前置き
仕事が遅いと悩んでいるあなたへ。
開発効率上げるのなら、EDD(Explore-Deliver Doctrine)を利用するのがおすすめということで、まとめてみました。
前提
先に大事なこと
- このキットは“全タスク”用ではない。毎日「いま全体の前進を止めている最小の1つ(Blocking Frontier)」にだけ適用。
- それ以外のタスクは、このキットの時間外で普段どおり進めてOK(ツール/手順は自由)。
- 1日1枠(45–120分推奨)。余力があれば最大2枠まで。枠外は通常作業。
- 2hに割れないかつ非Blockingな大物は、この枠では扱いません。遅延コスト(CoD)高/期限接近なら今週は通常時間の“BigRockウィンドウ(90–120m)”、CoD低なら次週へ。
- 決め順(10秒): Frontier → Safety → 2hの自信 → Ship / Try / BigRock(量の問題)
用語ミニ定義(10秒)
- Ship = ≤2hで対象を完了させる(つくる/直す/決める/送る)。可逆・影響小(小半径)が前提。
- Try = 45–60mの小実験で解像度を上げる(またはブロッカー=分からない/止まっている理由を1つ解消する)。開始前に goal / method / exit を一言で決めて始める。
- Stop = Safetyに触れるものは止めて相談(Escalate)。
合言葉(決め方はこれだけ)
- 二問で決める → 戻せる?/ 被害は小さい?(Yes/No)
- Yes/Yes → Ship(≤2hで出す)
- Noが混じる → Try(45–60mだけ小さく試す)
- Safetyに当たる → Stop(やらない・相談)
- 2hの意味: “高い確度で2h以内に終わる”。自信が持てない=低解像度→原則Try。
- Safety Gate(当てはまったらやらない)
- セキュリティ / 規制 / PII・機微 / 本番構成変更 / 決済
なぜ効く?
- 全体を止めている“詰まり”だけを毎日ほどき、やり直せる×被害小から先に進める。危険・重い決定は小実験で先に燃やす → 迷いと手戻りが減り、完了数が増える。
簡単フロー図
やること
0) 今日のセットアップ
- 今週扱う在庫を最大3件だけ選ぶ(各 ≤2h。超えるなら2h以下に割る)
- タイマー準備(45m / 60m / 120m のショートカット)
1) デイリーループ(毎日これだけ・3ステップ)
-
今日の対象を1つ選ぶ
- 基準: 「いま全体の前進を止めている最小の1つ(Blocking Frontier)」
- 見つからない時は「いちばん詰まっている/期限が近い」ものを暫定採用
-
二問で即決(Yes/No)
- 戻せる?(やり直しが効く)
- 被害は小さい?(失敗しても影響が小さい)
- 判定 → Yes/Yes: Ship(≤2h)/No混じる: Try(45–60m)/Safety該当: Stop
3分JDI適格チェック(Shipにする前だけ軽く確認)
- goal: 完了の姿を一行で言える?
- steps: 具体的な手順を3ステップで言える?
- deps: 依存は0〜1個で自分で解消できる?
- どれかNo→“2hの自信なし”=低解像度扱い→Tryへ
-
タイマーで実行し、チェックだけ付ける(記述は不要)
終わったら(任意)
- 余力があれば在庫からもう1つだけ同じ手順で実行(最大2サイクル/日)。無理はしない。
- このキット枠以外の時間は、その他のタスク(>2h含む)を通常のやり方で進めてOK。
補足
- 2hを超えそう → 2hに割ってから扱う(割れない大物は今週は対象外)
- Tryは「早くわかる方法を1つだけ」(プロト/調査/小インタビュー等)
- Try開始前に、頭の中で「goal / method / exit」を一言で決める(書かなくてOK)。ExitでGoならShipへ、Stopなら中止/相談へ。
- 依存で詰まっている時は、最初の15分は解除行動を1つだけ(連絡・申請など)→反応待ちはStop or 別の対象へ
- タイマーが鳴ったら止める(Try→Go or Try→Stopを決め直す)
例外ルール(緊急・重大・分割不可・>2h)
- Stopを自己判断で突破しない。まず相談(Escalate)。
- どうしても即対応が必要なら、次の順で最小安全化して進める:
- 15分で可逆化の準備(ロールバック/トグル/バックアップ/監視指標)
- 45–60mのガードTry(最大不確実性の事前燃焼/必要ならリーガル・セキュ確認)
- 段階コミット(小さく当てて計測→次段へ)。無理ならStop & Escalate継続
2) 7日間トラッカー(チェックだけで運用可・5/7日できればOK)
Day 1
- 今日の対象: __________________________
- Frontierだった: ☐ はい
- 判定: ☐ Ship(≤2h) ☐ Try(45–60m) ☐ Stop(Safety/保留)
- 実行: ☐ 完了(Ship) ☐ 完了(Try→Go→Ship) ☐ 中止(Try→Stop)
Day 2
- 今日の対象: __________________________
- Frontierだった: ☐ はい
- 判定: ☐ Ship ☐ Try ☐ Stop
- 実行: ☐ Ship ☐ Try→Go→Ship ☐ Try→Stop
Day 3
- 今日の対象: __________________________
- Frontierだった: ☐ はい
- 判定: ☐ Ship ☐ Try ☐ Stop
- 実行: ☐ Ship ☐ Try→Go→Ship ☐ Try→Stop
Day 4
- 今日の対象: __________________________
- Frontierだった: ☐ はい
- 判定: ☐ Ship ☐ Try ☐ Stop
- 実行: ☐ Ship ☐ Try→Go→Ship ☐ Try→Stop
Day 5
- 今日の対象: __________________________
- Frontierだった: ☐ はい
- 判定: ☐ Ship ☐ Try ☐ Stop
- 実行: ☐ Ship ☐ Try→Go→Ship ☐ Try→Stop
Day 6
- 今日の対象: __________________________
- Frontierだった: ☐ はい
- 判定: ☐ Ship ☐ Try ☐ Stop
- 実行: ☐ Ship ☐ Try→Go→Ship ☐ Try→Stop
Day 7(効果確認 3分)
- 決めるまでの時間(目安): 週初 __ 分 → 今日は __ 分(短くなった? ☐ はい)
- 手戻り(差し戻し回数): 週初 __ 回 → 今日は __ 回(減った? ☐ はい)
- 完了数(同じ時間あたり): 週初 __ 件 → 今日は __ 件(増えた? ☐ はい)
- 次週の設定
- 在庫数:☐ 3つ維持 ☐ 2つに減らす
- Try時間:☐ 45m ☐ 60m
- Safetyの相談先:____________________
- BigRockの扱い:☐ 分解Try継続 ☐ Stop & Escalate ☐ チームに回す
補足情報
3) ミニルール(迷ったら15秒で)
- 僅差は「早くわかる方」「やり直しが軽い方」を選ぶ
- 低解像度(2hの自信なし)は原則Try。JDI条件(≤2h・可逆・小半径)を満たせるならShip可。
- 不可逆/被害大のニオイ → Try(45–60m)で先に燃やす
- Safetyに触れたらStop(緊急でもEscalateしてから)
- 2h超の理由を先に判定:分からない=低解像度→Try/分かるが量=高解像度BigRock→枠外(BigRockウィンドウ or ≤2hで刻む)
- 高解像度BigRockはこのキットの対象外(ただしBFなら段階コミットで最小安全に前進)
4) そのまま使える言い回し
- 「戻せる×被害Smallなので90分で出します(Ship)。」
- 「解像が低いので45分プロトで切り口作ってから出します(Try→Go)。」
- 「Safetyに当たるので止めて相談します(Stop)。」
5) よくある落とし穴 → 回避
- いっぱい手を出す → いつも“1つだけ”やる(在庫は最大3)
- 書きすぎる → チェックだけでOK(空欄でもよい)
- 時間が伸びる → 120m/60m/45mの固定タイマーだけ使う
- でかすぎる → 2hで割れないものは今週扱わない
- 緊急でもSafetyを自己判断で突破しない(Stop & Escalate)
6) BigRock(>2h/割れない)の置き場と扱い(読む30秒)
- パーキング: 今週扱わない大物を最大3件だけ書き留める(名前だけ)
- 週1回25分「Structure Try」(任意)
- 目的: 2h以下に割る切り口を見つける
- 方法: 時間軸/構成要素/関係者/不確実性のどれかで分ける(どれか1つでOK)
- Exit: 分解できた→在庫へ/できない→Stop & Escalate(チーム/上長へ相談)
- 非緊急で自分でやる場合(任意): 「BigRockウィンドウ」90–120mを週1回だけ確保し、段階コミットで進める
- 注意: BigRockや長い作業は、このキットの枠外(通常時間)で実施する
7) 書きたい人だけ(一行テンプレ・任意)
- 決定: decision= Ship / Try / Stop, reason= 戻せる?/被害小?, revisit= いつ見直すか1つ
- Tryメモ: goal= 何が分かれば進める? method= 1つ, exit= GO/STOP条件
- Shipメモ: what= __ / duration= __h / reversible= Yes / blast= Small
(参考)
- Ship = Deliver(JDI: ≤2h・戻せる・被害小)
- Try = Explore(45–60mで不確実性を小さくする)
- Stop = Constraint(Safety: セキュリティ/規制/PII/本番/決済)
- 原典整合: DoR未達→Hypothesis(Try)、JDI条件、Blocking Frontier集中、Constraint優先、段階コミット。
- これが“フラクタルに使える”判断原理の最小形です。個人で効果が出たら、チームは「在庫3・1日1つ・チェックだけ」から始めればOK。
終わりに
Explore-Deliver Doctrine(統合課題解決ドクトリン)がフラクタル適用可能ということで、個人で始められるようにまとめてみました。元思想とかは課題であればすべての領域で反映できます。
端的に言えば、課題の止まっている部分どこなのかみて、それを解決する時間を取って、解像度上げるためか、解決のために時間使おうって話ですね。
多分これ意識するだけで課題解決の速度は上がると思うのでぜひ試してみてください!!!
詳しい思想とかは下記にまとめてあります。