その資料は誰のため?
どんなプレゼンテーション資料にも言えることですが、何らかの資料を作る以上は、その資料は誰に向けたものなのか、何をどこまで伝えたいのかは、作成する前に最低限考えるべきポイントです。
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誰に向けたものなのか
- 対象者の背景知識や専門性のレベルは?
- 彼らの興味・関心事は何か?
- どのような立場や役割の人々か?
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何をどこまで伝えたいのか
- 伝えるべき核心的なメッセージは何か?
- どの程度の詳細さが必要か?
- 時間や空間の制約はあるか?
ターゲットとなる相手が理解しやすい資料であれば、その先の 「考えてほしいのか」 「どんなアクションを取ってほしいのか」 などが続くことになりますが、その前提として 「誰宛に」「何を」 がまず大事です。
まじめな書き出しとなっていますが、以下、若干ネタ的な記事になります。
簡単なシステム構成図を例に
例として、既にお客様がクラウドのオブジェクトストレージを利用しているとします。そのお客様に対して、現在のセキュリティ設定は安全です、セキュアな構成です、というメッセージを伝えたいとします。
そこに、簡単なシステム構成図を資料に含めます。
システム構成図と言っても、AWSのAmazon S3、AzureのAzure Blob Storage、Google CloudのCloud Storage を使っているだけのシンプルなものです。
その1.非IT技術者のお客様向けの構成図
説明先のお客様が、3つのクラウドをまるで自社のデータセンターのようにイメージしておられる場合だと、「クラウド環境(データセンター群)」 みたいな表現でお客様に寄せています。
どのクラウドも、インターネット上の悪意ある攻撃から守られていて、セキュアな環境にありますよ、ということをメッセージするための構成図です。
なんじゃこりゃ!?そう思ったあなたは、どっぷりIT技術者ではないですか。
その2.実態に近いシステム構成図
で、こちらが実態に近いのシステム構成図です。
お客様向けの資料と全然違いますよね。
インターネット上の悪意ある攻撃は、お客様のロケーションとは直接関係なく、クラウドを攻撃します。それを確実な設定やサービスで守る必要があるわけです。そうなりますよね。改めて説明するまでもなく、クラウドって、インターネット上にあるわけですからね!
(正確には、クラウド事業者によってはインターネットに見えているプライベートネットワークの場合もあります AWSの例)
あらためてお客様向けの資料と見比べると、どうですか。最初の資料が、実態と乖離した不正確な構成図だなぁ、と思ってしまいますね。
ですが、正確なシステム構成よりも、セキュアであることをメッセージしたいだけの場合は、最初の図でもいいんです。
IT技術者が作成する資料
どうしても正確に書きたくなりますよね。
分かります。そうですよ。技術者ですから。
詳細に、正確に、完璧に、最新化して、すべてをきれいに網羅して、、
でも説明する相手にとって「不要」であり「過剰」であると判断されるのであれば、大胆に省きましょう。大胆に書き換えましょう。
冒頭に書いたように、「誰宛に」「何をどこまで」 を意識することで、確実に伝えたいメッセージが目立って伝わるような資料を、一緒に心がけていきましょう。