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初学者のための「応用情報技術者試験」勉強法

Last updated at Posted at 2022-11-24

はじめに

令和4年秋期(10月)の「応用情報技術者試験」を受験してきました(12/22追記:無事に合格しました。)。せっかくなので「応用情報技術者試験の概要」「試験の形式と合格基準」「勉強するメリット」「勉強法」についてまとめてみました。

応用情報技術者試験の概要

「応用情報技術者試験」とは、ITを活用したシステムやソフトウェアなどを開発する人材となるために必要な知識・技能を示す国家試験(認定:経済産業省、実施:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA))です。対象者は「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」と明記されています。簡単に言うと「ITエンジニアとして、現場で数年働いた経験のある人」が対象です。また、試験は年2回(4月・10月)に実施されます。

なお、IPAが実施するエンジニア向けの試験に、初・中級者向けの試験として「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」があり、上級者向け試験に「ITストラテジスト試験」「ネットワークスペシャリスト試験」などの「高度情報処理技術者試験」があります。「応用情報技術者試験」は、中・上級者向けの試験となっています。

image.png

試験の形式と合格基準

01.出題形式・出題数

午前試験と午後試験があり、午前がマークシート形式、午後が記述式となっています。
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午前問題
全部で80問出題され、4択から選択して解答します。テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の各分野から、ほぼ決まった問題数が出題されます。

午後問題
長文形式の問題(1問につき設問が複数)が計11問出題され、その中から5問を選択して、記述式で解答します。問1の情報セキュリティは必須解答問題となっています。

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02.試験時間

午前は9:30~12:00まで、午後は13:00~15:30までとなっており、150分間×2の計5時間にも及ぶ試験です。

03.配点

100点満点の素点方式配点で採点されます。午前試験は1問につき1.25点、午後試験は大問1つにつき20点の配点です。

04.合格基準

午前試験・午後試験ともに100点満点中60点以上が合格点です。午前試験では80問中48問以上、午後試験では全体で6割解ければ合格となります。

勉強するメリット

勉強するメリットとしては、「高度情報処理技術者試験の一部が免除」「その他資格の科目免除」「進学・就職・転職に有利」「企業によっては資格手当がある(給料が上がる)」などが挙げられますが、ここではITエンジニアの視点から応用情報技術者試験を勉強するメリットを記載します。

01. 開発の知見を網羅的に勉強することができる

応用情報技術者試験では、以下の内容が出題範囲となっています。

午前試験

テクノロジ系
基礎理論、アルゴリズム、コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、ヒューマンインタフェース、マルチメディア、データベース、ネットワーク、セキュリティ、システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術

マネジメント系
プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査

ストラテジ系
システム戦略、システム企画、経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ、企業活動、法務

午後試験

情報セキュリティ、経営戦略/戦略立案、プログラミング、システムアーキテクチャ、ネットワーク、データベース、組込みシステム開発、情報システム開発、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査

上記の通り、その出題範囲の広さが伺えます。言い換えれば、エンジニア試験において、これほど開発の知見を広範囲に渡って出題している試験は他にはないと思います。つまり、応用情報技術者試験を勉強すれば、ITエンジニアに必要なソフトウェア・ハードウェア開発の知識を一通り勉強することができるということです。

02. インシデント対策や設計についてのケーススタディが行える

午後試験の問題は、内容が具体的・実践的であるため、実際の開発現場におけるケーススタディにもなります。

たとえば、「情報セキュリティ」の問題では、セキュリティインシデントが発生した時の状況や問題点、そしてその対策などが出題されます。また、「ネットワーク」「データベース」では、実際のネットワーク設計図やRDB設計(E-R図)などについて問われます。そのため、問題を解くことで、具体的・実践的な開発知識を身につけることができます。

勉強法

私の場合は、以下のような流れで勉強しました。

  • 0.学習スケジュールを作成する
  • 1.テキスト・教材を3-4周する
  • 2.過去問を分野毎に解く(「応用情報技術者試験.com」を活用する)
  • 3.過去問で解けなかった問題の復習を行う
  • 4.模擬試験を定期的(月1・週1)に実施する
  • 5.模擬試験で解けなかった問題の復習を行う

0.学習スケジュールを作成する

試験日までの学習スケジュールを大まかに決めておきます。スケジュールを作成することにより、その日に勉強する範囲や内容が明確化するため、効率化や習慣化、中だるみの防止などに繋がります。

1. テキスト・教材を3-4周する

試験の出題範囲や出題傾向について把握するために、テキスト・教材を3-4周は通読します。特に初学者は、最初は全く内容が理解できないという場合が多いかと思いますが、テキストを何周もしていくうちに内容が自然と理解できるようになります。

なお、参考書は以下がおすすめです。

  • 『応用情報技術者 合格教本』(技術評論社)
  • 『キタミ式イラストIT塾 応用情報技術者』(技術評論社)
  • 『応用情報技術者 午後問題の重点対策』(アイテック)

参考書については「合格教本シリーズ」の1冊だけで十分です。なお、キタミ式はイラストも多く、初学者には見やすい工夫がされておりますが、個人的には、「キタミ式」よりも「合格教本」の方が見やすいと感じました。購入前に書店で比較して、どちらが自分にとって使いやすいかを調べておいた方がいいでしょう。また、午後問題に自信が無ければ、「重点対策」を購入してもいいと思います。

2. 過去問を分野毎に解く(「応用情報技術者試験.com」を活用する)

ある程度、テキスト・教材を読んで内容を理解したら、実際の過去問を解いて勉強します。特に午前試験の問題の6割強が過去問から出題されるため、過去問の勉強そのものが得点に繋がります。大変ありがたい事に「応用情報技術者試験.com」では、過去の応用情報技術者試験の問題が全て掲載されています。

また、同サイトの「過去問道場」では、分野別に過去問を解くことができます。こうしたサイトを利用して、過去問を解いていくことで、試験の実践力を養っていきます。

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なお、過去問題集については、このサイトを活用するのであれば無理に買う必要はないと思います。

3. 過去問で解けなかった問題の復習を行う

上記で解けなかった問題の復習を行います。私の場合は、できなかった問題をまとめた自作問題集を作成・印刷して勉強しました。

4. 模擬試験を定期的(月1・週1)に実施する

前述した通り、午前2.5時間、午後2.5時間、計5時間と長丁場の試験となっています(TOEICでも2時間)。これをぶっつけ本番で挑んだ場合、精神的にも肉体的にもかなり負担となり、問題を解く時間配分を掴めずに終わってしまいます。そこでオススメなのが、自主的に本番と同じ形式で模擬試験を行うことにより、試験自体にあらかじめ慣れておくことです。

まず、公式サイトの過去問題掲載ページから試験問題を印刷して、休みの日に自主的に模擬試験を行います。時間も「午前試験は9:30~12:00」「午後試験は13:00~15:30」と、本番と同様のスケジュールで実施します。また、できれば自宅ではなく、近場の図書館など場所を変えてやった方がいいでしょう。なるべく、本番と同じ環境を準備して模擬試験を行うのがコツです。

また、頻度としては月1、試験日1か月前は週1が理想です。これを最低でも3-5回行うと、試験のペース配分や試験そのものの雰囲気が掴めます。私は模擬試験を何度も行ったことにより、試験当日はペースを乱すことなく試験に挑むことが出来ました。

5. 模擬試験で解けなかった問題の復習を行う

過去問同様に解けなかった問題の復習を行います。過去問の解答については、「応用情報技術者試験.com」に記載があります。特に、午後問題については、何度も繰り返しやっても足りないぐらいです。

また、勉強していくうちに苦手な分野も出てくると思います。特に午後試験については、その傾向が顕著に表れるかと思います。午後試験は11問中5問を選択するため、極端な話ですが6問捨てても問題ありません。ある程度、勉強が進んだら、苦手な分野の問題の勉強はストップし、解けそうな問題を重点的に対策していくのがいいでしょう。(ただし、情報セキュリティは必須解答問題となっていますので、必ず勉強する必要があります。)

その他学習法:通信講座を活用する

独学が苦手な方は、前述した勉強法に加え、通信講座を活用するという手があります。応用情報技術者試験では、いくつかWeb上で受けられる通信講座があります。

私の知り合いにも通信講座を活用して応用情報技術者試験に合格した方がいました。お金はかかりますが、思い切って通信講座を利用して勉強するというのも一つの手だと思います。

おわりに

私の場合、エンジニア職の経験はあるものの、それでも問題の難易度は午前・午後総じて高いと感じました。結果として、1年で300時間ぐらい勉強に費やしたと思います。私見ですが、応用情報技術者試験に合格するためには、少なく見積もっても200-500時間程度の勉強は必要だと思います。(基本情報技術者試験を合格した後でしたら、100-200時間程度でも問題ないと思います。)

学問の道に王道なし。とにかく質より量をこなしながら愚直に勉強を進めていくのが合格への近道だと思います。

また、開発の知見やケーススタディを勉強できる試験であるため、合格してそれでオシマイではなく、定期的に過去問題をIPAから印刷して、勉強する機会を設けることで、よりITエンジニアとしての知識力・実践力が身につくかと思います。そして、高度情報技術者試験の午前問題は、応用情報技術者試験の問題がそのまま出題されるため、定期的に勉強することにより、高度試験の備えにも繋がります。

決して易しい試験ではありませんが、勉強した分の経験や知識は、間違いなく今後のITエンジニア人生の糧になるでしょう。

参考サイト

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