これがどうやら100記事目になるようだ。
加えて今日は月曜日なので、これで15週連続投稿ということになりそうである(昨年末からの連週記録は途中何週間か欠けたので3月以降の連週投稿記録になる)。
しばらくプログラムと関係のない関数電卓を扱ってきたが、今回はプログラミング可能な関数電卓、fx-5800Pを取り上げる。
今回は開封レビューと、あえて非プログラミング関数電卓との比較を行ってみる。
開封
到着したパッケージは紙箱。
紙箱のデザインは2019年発売のfx-290A/fx-375ESAや2023年発売のClassWizCWと同じものであった。
中身はともかく、パッケージは2019年以降に作られたものであろう。
カバーをした表面と裏面。電池(単四1本)はすでに入っており、絶縁シートが差し込まれている。
機種としての発売開始は2008年6月。
当時の液晶の技術がこのレベルだったというわけではないが、低解像の文字が目立つ。
大きさ
複数行の各機種と並べてみた。
ドットサイズは横幅がEL-520Tと同程度で、縦長になっている。
カシオES機、初代ClassWiz、シャープ機よりは見やすく感じる。
一方、ClassWiz CWの数字は太めのゴシックを採用しているため、小さくてもfx-5800Pより見やすく感じる。
最後のGRAPH LIGHTは国内モデルにはないため参考だが、文字の大きさもfx-5800Pに匹敵し、この中で最も見やすい液晶となっている。フランスの中高生向けで双曲線関数がない点が非常に惜しいが、双曲線関数を載せて日本で販売すれば喜んで買う人がいるのではないか。CW最大の欠点である指数入力も従来方式が選べる良機種。
上記6機種で積分記号と分数を表示させるとこうなる(ほぼfx-5800Pの画面の大きさに合わせてある)。
ES機は見た目3行機にも関わらず両方をうまく収めているのに対し、fx-5800PとEL-520Tは見た目4行機なのに一部が欠けてしまっている。
教科書通り表示に関して、本機は低解像度かつ処理の甘さがあり、よいとは言い難い。
ベンチマーク
発売当時としては演算速度が速いと述べるレビューも一部にはあるようだが、その後に発売された機種との比較だとどうだろうか。積分や総和をいくつか試してみた。
- $2\int_{-1}^1\sqrt{1-x^2}dx$
- EL-520T: 約8秒(誤差が約-4.5E-4と大きめ)
- fx-JP500CW: 約12秒
- fx-JP700: 約14秒
- UC-800X: 約26秒
- fx-5800P: 約32秒
- fx-375ESA: 約1分
- F-789SG: 約1分10秒
- $\int_{-2}^22\sqrt{2^2-x^2}dx$
- EL-520T: 約10秒(誤差が約-1.8E-3と大きめ)
- fx-JP500CW: 約17秒(小数解表示、誤差0)
- fx-JP700: 約19秒(4π)
- UC-800X: 約34秒(誤差約1.3E-9)
- fx-5800P: 約53秒(4π)
- fx-375ESA: 約1分29秒(4π)
- F-789SG: 約1分52秒(誤差約2.0E-9)
- $\int_0^{1.57079}\tan xdx$ [RAD]
- fx-JP500CW: 約8秒, 11.97071679
- fx-JP700: 約13秒, 11.97071678
- EL-520T: 約18秒, 419.4464408
- fx-5800P: 約20秒, 11.97071678
- UC-800X: 約37秒, 11.97071679
- fx-375ESA: 約1分11秒, 11.97071678
- F-789SG: 約2分50秒, 11.97071679
- $\int_0^π\sin^2x+\sqrt{x}dx$
- fx-JP500CW: 約19秒
- fx-JP700: 約23秒
- UC-800X: 約26秒
- EL-520T: 約30秒(誤差約-1.5E-4)
- fx-5800P: 約38秒
- F-789SG: 約1分
- fx-375ESA: 約1分58秒
- $\sum_{x=1}^{14000}x^2-1$
- fx-JP500CW: 約44秒
- fx-JP700: 約1分12秒
- UC-800X: 約1分37秒
- F-789SG: 約4分6秒
- EL-520T: 約4分16秒
- fx-5800P: 約4分36秒
- fx-375ESA: 約5分22秒
結論としては、fx-375ESAより速いものの、ClassWizよりは総じて遅い。EXクローン機と比べても一部を除き遅い。
ClassWiz CWを避けるために買うのであればまだ候補としてありなのかもしれないが、ES機のかわりに3倍以上の価格をかけても演算速度は大して向上しない。
演算速度面で選ぶ価値はほとんどないと言ってよいだろう。
FUNCTIONキー
fx-5800Pのキーには積分や総和などの記号が書いてない。これらの関数は[FUNCTION]キーから呼び出す。ClassWiz CWのCATALOGメニューのようなものである。
MATHメニュー内には以下の関数が収められている。
2次微分など、ClassWizに搭載されていない関数もいくつかある。
なお本機には複素数モードが無く、FUNCTIONメニューのCOMPLEXから必要な関数を呼び出してそのまま複素数計算ができる。この点はグラフ電卓に近い。
自己診断モード
自己診断モードへの入り方はこちらのブログで紹介されていた。
全ドット表示させるとこんな感じになる。
ドット間に微妙に隙間がある点も本機の特徴と言えるかもしれない。
非プログラミング用としては一部機能を除いて非力
以上、主に非プログラミング用途としてfx-5800Pを使った場合を想定してレビューをしてみた。
発売から17年も経つ機種であり、噂では今年にも修理対応が打ち切られるのではという話が出るほどである。
非プログラミング用途として積極的に本機を選ぶ理由は、画面の文字が太めでやや見やすいこと、文字メモリーを多く使えること、電源を消しても式が残ること以外には見当たらない。
プログラミング目当てでなければ素直にClassWizやカシオES機、キヤノン機、シャープ機を買った方がよさそうである。