はじめに
メカトラックス株式会社の@hayat00です。今回は私が設計したラズパイ用メタルケースをご紹介させていただきます。
ラズパイと弊社製品の4GPiやslee-Pi 3と併用可能な、手ごろなケースを探す機会があったのですが良い感じのものが見つからず…そこで、専用設計のメタルケースを作っちゃいました。
開発の経緯
メタルケースの開発が始まったきっかけは、とあるお客様から「ラズパイと4GPiをケースに入れて、とある機器の中に組み込みたい」とご要望をいただいたことでした。
しかし、弊社製品の4GPiやslee-Pi 3は、ACアダプタ等から供給されるDC6~24Vを基板上で5Vにコンバートし、ピンヘッダ経由でラズパイに電源を供給し、ラズパイを起動する、といった構成になっています。そのため、市販のラズパイケースでは、マイクロUSBからラズパイに電源を直接供給する構成を前提としたものがほとんどであり、弊社製品との相性は悪いです。
また、4GPiやslee-Pi 3はラズパイ上に重ねて使用する構成となっていますが、そのようなハットの構成に対応した市販のラズパイケースも少なく、4GPiやslee-Pi 3に都合の良い位置に配線用の穴が空いているものは見つけられませんでした。
弊社製品のPi-protectのように、汎用の樹脂きょう体を加工し、必要最低限の機器をコンパクトなケースに収めることも検討しましたが、放熱性での懸念があり、こちらも断念しました。
(※Pi-protectは比較的大きなきょう体であることや、ラズパイの発熱をきょう体へを逃がす工夫をしているため、問題ありません。恒温槽でのサイクル試験等でも、動作の安定性を確認済みです。)
そこで弊社製品の4GPiやslee-Pi 3との併用を前提とした、専用のメタルケースの開発をスタートさせました。
今回はそのメタルケースの概要をお伝えさせていただければと思います。
サイズ
なるべくコンパクトになるように、ラズパイより一回り大きい程度のサイズを目指しました。
ラズパイと4GPiもしくはslee-Pi 3のいずれかと組み合わせて使う2段用は73×112×55(mm)、
ラズパイと4GPiとslee-Pi 3の組み合わせで使う3段用は73×112×72.5(mm)、になります。
3段用は、4GPiもしくはslee-Pi 3のいずれかと他基板の組み合わせでの使用も可能です。
ケース素材・構成
ケースの素材はステンレスを使用し、光沢のあるカッコいい見た目を目指しました。
ベースはSUS430の2B材、カバーはSUS304のBA材のパンチングメタル(φ2×P3)になります。小型の密閉型きょう体では、放熱が十分にされないことが懸念されますが、カバーにパンチングメタルを使用することでこの問題を回避しています。
また、ラズパイの発熱が気になる場合は、ベースとラズパイの間に厚さ6mm程度の放熱シートを挟むことで、ケースを介した放熱も可能です。
さらに、裏技的な使い方として、カバーのパンチング穴を利用し、Raspberry Pi Camera Moduleやファン等をM2のねじで取り付けることも可能です。
さらに4か所のM3タップ穴を設けてあるので、他の機器への組み込みや、他の部材を取付けることも可能です。
組み立て手順
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メタルケースの4か所のM3ねじを外し、ベースからカバーを外します。
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4GPiもしくはslee-Pi 3を付属のM2.6ねじで固定します。3段用の場合はさらに基板固定用六角スペーサを取付け、もう1台の基板を固定してください。
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4GPiのアンテナや、USB-Aオス-USBmini-bオスケーブル、DCジャック-XHP-2コネクタ変換ハーネスを取付けます(slee-Pi 3の場合はDCジャック-XHP-2コネクタ変換ハーネスのみ)。
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カバーを閉じて完了です。
外観・その他
その他、工夫した点を紹介させていただきます。
USB端子側はすべてのUSB端子、LANポートが使用可能です。
反対側は4GPiやslee-Pi 3のコネクタにアクセス可能です。slee-Pi 3のプッシュスイッチを押すことも可能です。
slee-Pi 3のCN4およびCN5を使用し、カバーを閉じることも可能です。
基板の最上面からカバーの裏側までは18mm程度の空間があります。ピンヘッダにUSB-シリアル変換ケーブルやその他コネクタ等をさすことが可能です。
おわりに
今回は弊社製品の4GPiやslee-Pi 3と合わせて使用する専用のメタルケース(2段用/3段用)のご紹介をさせていただきました。弊社オンラインストアでの販売もしておりますので、ぜひお使いいただければ幸いです!