試験で慌てないよう、答を小数で表示する方法は確認しよう
SNSを見ると試験期間等で時折流れてくる「関数電卓の答が分数で出てきて、小数にするやり方がわからない」との投稿。
複数行機だと初期設定では(たとえ整数や小数で入力したものでも)分数を含む答が返ってくることがある。この場合、小数表示に切り替えるボタンが用意されているのでそれを押せばよい。
- [S⇔D]:カシオClassWiz(初代)、カシオES
- [FORMAT]:カシオClassWiz CW
- [CHANGE]:シャープ複数行機
- [F↔D]:キヤノン複数行機
- [a b/c]:1・2行機(分数で入力して分数の答が表示された場合の切り替えキー)
答の小数出力キーとして、[SHIFT][=] が有効な機種も多い。ClassWizシリーズはキーに ≈ が印刷されていて小数出力機能が明示されているほか、カシオESシリーズやキヤノン複数行機でも使用可能。シャープ複数行機では使えない。なお、Ansを含む式では使用に注意が必要である(再計算してしまうため)。
ただし、そもそも7セグ関数電卓(1行機・2行機)以外でも毎回答が小数表示(相当)となる設定が必ず用意されている。
この記事では設定方法や、小数表示の違いについて解説する。
まずはタイプ別にまとめ
1行機
- 分数機能のない機種(EL-501Tなど)は必ず小数出力となる。
- 分数機能のある機種(F-605G)は分数入力した場合のみ分数出力(表現可能な範囲のみ)、それ以外は小数出力となる。
2行機
- 2行機(fx-290A, F-715SA, F-715SG)は、分数入力した場合のみ分数出力(表現可能な範囲のみ)、それ以外は小数出力となる。
複数行機
- 初期設定では教科書通り入力、教科書通り出力となる。
- 1行出力に切り替えが可能で、このモードは分数入力した場合のみ分数出力(表現可能な範囲のみ)、それ以外は小数出力となる。2行機の出力と同様と考えてよい。
- カシオClassWizのみ、上記に加えて小数出力モードを備えており、このモードでは必ず小数出力となる。
以下、複数行の各機種について解説する。
カシオClassWiz
該当機種
- ClassWiz CW: fx-JP900CW, fx-JP700CW, fx-JP500CW, fx-550AZ
- ClassWiz(初代): fx-JP900, fx-JP700, fx-JP500, fx-530AZ
小数表示対応度:★★★
- 小数出力に相当するモードがあるか:○
- 教科書通り入力で小数出力となるモードかあるか:○(数学自然表示入力/小数出力)
- 答が必ず小数出力となるモードがあるか:○
現在国内販売されている複数行機種で、必ず小数出力となるモードが備わっているのはClassWizシリーズ(初代・CW)のみである。
操作方法
3種類の小数出力(相当)モードが用意されている。
- ClassWiz CW: [SETTINGS]→計算・表示形式の設定→入力/出力→(下表)
- ClassWiz(初代): [SHIFT][SETUP]→1:入力/出力→(下表)
モード | 小数出力や入力方法の違い |
---|---|
数学自然表示入力/小数出力 | 必ず小数出力となる。入力は数学自然表示。 |
ライン表示入出力 | 2行機相当の小数出力(分数入力は分数表示となることも)。入力は1行表示。 |
ライン表示入力/小数出力 | 必ず小数出力となる。入力は1行表示。 |
答を必ず小数で表示させたければ、「数学自然表示入力/小数出力」か「ライン表示入力/小数出力」を選べばよい。
「数学自然表示入力/小数出力」モードでは、[FORMAT](CW)や[S⇔D](初代)で分数やルート等を含む数学自然表示に戻すことができる。「ライン表示入力/小数出力」モードは[FORMAT]や[S⇔D]で一部の分数のみ分数表示に戻すことができる。
これらのモードでは度分秒の計算も必ず小数出力となるため、答を度分秒で表示させたい場合は切り替えボタンを押す必要がある(CWは[FORMAT]、初代は[°′″])。
一方、「ライン表示入出力」は2行機の入出力と同様で、小数入力した答は小数出力、分数入力した場合のみ答を分数で表示する(表示可能な範囲の場合)。度分秒の計算も答が度分秒で表示されるため、用途によってはこのモードの方が使いやすいかもしれない。
fx-JP700CW/fx-JP900CW 取扱説明書 SETTINGSメニューを使う
fx-JP700/fx-JP900 取扱説明書(PDF)(p8, p14)
カシオES
該当機種
- fx-375ES A
小数表示対応度:★★
- 小数出力に相当するモードがあるか:○
- 教科書通り入力で小数出力となるモードかあるか:○(MthIO-LineO)
- 答が必ず小数出力となるモードがあるか:×(2行機相当)
操作方法
- [SHIFT][SETUP]→(下表)
モード | 小数出力や入力方法の違い |
---|---|
1:MthIO→2:LineO | 2行機相当の小数出力(分数入力は分数表示となることも)。入力は自然表示。 |
2:LineIO | 2行機相当の小数出力(分数入力は分数表示となることも)。入力は1行表示。 |
入力方式の違いで2つのモードが用意されている。どちらも2行機相当となる小数出力である。
分数で入力した答が分数表示となることがあるものの、小数で入力した答は小数出力となる。度分秒の計算結果は小数とならず、度分秒の形で表示される。
なお、MthIO-LineO(自然表示入力-ライン表示出力)で[S⇔D]を押しても、一部の分数を除いて自然表示の形に戻すことはできない。
fx-375ES A 取扱説明書(PDF)(p10)
シャープ複数行機
該当機種
- EL-5160T, EL-520T, EL-509T
小数表示対応度:★★
- 小数出力に相当するモードがあるか:○
- 教科書通り入力で小数出力となるモードかあるか:○(式通り入力-小数形式の答)
- 答が必ず小数出力となるモードがあるか:×(2行機相当)
操作方法
- [2nd F][MATH](SETUP)→[2]式入力→(下表)
モード | 小数出力や入力方法の違い |
---|---|
[0]式通り入力→[1]小数形式の答 | 2行機相当の小数出力(分数入力は分数表示となることも)。入力は式通り。 |
[1]1行入力表示 | 2行機相当の小数出力(分数入力は分数表示となることも)。入力は1行表示。 |
基本的にはカシオESと同じ。「式通り入力-小数形式の答」で[CHANGE]を押しても一部の分数を除いて式通り表示の形に戻すことはできない。度分秒がそのまま表示される点も同様。
余談になるが、帯分数にも循環小数にもなる答の場合、[CHANGE]キーで4つの表示形式を切り替えることになる(下記は「式通り入力-式通りの答」の表示例)。
例: $ \frac{4}{3} $ [=] $ 1\frac{1}{3} $ [CHANGE] $ \frac{4}{3} $ [CHANGE] $ 1.\dot{3} $ [CHANGE] $ 1.333333333 $
(循環小数表示はオフにすることができる)
EL-520T/5160T 取扱説明書(PDF)(p11, p14, p17)
キヤノン複数行機
該当機種
- F-789SG
小数表示対応度:★
- 小数出力に相当するモードがあるか:○
- 教科書通り入力で小数出力となるモードかあるか:×
- 答が必ず小数出力となるモードがあるか:×(2行機相当)
操作方法
- [Shift][MODE](SET-UP)→2:Line
ラインビューモードと称している。2行機相当の小数出力(分数入力は分数表示となることも)、入力は1行表示となる。度分秒はそのまま表示され、[F↔D]で一部の分数のみ分数表示に戻すことができる。
教科書ビュー入力-ラインビュー出力のモードは用意されておらず、教科書ビュー入力の場合は必ず教科書ビュー出力となってしまう。この点はカシオESやシャープ複数行機と比べると見劣りしてしまう。
F-789SG 使用説明書(PDF)(p6)