答が分数表示でイラッとする方におすすめ…?
新入生が関数電卓を使い始めるこの時期やテストシーズンになると「答が分数表示になる」との投稿が度々なされる。
昨日もこんなツイートがなされ、たくさんの反応を集めていた。「最初から小数表示の方がいいのに」というリプも多数寄せられている。
そんな、答が分数表示で困るというあなたに朗報(?)です。
中国の学生計算器、人教社PEP-290と天雁TY-290ESなら、答は小数で表示されます!
え?本当は分数の答が欲しいって?
それも心配は御無用。カシオの関数電卓で小数表示となる[2ndF][=]を押すと…
こちらが分数表示になった!
説明書が天雁のサイトにあるので、該当部分を確認してみよう。
Googleレンズにかけると…(sinが罪になってしまうのは御愛嬌)
基本的には小数表示となることがわかります。
なお、分数同士の計算は分数で結果表示(TIの関数電卓と同様)。これを小数に変換するには[2ndF][$a\frac{b}{c}$]([↔$a\frac{b}{c}$])と操作しなくてはならず、ちょっと面倒。
とはいえ、カシオ(・キヤノン)やシャープの複数行機も最初から表([=]のみ)を小数表示にすべきではなかったか。カシオやシャープの欠点を解消するように本機が設計されたと見た方がよいのだろうけれど。
外観が違うが中身は同一
PEP-290とTY-290ES、全く同一の機能を有しているが、見た目が随分違う。
PEP-290はまるでカシオ初代ES機のようなキー配列・形状。安っぽい見た目のプラスチックキー。
それに対しTY-290ESは小学生計算器のTY-190ESとそっくりの外観で、少ないキーを補うように2ndFの機能が割り振られている。こちらはゴムキー。
実はPEP-290はこれが旧版。新版のデザインはTY-290ESと全く同じである。初代ESのパ(ryに気が引けたのかどうかはわからないが、旧版デザインはそのうち入手できなくなるだろう。
ちなみにこのPEP-290旧版、ケースが一体型となっている。
閉じた状態から…
スライドさせて…
くるりんぱっ!
若干傾斜がついていることがおわかりいただけるだろうか。
キー形状はパ(ryでも筐体ギミックは独自色があって面白い。
機能はfx-82レベル
学生計算器(中学レベル想定)と銘打っていることもあり、機能はさほど多くない。
三角関数、累乗、平方根、累乗根、常用対数(Lg表記)、自然対数、乱数(3桁小数、任意の整数範囲=RANDI)など、fx-82レベルの関数はひと通り揃っている。
任意の対数(Log表記、カシオ機のlog■□に相当)も備わっているのが良い。
統計機能もカシオES機のような入力方法で1変数のみ備えているが、各統計値は表示のみで再利用できない。
LRN機能は数値や式をそのままの形で記憶(何も入力していない状態でLRNを押すと式の呼び出し、[ON/C]キーを押すと消える)。
CALCはカシオ機と同様、変数の値入力後に計算値が表示される。ただしこの機能が不安定で、時々変数がスキップされてしまうことがあった。
[DISP]キーは若干特殊で、1回押すとFixの桁数指定(0~9桁)、もう1回押すとSciの桁数指定(0~9桁)、更に押すと通常画面に戻る(この時点で固定表示解除)。Normの種類指定はなく、10-9を下回らなければ指数を使わない表示である。
輸入してまで買うべき機種ではないが、設計思想は日本のメーカーも取り入れたい
以上、PEP-290とTY-290ESを紹介した。
中国の各メーカーは教育用に様々な電卓を作っていることに驚かされる。
この機種自体は荒削りで、わざわざ輸入するような価値は無いかもしれない。
しかし、表が小数、裏が分数等の設計思想は日本の関数電卓メーカーも見習うべきで、特にカシオはClassWiz CWのような使いづらい機種を開発するのではなく、利用者(特に学生)がよく使う機能を表に出すような改良を加えていくべきだろう。
中国メーカーが低価格帯の関数電卓市場に本気で参入してきたらカシオもきつくなるだろうと感じる。もっとも、スマホ大国の中国はこの市場にさほど価値を感じていないかもしれないけれど。