はじめに
以下の参加記事になります。
私がデータマネジメントを勉強した際に参考になった書籍やネットに公開されている無料教材を紹介します。
データマネジメントに私が関わるきっかけについての記事はこちらで書いていますので、興味があればご参考ください。
この記事はこんな方におすすめ
- データマネジメントに取り組む予定のある人
- 社内のデータ、クライアントのデータがヤバすぎることに気がついてしまった人
- DX推進者になっちゃった人※
※何故、DX推進者におすすめかというと、社内のデータ活用をする上で、ビジネス価値のあるデータを管理(マネジメント)することは避けて通ることはできないからです。DXを推進する、ということは遅かれ早かれデータマネジメントの壁にぶつかることを意味します。
教材紹介の前に:データマネジメントは実践してこそ
教材の紹介の前に矛盾したことを書くようですが、データマネジメントの勉強(Input)はやりすぎるのは費用対効果が良くないと私は考えています。
というのも、教科書というものは網羅的にポイントは示してくれていますが、紹介されている例は大体扱いやすいように課題を単純化していて現実の現場が直面している課題から遠く、いざやるときになって手も足も出ないということが往々にして起こるからです。現実の課題の解像度が低い状態では何も具体的で有効な施策を考えることができません。
なので、データマネジメントのおすすめの学習方法は、適当な書籍や教材を一通り読んだら、一度身の回りで起きているデータマネジメントの問題に直面して、悩むことだと私は考えています。
データマネジメントを必要としている現場の課題は、往々にして非常に複雑に絡み合った集合体として存在します。
それを解きほぐして、実施すべき施策に優先順位をつけて、データマネジメントのための人材を育成しながらデータを管理・取り組みを浸透させていく活動こそがデータマネジメントであり、データマネジメントを学ぶことのゴールはそういった実践にあると私は考えています。
なので、書籍を1,2冊読んだら是非実践してみてください。
書籍を読んだ以上の学びがあると思います。
私は業務課題で悩んだあとに以下で紹介するようなデータマネジメントの書籍を読んで、実践してまた悩む、というプロセスを経験しましたが、この過程で非常に多くの学びを得ました。
この記事を読む皆さんがどのようなプロセスを経てデータマネジメントに興味を持っているかはわかりませんが、以下で紹介する教材がなにかの参考になれば幸いです。
最初におすすめ:[実践的データ基盤への処方箋]
データ活用を企業で進めていこうとすると、早い段階でデータ活用のためのデータ基盤を作っていく必要があることに気づきますが、「ではどうやってそれを作るのか?」について、データ基盤整備にこれから関わる初級者が簡単に全体像を把握できるような書籍は殆どありませんでした。
そういったデータ基盤に関わる、これから関わろうとする方々のために「データ」、「システム」、「ヒト」の3つの切り口で、実践的なデータ基盤構築のノウハウの全体像を解説している点が本書のポイントです。
データ基盤構築のノウハウの中にはデータマネジメントの要素が随所にあり、実例を通じて学ぶのに良い構成となっています。
特に初学者にとって第1章「データ活用のためのデータ整備」は参考になります。
第1章では、データが生成されてから活用されるまでの一連の流れを解説しており、生成から活用まで左側から右側へデータを流していくだけなのになぜうまく行かないのか、どこで問題が発生しているのかを実例をもとに学ぶことができます。
完全に同じことが読者の職場で起きていることは少ないと思いますが、類似の問題は多かれ少なかれ、どこにでもあるため、本書で紹介されているアンチパターンやよくあるデータ整備の課題と対策を学ぶことはデータ基盤を考える上で大いに参考になると思います。
ガッツリ関わる人におすすめ:データマネジメント知識体系ガイド 第2版 DAMA-DMBOK
データ基盤を作る、今あるデータを活用しやすいように改善する、データ品質の管理をする、そういった取り組みをいざ始めてみると色々なところに落とし穴があることに気がつきます。
またその落とし穴は組織の仕組みや体制であったり、管理対象の複雑性だったりと様々です。
本書(以下、DMBOK)はタイトルの通り、そういったデータマネジメント全体に関する知識体系したデータマネジメントのバイブルです。
下図のようにデータマネジメントを17の知識領域にわけ、解説しています。
DMBOKの読み方、使い方は様々ありますが、DMBOKの中で書かれている通り、示された施策の例やフレームワークをすべて使わなければならない、というわけではありません。
というのも企業によって組織の中でできること、優先すべきことは異なるからです。
そこで、すべての章を精読するのではなく、自分の仕事に必要な章を深堀りして読む、困った際に立ち返って該当部分を参照するような辞書的な活用方法をおすすめします。
また、各章ごとに目指すべきゴールや実施すべき取り組み、考えるべきルールが整理されていますので、実際に自分の会社でデータマネジメントやデータガバナンスの取り組みを実施する際のチェックリストとしても役に立つので是非手元に一冊用意しておくことをおすすめします。
とはいえ、定価で税込み13200円しますので、ひとまず内容を知りたいのであればデータマネジメントが30分でわかる本を読んでみることをおすすめします。
無料のおすすめ教材:民間企業におけるデータ整備の課題と工夫
こちらはスライド資料ですが、大変しっかりまとまっており、頭から読んでいけば内容が理解できる構成になっています。特に上図のように、資料の中でデータマネジメントの具体的な考え方が示されており、DMBOKなどの書籍だけでは知ることができない現実的な問題への対処方法を学べることがポイントです。
お金をかけずデータマネジメントを学びたい方や実例を知りたい方におすすめです。
本資料の著者であるゆずたそ氏は、他にも大変わかりやすい資料を多く無料公開していますので、気になった方は末尾の参考文献もご参照ください。
おわりに(+ちょっと紹介)
いかがでしたでしょうか。
この記事では実務に取り組むにあたって最低限目を通したほうが良い書籍・資料を紹介しました。
他にも色々な知識、例えばDB設計やデータアーキテクチャ等も事前に勉強して知っていると良いのは良いですが、冒頭に述べたようにデータマネジメントは実践が大切です。
今回紹介したような書籍を1,2冊読んだなら、是非、学んだ知識をもとに現実の課題に挑戦してみてください。きっと多くの学びがあることでしょう。
そして、実践して足りないと感じた知識は後から勉強すれば良いと思います。
必要な知識領域はDMBOKに示されていますので、データマネジメントの課題にぶつかって立ち返るときにはDMBOKの該当箇所を読み返して、その周辺についてまとまった書籍を探すと良いでしょう。
最後に少し紹介です。
今回はデータマネジメントに関わる方を対象に書籍・教材の紹介を行いましたが、こういったデータにまつわる技術分野の書籍や教材の情報と学習者をより良くマッチングさせることは多くの技術者にとって価値のあることだと考えています。
そこで、教材と学習者をベストマッチさせるための取り組みをデータラーニングギルドのメンバーと一緒にはじめました。
ご興味があればこちらをご覧いただければ幸いです。
(書籍の紹介で載せた書籍情報・タグ情報等の画像はその取り組みの成果物の一部になります)
最後までお読みいただきありがとうございました!