はじめに
初めまして。shirakiです。
IT企業に入社して10余年の中堅エンジニアです。
ここ数年、新入社員教育の講師やOJT担当等を経験する機会が多くなり、そもそも若手社員がより良い成長をしていくために必要な基本的な知識や考え方とは何なのだろうかと考える機会が多くなりました。
今回の記事は、「より良い成長をしていくために必要な基本的な知識や考え方」を調べていた際に出会った、社会人基礎力というものについて導入部分の解説をしていきたいと思います。
社会人基礎力を知ることで、今の自分に足りないことを発見し、自身の考えや働き方に組み込んで実践することで基礎を固め、さらに高みを目指すための土台作りをしていただく一助になればと考えています。
なお、タイトルには若手社会人向けと銘打っていますが、実のところ社会人基礎力は中堅層より上の社会人にとっては必要不可欠なスキルと言ってよいくらいに重要なものです。
自分は若手ではないから・・・といった方も是非これを機会に知っていただければと思います。
概要
社会人基礎力とは何か
社会人基礎力は、経済産業省が2006年に提唱した「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力から構成される、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力を定義したものです。
【参考URL】:https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html
なお、社会人基礎力は平成29年度に開催した「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」において、「人生100年時代」ならではの切り口・視点を追加した「人生100年時代の社会人基礎力」として新たに定義されています。
今回の記事では、2006年に提唱された職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力について解説していきます。
なぜ社会人基礎力をつけるべきなのか
昨今、テクノロジーの急速な発達によって変化が激しい時代となっていることは皆さんもご認識のことですが、
今までに習得したノウハウや技術だけでこの先10年・20年を生き抜くのは非常に難しいのではないかと思います。
当然、新しい取り組みや今までのステージとは異なる場所での活躍を期待されるようなケースが増えていくことになりますが、多用なシーンで活躍するためには 普遍的かつ基礎的な能力 = 社会人基礎力 を持つことが重要となります。
社会人基礎力の3つの能力
冒頭でも述べていますが、社会人基礎力は3つの能力から構成されています。
3つの能力には以下のものがあげられています。
能力 | 副題 |
---|---|
前に踏み出す力 (アクション) | 一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力 |
考え抜く力 (シンキング) | 疑問を持ち、考え抜く力 |
チームで働く力(チームワーク) | 多様な人々とともに、目標に向けて協力する力 |
-
前に踏み出す力 (アクション)
これは、一人称で物事を捉えることができ、さらにそれをもとに自ら行動することを実現するために必要となる能力を指します。
社会人の基礎的な力の一部として、主体的かつ主導的な立ち回りが求められていることを表しています。
(Not指示待ち人間!!) -
考え抜く力 (シンキング)
これは、自ら課題の提起を行い、その課題を解決するためのシナリオを描けるような、自律的な思考を実現するために必要となる能力を指します。
社会人の基礎的な力の一部として、常に課題・問題意識を持ち、それを具体化して解決までのプロセス構築を自律的に行えることが求められていることを表しています。
(なるようになるさ!というような思考の放棄はNGです・・・) -
チームで働く力(チームワーク)
これは、多様な人々との繋がりや協働を生み出すことを実現するために必要となる能力を指します。
社会人の基礎的な力の一部として、チームや組織といった集団の中で活躍するための力が求められていることを表しています。
会社の中での個人を歯車に例えられるシーンがありますが、チームで働く場合には同じ歯車でも「動力を生み出すための歯車」や
「全体にあそびを持たせるための歯車」、「動力を伝えるための歯車」等、時と場合によってそれぞれの役割を持つ必要があり、
どのような役割でも対応できるようになるために必要な能力です。
(個人の能力だけでは限界があります・・・)
各能力の要素
上記の3つの能力はそれぞれさらに小さな能力要素に分けて定義されています。
-
前に踏み出す力 (アクション)
能力要素 副題 主体性 物事に進んで取り組む力 働きかけ力 他人に働きかけ巻き込む力 実行力 目的を設定し確実に行動する力 -
考え抜く力 (シンキング)
能力要素 副題 課題発見力 現状を分析し目的や課題を明らかにする力 計画力 課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力 創造力 新しい価値を生み出す力 -
チームで働く力(チームワーク)
能力要素 副題 発信力 自分の意見をわかりやすく伝える力 傾聴力 相手の意見を丁寧に聴く力 柔軟性 意見の違いや立場の違いを理解する力 情況把握力 自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力 規律性 社会のルールや人との約束を守る力 ストレスコントロール力 ストレスの発生源に対応する力
各能力要素を束ねることにより、社会人基礎力の3つの能力を実現することができるという考え方ですね。
"計画力"や"実行力"のような、実際の仕事で常に重要性が高い要素もあれば、"働きかけ力"や"創造力"のような限定的な局面で重要性が高くなるような要素もあります。
なお、上記内容がまとめられた資料が経済産業省より公開されています。
ただ、残念なことに、経済産業省が2006年に提唱した社会人基礎力は、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力を 定義しているだけ のものであるため、それぞれの力がなぜ必要になるのか・どのようにその力をつけていくのかについては明示されていません。
社会人として経験を積んでいる人であれば、今までの経験値からそれぞれの力がどのような場面で必要になるかをイメージすることは容易かと思いますが、まだ社会人になっていない学生や若手の社会人からすると、そもそもなんで必要なのか・どのようなシーンで必要になってくるのかがわからない部分もあるのではないかと思います。
でも大丈夫!!
次回の記事から、各能力の要素ごとにその力が必要となってくる具体的なシーンと、各要素の力をつけるための方法についてわかりやすく解説していきます。
終わりに
今回の記事では、社会人基礎力というものについて大まかに外堀の部分を解説をさせていただきました。
若手社会人の方々から見ると、社会人基礎力にあげられている "能力" や "能力要素" が、自分の目標としている「優秀なビジネスマン」や「上司・先輩」に備わっていることを実感できたのではないかと思います。
次回より各能力の要素について解説していきますので、是非ともご覧いただいてご自身の力にしていただければと思います。