#はじめに
**「コロナウイルスに対してなぜ希望者全員にPCR検査をしないのか?」**ということが話題になっています。
大学院に進学したときにはじめて聞いた講演がまさにこの内容だった気がします。
理系なら医療系でなくても知っている話とおもっていて退屈でしたが、
世間の今の反応を見ると常識じゃないんですね。
関連する記事は随所に出ていますが、ここでも検証してみます。
#検査の精度
どのようなものでも100%のものはない。
病気なのに病気でないと検査結果が出たり、病気でないのに病気と検査結果が出たり。
ウイルス\検査結果 | 陽性 | 陰性 |
---|---|---|
ウイルスあり | a 人 | b 人 |
ウイルスなし | c 人 | d 人 |
###感度
ウイルスありを正しく陽性と検査できる確率
P(感度) = a / (a+b)
###特異度
ウイルスなしを正しく陰性と検査できる確率
P(特異度) = d / (c+d)
###感染率
母集団の中の感染率。
P(感染率) = (a+b) / (a+b+c+d)
http://canscreen.ncc.go.jp/yougo/11.html
https://www.cresco.co.jp/blog/entry/5987/
#特異度の違いによる陽性的中率の変化
感度を95%
特異度を99% ~ 95% とすると
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
import itertools
p_kando_list = [0.95]
p_tokuido_list = [0.99,0.98,0.95,0.9]
p_kansen = 10.**np.arange(-3,0,0.01)
for p_kando, p_tokuido in itertools.product(p_kando_list,p_tokuido_list):
p_yousei_tekityu = p_kando * p_kansen / ( p_kando * p_kansen + (1-p_tokuido) * (1-p_kansen) )
plt.plot(p_kansen*100,p_yousei_tekityu*100,"-",label=str(p_tokuido))
plt.grid()
plt.xscale("log")
plt.title("tokuido dependence")
plt.xlabel("Kansen Rate[%]")
plt.ylabel("tekityu Rate[%]")
plt.legend()
母集団の感染率が1%のとき、99%の特異度でも50%の陽性的中率。
陽性と判断されたとき二人に一人は濡れ布を着せられている。
これは陽性者にたいする風評被害がひどいらしい今、大変なこと。
#感度の違いによる陽性的中率の変化
感度を70% ~ 99%
特異度を98% とすると
p_kando_list = [0.7,0.8,0.9,0.95,0.99]
p_tokuido_list = [0.98]
p_kansen = 10.**np.arange(-3,0,0.01)
for p_kando, p_tokuido in itertools.product(p_kando_list,p_tokuido_list):
p_yousei_tekityu = p_kando * p_kansen / ( p_kando * p_kansen + (1-p_tokuido) * (1-p_kansen) )
plt.plot(p_kansen*100,p_yousei_tekityu*100,"-",label=str(p_kando))
plt.grid()
plt.xscale("log")
plt.title("kando dependence")
plt.xlabel("Kansen Rate[%]")
plt.ylabel("tekityu Rate[%]")
plt.legend()
感度が高くなってもあまり陽性的中率は変わらない。
特異度が大切ですね。
#現在(3/13)の状況からの考察
データは厚労省のサイトから。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10187.html
検査対象者 11,231人
検査陽性者 659人
つまり感染率は 6%弱
先ほどのグラフを見ると、感度を95%,特異度を98%だとして、
陽性的中率は80~90%ぐらいでしょう。
10人に1人ぐらいは健康なのに、入院しているのかもしれない。
無症状者が68人ってことは陽性の10%ですが、偶然の一致でしょうか。
現在濃厚接触者や有症状者など、感染が疑われる人が検査対象との話ですので、
感染率が6%ですが、気楽に無症状の人が検査を受けられるようになったら
(検査を受けた母集団の)感染率は下がるので、
偽陽性の割合がみるみる増えていきます。
無症状や濃厚接触者でもない人が、
検査を受ければ、偽陽性になる確率的には(1-特異度)×(1-陽性的中率)ですから、
特異度を98%, 陽性的中率90%として、
(1-0.98)*(1-0.9) = 0.2% で濡れ衣。
(0.2%のSSRガチャか、ドロップか。余裕だな)
不思議なことに母集団の感染率が下がると濡れ衣率が高まります。
デマでも陽性と疑われたら会社が傾きかねないこの世の中よく考えた方がいいです。
また陰性的中率は0.06/(1-0.06)*(1-0.95)/0.98 = 0.3%。
陰性がでたとしても、
自分が6%の可能性でウイルス持っているかもしれないという状況から、
0.3%の可能性でウイルス持っているかもしれないという状況に変わることが出来ます。
個人的には不安な状況には変わりなさそうですが、どうでしょうか。
#感想
社会問題として医療崩壊の危険が言われている中、個人の視点で考えてみました。
簡易キッドが開発中とのこと。特異度に注意してニュースを見ましょう。
簡易検査受けることで不幸になる人が増えないか心配です。
#おわりに
陰性的中率の方が、話としては深刻だと思いますが、ここまでにします。
医学は全くの素人ですので、数字上の話です。なにか間違っていたら教えてください。