皆さん,こんにちは.初めまして.ハシュマルです.
全ロボで発表を聞いてくださった方々はありがとうございました.その発表の内容に加え,補足も加えたものをこれから何回かに分けて投下していこうかなと思います.リアクションをつけてくださるとハシュマルのやる気が出るので,いいねなどよろしくお願いします~
人口筋肉ってどんなやつ?
さて,今回は初回ということで,人工筋について紹介したいと思います.
人工筋肉と言いましても,Google大先生に聞いてみると様々な種類のものがヒットします.
例えば以下のような培養肉でできたものや釣り糸でできたもの,そしてブリヂストンと東京工業大学の共同開発で油圧駆動人工筋肉が開発されたりもしています.これらの他にも様々なものがあります.
世界初 筋肉と機械で構成したロボット 東大が開発(18/05/31)
https://www.youtube.com/watch?v=2ALVumBYT8w
釣り糸で人工筋肉を作ろう
https://www.mirai-kougaku.jp/laboratory/pages/220311_02.php
ブリヂストンの技術が詰まった「ゴム人工筋肉」の技術開発発表会
https://www.bridgestone.co.jp/blog/2017020201.html
今回私が全ロボで紹介した人工筋肉は,ブリヂストンさんの人工筋のようなマッキベン型人工筋肉です.ただし,こちらの人工筋肉は圧縮空気で動作します.
マッキベン型人工筋肉について
マッキベン型人工筋肉は主に空気の注入口とシリコンチューブ,スリーブ,空気漏れ防止の栓の4つのパーツからできています.
こちらの人工筋肉は阪大の石川・南研究室の増田先生が公開されているもので,これを参考に製作しました.「人工筋肉 自作」で検索すると真っ先にヒットすると思います.これがレシピです.
そしてこれが製作の動画です.
この人工筋肉は,低価格で誰でも比較的簡単に同じ性能のものを作れるという点において非常に素晴らしいものとなっております.
出力荷重と収縮率についてのグラフを下図に示します.縦軸が引張荷重,横軸が収縮率です.また,実線が理論式,丸の点が0.2MPaの場合の出力,バツが0.1MPaの場合の出力を表しています.
このように,収縮率が上昇すると出力荷重が減少していきます.要は,関節に人口筋肉を付けると関節を曲げれば曲げるほど曲げる力が弱くなっていく,ということですね.
このように,ロボコンでよく使用される空気圧力0.75[MPa]よりもはるかに小さい圧力でもこの人工筋肉は動作し,0.2MPa印加時には大体6kgfの出力を得られることがわかります.
ちなみにこれは余談なのですが,間違えて0.8MPaの空気を印加してしまったときは空気を止めている栓が破裂音と共に吹き飛びました.おそらく栓を止めていたホースバンド(増田先生のレシピよりチューブ径が大きいものを作っていた)の固定が甘かったものと考えられます.皆さん,遊ぶ場合は気をつけましょうね.
こんな人工筋肉ですが,一つ欠点があります.それは収縮率の小ささです.上のグラフを見てもらえばわかるかと思いますが,今回製作した人工筋肉の収縮率は理論のものよりも小さく,最大でも23%程度にとどまっています.これは,100mmの人工筋肉を作った場合は77mmになるということで,23mmしか縮んでくれません.これは困った...
そんな折,先生がラバーレス人工筋というものを発見してくださったことで,事態が急展開していきます.
ラバーレス素材を用いた人工筋肉
従来型の人工筋肉の大きな欠点は収縮率の小ささでした.そこで,新さんという方がこの点を大きく改善した人口筋肉を開発されました.その収縮率はなんと驚異の約48%!!
以下に元論文(予稿?)のリンクを示します.(J-STAGEの購読が必要です.見たい人は購読するか先生にお願いしてダウンロードしてもらいましょう)
この論文によると,従来型はスリーブの中がシリコンチューブであった所をアルミ蒸着袋で作ったエアバックに変更することで,48%の収縮率を実現しています.また,引張荷重についても従来型のものが0.2MPaの場合約6kgfであったのに対し,新さんの人工筋肉は約48kgfとなっており,大きく上昇しています.
これらの点から,私はこの人工筋肉を使いたいと考え,論文の内容を参考に人工筋肉を作らせていただきました.それから派生していったものが,全ロボで作り方を紹介した人工筋になります.ただし,収縮率は最大で40%(収縮率は48%を達成しました),引張荷重が約11kgfとなっており,新さんのものの劣化版になっています(追記:人口筋の直径を大きくすると近い値が出ることがわかりました.理論式を考えたら当然だね).私はこれに満足してロボットを作っていますが(この時点で従来型よりもはるかに高性能),さらに上を目指したい人は私の成果を基に改良してくださいね.
次回予告
今回は主に人工筋肉について紹介しました.この続きは後日投下していくのでお楽しみに~
次に投稿する記事はハード面について書いていきますが,いずれ制御について書きたいなーと思っております.プログラミングがからっきしの機械屋が悶絶する様をお楽しみに.
あまりにも記事の更新が遅いようでしたらTwittarに尻を蹴りに来てください.必死になって書きます.
また,ご意見・質問などありましたらQiitaのコメントやTwitterのDMなどに送ってください.特に著作権が怖いので,何かお気づきの点がございましたら教えていただけると幸いです.よろしくお願いします.