はじめに
ChatGPTは現在、数多くの注目を集めています。
社労士業務を含む様々なビジネス環境でその利便性が認められています。
AIはその特性を理解し、適切に活用することで業務の効率化を促進する非常に有益なツールです。実際に、
服部社会保険労務士事務所ではChatGPTを活用し、AIアシスタントとしてLINE botを開発しています。
ウェブサイトで公開していますので、興味のある方は是非ともチェックしてみてください。
ChatGPTは社労士試験に有効なのか?
社労士の試験を目指す方の中には、AIを学習ツールとしてどう活用できるかを検討している方がいるかもしれません。
そこで、ChatGPT-4が過去問を解く場合、どのような答えを生成するのかを確認するための実験を行いました。
出題の条件
実際にChatGPT-4へ出題する問題は以下の通りです。
実際は4択問題ですが今回は正誤問題として出題しました。労働基準法の理解を求める基礎問題です。
労働基準法の労働者であった者は、失業しても、その後継続して求職活動をしている間は、労働基準法の労働者である。
(令和4年 労働基準法/安衛法 問1 問題文 より引用)
正解は「誤り」ですね。
ChatGPT-4へのプロンプト
労働基準法の労働者であった者は、失業しても、その後継続して求職活動をしている間は、労働基準法の労働者である。
社労士試験の正誤問題です。
この回答と根拠を答えて下さい。
ChatGPT-4の回答
この問題の正誤についてですが、その文は「誤り」です。
労働基準法の下での「労働者」とは、一般的には、雇用主から賃金を得て労働する者を指します。この定義は、労働基準法第9条に基づいています。
したがって、失業して求職活動をしている間も、その人が賃金を得て労働していなければ、労働基準法の下では「労働者」ではないと考えられます。求職者は、一般的には労働基準法の適用を受ける「労働者」の範囲には含まれません。
しかし、具体的な事例や状況によっては、求職活動中でも労働基準法が適用されるケースもあるかもしれません。例えば、職業訓練中や一定のインターンシップの場合など、実質的には労働を行っていると見なされる状況などです。しかし、そのような特殊なケースを除けば、一般的には求職者は労働基準法の「労働者」には該当しないと言えるでしょう。
したがって、問題文の主張は基本的に誤りと言えます。
社労士から補足
こんな回答が返ってきました。
このままでも参考書に載せて良いレベルですが、問題の主旨に沿って、労働者の定義についてもう少し踏み込んでほしいところです。
そこで、次のように追加の補足質問をしてみました。
ChatGPT-4へのプロンプト
労働基準法の労働者の条件を箇条書きで教えてください。
ChatGPT-4の回答
労働基準法における労働者の条件は次の通りです:
雇用契約の下で働く者: 労働者は、一方の当事者(雇用主)から賃金を受け取り、他方の当事者(労働者)が労働を提供する労働契約の下で働く者です。
賃金を得る者: 労働者は、その労働の対価として賃金を受け取ります。賃金は現金又は現物で支払われ、通常は定期的(例えば、日給、週給、月給など)に支払われます。
労働の指揮・監督下にある者: 労働者は、雇用主の指揮・監督下で労働を行います。つまり、労働者は自己の意志で労働の方法や時間を自由に決めることができない状況下で働く者とされます。
特定の職種や業種により例外的な取り扱いがある場合もあるため、具体的な状況については労働法専門家に相談することが推奨されます。
この結果について
これで回答の解説として完璧になったと思います。
補足質問は失業者の方にフォーカスしたり、賃金の定義を確認したり、色々と応用が考えられます。
過去問を解くだけでなく、ここからさらに学びが広がる有用な学習ツールになり得ることがわかりました。
私は現役社労士なので社労士試験を題材に選びましたが、諸試験に対応することはもちろん可能でしょう。
参考書を何冊も購入するよりも、ChatGPT-4を使用した方が効率的かもしれません。
ただし、回答が本当にあっているのか検証することは必須です。
ChatGPTのデータはリアルタイムのものを使用しているわけではないので、最新法令が非対応だったり、逆に改正前のデータを持ってきてしまったりすること等が考えられます。
あくまで学習ツールの一つとして用いましょう。