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bashで文字列分解する時、cutやawkもいいけど、setの方が早い、けどreadが最強

Last updated at Posted at 2017-03-09

スペースやタブで区切られた文字列から、特定の箇所を抽出する、
といえば、真っ先にcutやawkが浮かびますが、実はsetでも似たようなことができます。

お題

例えば、こんなhostsがあったとします。空白はすべてスペースであるとします。

hosts
123.123.123.123         geeg1   # application server
123.123.123.124         geeg2   # web frontend server
123.123.123.125         geeg3   # super fabulous exciting backup server #1

これをループして、IP、ホスト名、コメント部分を別々の変数に格納し、表示します。

cutの場合

case_of_cut
while read line
do
  ip=$(cut -d' ' -f 1 <<<${line})
  hostn=$(cut -d' ' -f 2 <<<${line})
  comment=$(cut -d' ' -f 4- <<<${line})
  echo "[ip]${ip} [hostname]${hostn} [comment]${comment}"
done < hosts

他にも書きようがあるかもしれませんが、ちょっとごちゃっとしてますね。

awkの場合

case_of_awk
while read line
do
  ip=$(awk '{print $1}' <<<${line})
  hostn=$(awk '{print $2}' <<<${line})
  comment=$(awk '{for(i=4;i<NF;i++){ printf("%s%s",$i,OFS=" ")}print $NF}' <<<${line})
  echo "[ip]${ip} [hostname]${hostn} [comment]${comment}"
done < hosts

本当はawk内で完結させようと思ったのですが、知識及ばず…。
awkはフィールド範囲指定が弱いっぽいので、cutより複雑になってしまいますね。

setの場合

case_of_set
while read line
do
  set ${line}
  ip=${1}
  hostn=${2}
  comment=$(eval echo $(eval echo \\\$\{$(echo {4..${#}})\}))
  echo "[ip]${ip} [hostname]${hostn} [comment]${comment}"
done < hosts

範囲指定部分がトリッキーですが…範囲指定ではない部分はいたってシンプルに書けます。
もしもちゃんと最後の要素の番号を判定せず、なんとなくの範囲指定をするなら、
comment=$(eval echo \$\{{4..99}\})と書いてもOKです。

2017/10/15追記

@akinomyoga さんに教えて頂きました。感謝です。

$(eval echo $(eval echo \\\$\{$(echo {4..${#}})\}))の部分ですが、なんと、
${*:4}…たったこれだけで行けてしまいます…。

case_of_set_2
while read line
do
  set ${line}
  ip=${1}
  hostn=${2}
  comment=${*:4}
  echo "[ip]${ip} [hostname]${hostn} [comment]${comment}"
done < hosts

まず、変数${*}は特殊パラメータであり、何を意味するかというと、全ての位置パラメータ($1とか$2とか)を意味します。
こいつに部分文字列展開${parameter:offset}を適用することで、位置パラメータの4番以降…という表現ができてしまうんですね。
素晴らしいです。

readの場合

@magicant さんに教えて頂きました。感謝です。

case_of_read
while read ip hostname n comment
do
  echo "[ip]${ip} [hostname]${hostn} [comment]${comment}"
done < hosts

いらない部分を捨てる必要がありますが、捨てる部分がないか、少なければ、
ものすごくシンプルに書けますね。

実行速度比較

もはやタイトルでネタバレですが、上記のwhileを以下な感じで500回ほど回して、実行時間を計測しました。
time for i in {0..500}; do ./case_of_cut.sh >/dev/null; done
結果は以下です。

command time(s)
cut 23.692
awk 28.268
set(tricky) 13.493
set(4..99) 8.421
read 3.207

setがダブルスコアで圧勝です。
追記:readが更に早かったです!

setの仕組み

$1,$2等はPositional Parametersと言って、通常はシェル起動時に引数が代入されます。
代入分による代入はできませんが、setコマンドを使うことにより代入しなおすことが可能です。
この時、IFSで区切られてPositional Parametersに格納されるので、cutやawkの代替として使えるわけです。
また、setはシェルの組み込みコマンドのため、パフォーマンス的にも有利、かも。

尚、Positional Parametersが10以上の数字になる場合は、ブレース(これ→{})で括る必要があります。

結局どれを使うか

  • cut
    誰が見ても分かりやすいけど遅い

  • awk
    少々トリッキーな上、遅い

  • set
    途中途中に捨てる部分が多い文字列であれば有用

  • read
    文字列全部分解して使う際は勿論、途中で捨てるものがある場合でもOK
    使いようによってはsetの真似事も可能

結論:setをpushしましたが、readが万能すぎました

おまけ setの範囲指定部分の簡単な解説

comment=$(eval echo $(eval echo \\\$\{$(echo {4..${#}})\}))

まず、$(echo {4..${#}})で${#}を展開、{4..9}みたいなのが取れます。これがブレース展開のネタ。
次に、evalで変数を評価してから表示します。{4..9}のブレース展開が行われます。
$は次のevalの評価で使うため、エスケープする必要がありますので、\\\$という書き方になっています。
更に、10以上の数字になることを考慮して、ブレース展開される外側をブレースで括ります。
この時、外側ブレースはエスケープしないと評価されてしまうので、エスケープします。
ここまでで${4} ${5} ${6} ${7} ${8} ${9}が取れます。
最後に、それら変数を再度evalで評価すると、$4とかの中身がようやく取れます。

これ数か月後に自分が読んで理解できるかどうか…。

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