザーのサイト訪問履歴をトラッキングするためのIDを保存する場合。
// Cookiesの設定
document.cookie = "username=John Doe; expires=Fri, 31 Dec 9999 23:59:59 GMT; path=/";
// Cookiesの取得
const cookies = document.cookie;
// Cookiesの削除
document.cookie = "username=; expires=Thu, 01 Jan 1970 00:00:00 GMT; path=/";
まとめ
| 特徴 | SessionStorage | LocalStorage | Cookies |
|---|---|---|---|
| 保存期間 | タブが閉じるまで | ユーザーが削除するまで | 指定された期間またはセッション |
| 容量 | 約5MB | 約5MB | 約4KB |
| セキュリティ | JavaScriptからアクセス可能 | JavaScriptからアクセス可能 | HTTPOnlyオプションでJavaScriptアクセス制限可能 |
| 利用例 | 一時的なデータ保存 | 長期間のデータ保存 | セッション管理、トラッキング |
それぞれの特性を理解し、適切なシーンで使い分けることが、Webアプリケーションのパフォーマンスやセキュリティを向上させるために重要と思われる。