3
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

OFDM通信方式について

Last updated at Posted at 2024-04-09

OFDM通信方式について

OFDM(直交周波数分割多重方式)は、3.9〜4世代のモバイル通信において重要な技術の一つです。本記事では、OFDM通信方式について解説します。

1. マルチキャリア通信とは?

OFDMはマルチキャリア通信の一種です。マルチキャリア通信とは、データ伝送時に用いる電波(搬送波)を異なる周波数特性を持つ複数の電波(副搬送波)に分割して通信を行う方式です。

画像1.png

異なる周波数特性を持つ電波

マルチキャリア通信で分割された電波は、それぞれ異なる周波数特性を持つため、識別可能です。周波数特性とは、各電波をフーリエ変換した際に現れるピークの位置です。具体的には、受信した電波強度系列$f(t)$をフーリエ変換し、得られるピーク位置の違いによって周波数特性を区別します。

F(\omega) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t) e^{i \omega t} dt

フーリエ変換の理想と現実

フーリエ変換では理想的には無限区間が必要です。しかし、実際の通信では有限区間$[t_i, t_i + \delta t]$でフーリエ変換を行うため、本来の周波数特性以外にも異なるピークが$\frac{1}{f_0}$の間隔で現れることがあります。

画像2.png


2. FDM通信方式の登場

FDM(周波数分割多重)通信方式は、ピーク間のノイズ干渉を避けるために開発されました。この方式では、ノイズとなるピークが他の副搬送波に影響を与えないように、周波数間隔を広げることで、各副搬送波を識別します。

画像3.png

ただし、この方法では、通信で使用する周波数帯域が広がってしまうため、データ伝送効率が低下する問題があります。


3. OFDM通信方式の仕組み

OFDMはFDMを改良したマルチキャリア通信方式です。各サブキャリアのノイズが0の位置に他のサブキャリアのピークが来るように周波数特性を設定し、効率的なマルチキャリア通信を実現しています。

画像4.png

この方法により、FDMよりも狭い帯域での通信が可能になり、データ伝送効率が向上しました。OFDMは高速伝送に適しており、現代のモバイル通信でも幅広く使われています。


4. OFDMの実用技術

OFDMでは、さらなる通信効率向上のために、QAMMIMOといった技術が組み合わされています。

QAM(直交位相振幅変調)

QAMは、各サブキャリアの位相と振幅を調整し、同じ周波数で異なる状態を表現する技術です。これにより、同じ周波数でもより多くのデータを同時に伝送できます。

画像5.png

MIMO(多入力多出力)

MIMOは、複数のアンテナを用いて通信を行う方式です。これにより、従来よりもさらに高速な通信が可能になり、現在の高速通信技術を支えています。

画像6.png


5. 他の通信方式

OFDMに関連する他のマルチキャリア通信方式として、TDMCDMNOMがあります。

TDM(時分割多重方式)

TDMでは、サブキャリアを時間軸で分割し、短時間で通信を切り替える方式です。これにより、FDMよりも狭い周波数帯域での効率的な通信が可能です。

画像7.png

CDM(符号分割多重方式)

CDMは、各サブキャリアに符号を付与し、符号によって通信を識別します。ノイズに強く、秘匿性も高い特徴を持つ方式です。

画像8.png

NOM(非直交多重方式)

NOMは5Gで採用されている方式で、サブキャリア間の干渉を許容しつつも多くの通信を可能にします。OFDMと組み合わせることで、周波数と振幅成分の両方でサブキャリアを識別し、高密度な通信を実現します。

画像9.png

※この技術は以前から考案されていましたが、復号技術やハードウェアの進歩により実現可能となりました。

マイページ紹介

3
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
3
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?