概要
以下の事についてよく忘れてしまうのでメモしておきます.
任意の正方行列 $A$ の固有値を $\lambda$,固有ベクトルを $\boldsymbol{x}$ とすると,
$A$ の2乗 $A^2$ の固有ベクトルは $\lambda^2$, 固有ベクトルは $\boldsymbol{x}$ である.
証明
仮定より,
$$
A \boldsymbol{x} = \lambda \boldsymbol{x}
$$
である.ここで両辺に左から $A$ をかけ,整理すると,
$$
\begin{align}
AA \boldsymbol{x} &= A\lambda \boldsymbol{x} \
A^2 \boldsymbol{x} &= \lambda A \boldsymbol{x} \
A^2 \boldsymbol{x} &= \lambda (\lambda \boldsymbol{x}) \
A^2 \boldsymbol{x} &= \lambda^2 \boldsymbol{x} \tag{1}
\end{align}
$$
式(1) に注目すると,固有値,固有ベクトルの定義から $\boldsymbol{x}$ は$A^2$の固有ベクトルに, $\lambda^2$ は$A^2$の固有値となっていることが分かる.よって,
任意の正方行列 $A$ の固有値を $\lambda$,固有ベクトルを $\boldsymbol{x}$ とすると, $A$ の2乗 $A^2$ の固有ベクトルは $\lambda^2$, 固有ベクトルは $\boldsymbol{x}$ であると言える.
一般化
2乗だけでなく,一般化した $n$ 乗についても言うことができます.
任意の正方行列 $A$ の固有値を $\lambda$,固有ベクトルを $\boldsymbol{x}$ とすると,
$A$ の $n$ 乗 $A^n$ ($n=2, 3, \cdots$) の固有ベクトルは $\lambda^n$, 固有ベクトルは $\boldsymbol{x}$ である.
数学的帰納法より示すことができます.