こんにちは、ふくちと申します。
私は2024年7月~10月でAWSさんが主催する研修「ANGEL Dojo」に参加しています。
この研修は、参加企業から選出された4〜6名のメンバーでチームを組み、3ヶ月間でサービスの企画から開発まで行うトレーニングです。
参加企業としては、パートナー企業18社・ユーザー企業12社の計30社となっています。
チーム構成としては、1社だけのところもあれば、複数社合同のところもあります。
2024年度は7/11~8/2で企画フェーズとなっており、終了したら次は設計・構築へ進んでいきます。
私自身、この企画フェーズで非常に多くのことを学んだので、それをアウトプットしていきます。
当記事の概要
内容:ANGEL Dojoによって、「思考の整理学」という本の知識実感と理解深化をした経験
対象:将来ANGEL Dojoや他のハッカソンへ参加する方、新しいアイデアを思いつきたい方
目的:思考を上手く整理できるようになること
(思考の整理学についてはこちら。アフィリエイトリンクではございません)
0.ANGEL Dojo 企画フェーズにおけるゴール
大前提として、この研修はチームで新たなサービスを創出する、ハッカソン型の研修です。
まずは約1ヶ月の企画フェーズにおいて、チームでサービスのコンセプトを決定します。
その際に使用するフレームワークが、「Working Backwards」 です。
AWS Tech talk Night#1 ~Amazon メカニズムによるイノベーション創出からプロトタイプ開発まで~
「地球上で最もお客様を大切にする企業」というAmazonの理念に則り、お客様起点でアイデアを創出して行くのがAmazonスタイルです。
そしてこのANGEL Dojoでは、この考え方に則ってハッカソンを進めていきます。
企画フェーズで行う具体的な手順としては、
- お客様を起点にして、5つの質問に対する答えを練る
- サービス作成前にPR(プレスリリース)とFAQ(よくある質問)を作成する
- 余力があれば、絵やイラストでサービスイメージを固める
特徴的なのは、サービス作成前にPRFAQを作成するところです。
一般的にはサービスが完成してから作成することが多いと思いますが、ここでは先にPRFAQを作成してゴールを明確化しておきます。
そして後続の設計・開発フェーズで実際に動くサービスを作成していく、というのが大まかな流れです。
したがって、企画フェーズにおける最終到達点は 「Working Backwardsを元にして、PRFAQを作成すること」 になります。
1.企画フェーズでの自チーム作業履歴
- 企画フェーズにおける全体スケジュール
日付 | 曜日 | 午前 | 午後 |
---|---|---|---|
7/11 | 木 | ANGEL Dojoキックオフ | 講義 |
7/12 | 金 | 講義 | チーム活動 |
7/18 | 木 | 講義 | チーム活動 |
7/19 | 金 | チーム活動 | チーム活動 |
7/25 | 木 | チーム活動 | チーム間レビュー |
7/26 | 金 | チーム活動 | チーム活動 |
8/01 | 木 | 講義 | 講義 |
8/02 | 金 | チーム活動 | チーム活動 |
- 7/11時点での目標
- 7/25にチーム間レビューがあるため、そこまでに一度PRFAQを作成すること
- そこから逆算すると、7/18までにWorking Backwardsの5つの質問に対する回答を練り、7/19までにPRFAQを作成する必要があります
- 「全然時間ないですねw」ってなことをチーム内で話していた記憶があります(本当にカツカツでした)
- 7/25時点での進捗と目標
- PRFAQを一度作成し、チーム間レビューに臨むことはできました
- ただ、チーム内で指摘されていた点が他チームからも同じように指摘されました
- 本当にこのまま進んで良いのか相談した結果、代替案を作成することに決定しました
※ここでの方向転換は、今までのプロセスがほぼ無意味になるのと同義です - 急ピッチではありますが、7/25中にアイデアを再度検討し、7/26までにPRFAQを作成することを目標にしました
- 8/2時点での進捗
- メンターからのアドバイスもあって、無事PRFAQを作成することはできました
- 作成するサービスコンセプトとしては、 「時間短縮に特化した旅行計画・予約サービス」 となりました
以上が大まかなチームの流れです。
他チームは早々にサービス概要を決定していたり、PRFAQを書き上げていたりしてるところもありました。
それに比べると私たちのチームは紆余曲折あり、決して順調とは言えないスタートになりました。
しかし、どこのチームよりも悩み、考えたと胸を張って言えます。
ANGEL Dojoが終わった時に、「あの時悩んで良かった」と言えるよう、ここからサービスを作成し、ブラッシュアップしていきたいと思います。そのためにも、自分がどんどん進化していくことも忘れずに!
2.企画フェーズで学んだこと3選
ここからは、企画フェーズで学んだことや所感を中心に書いていきます。
①自分にあった「思考整理方法」を知れ
これは、自分の情報処理能力における最高効率を見つける必要があるということです。
情報を処理する際には、
- 頭の中で考える
- PCやタブレット上で何かしらのツールを使う
- 紙に書いて整理する
- 独り言を言う
など、さまざまな方法があります。
これらの方法のうち、どの手段を用いれば最も効率的に情報を整理できるのか、ということを模索する必要がある、ということです。
私にとっては「紙に書いて整理する」のが最も効果的な整理法でした。
私がこれを最も実感したのは、企画のアイデア出しをしている時です。
当時、自分の思考整理は自分の頭の中でずっと行なっているような状態でした。
その時に、私は以下のようなことを経験しました。
- 寝ても覚めてもアイデア創出のことで頭が埋め尽くされてしまい、どうしようもない閉塞感と疲労感を覚えた
- 自分の言いたいことが上手く言語化できず、他メンバーに伝わらない
- 他の人よりアイデアを出せない
- アイデアを思いついても、革新的なものにならない
上記のように、自分の頭がこんがらがっていき、常に頭が疲労しているような状態になってしまいました。
そこでメンターから「思考を紙に書き出してみること」を勧められました。
まずは実践したところ、一気に頭が整理されました。
自分が今考えるべきテーマ、自分が今考えている内容、視点、参考にできるアイデアなどをざっと書き出すようにしました。
すると思考が整理され、自分のアイデアを上手く言語化できるようになったり、以前より少しはアイデアが出てくるようになりました。
例えば、「旅行に行かない人」にとっての課題を考えた時の図が以下です。
また、「思考の整理学」によると、人はメモを取ることで逆にそのことを忘れてしまうケースもあるようです。
メモを取ったという安心感によって逆に忘却が促進されてしまう、あるいはメモを取ることに注力してしまって理解が進まず、結果的に何も頭に残らない、というようなことが起こりうるのです。
普通なら忘却は良くないことです。せっかく覚えようとしているのに忘れてしまうのだから、学習という観点からすると忘却は敵です。
しかし、アイデア出しという観点においては、忘却は必ずしも悪いことではありませんでした。
なぜなら、忘れることで頭がスッキリするからです。
- アイデアを考える
- 今までの考えを紙に書き出して一度整理する
- その考えを一度忘れて頭をリセットする
- 別のアイデアを考える
というサイクルを回すことで、頭をスッキリさせながら色んなアイデアを考えることができます。
また、紙に記録しておくことで以前までのアイデアを綺麗さっぱり忘れてしまうこともなくなります。
考える、というと頭だけで実施してしまいがちですが、手を動かしたり、声に出したりしながら整理すると、頭への負荷を減らすことができるのでおすすめです!
②アイデアは複数持っておけ
1つのアイデアに固執するのは本当に良くないです。
なぜなら、そのアイデアが行き詰まった時に文字通り詰むからです。
前述の通り、私たちのチームはアイデアを1つに絞って考えを進めていった結果、行き詰まってしまい、大きく手戻りすることになりました。
どうすればこれを防げたのか、と考えながら「思考の整理法」を読んでいたところ、「1つだけでは多すぎる。1つでは全てを奪ってしまう」 というフレーズがありました。
これは、アイデアが1つしかないと他のものが見えなくなり、こだわりができたり妙に力んだりして、結果的に思考を乱してしまうということだそうです。
確かに、チームでアイデアを1つに絞った当初は、それが良いアイデアだと認識していました。
しかしそこから考えを深めていくと、様々な課題や考慮漏れが出てきてしまい、結果的にイマイチなPRFAQが出来上がってしまいました。
「このアイデアで進めなければいけない」という制約が思考を縮退させてしまったことが一因でした。
これを防ぐには、アイデアを複数持っておくことが重要です。
アイデアを複数持っていれば、それらを比較して進めたり、「1つがダメでも他のものに切り替えれば良い」と気楽に考えて進められたりしました。
偶然ですが、私たちのチームはアイデアを練り直した時に複数アイデアを並行で考えるようにしていました。
複数のアイデア(ペルソナ・課題・解決策)を考え、もし途中で行き詰まったらそのアイデアは没、という形で考えていった結果、案が1つに纏まりました。
これが功を奏し、短い期間でなんとかPRFAQを作成することができたのだと認識しています。
1つのアイデアだけを特別視することなく、色々なアイデアを考え、組み合わせる方が、思考にとって非常に良いということを実感しました。
③行き詰まったら寝る
アイデアを創出する必要がある際、「アイデアを思いつかなければ」という思考で頭がいっぱいになった経験はありませんか?
私はあります。アイデアに限らず、何かについて悩んだり考えたりし始めると、そのことで頭が埋め尽くされ、他のことが手につかなくなるような経験がしょっちゅうあります。
この企画フェーズでもそれは例外でなく、家に帰った後や他の業務をしている時にずっと企画のことを考えてしまっていました。
それで良いアイデアが浮かんでくれば問題ないのですが、そんなこともなく、ただただ集中力や思考力が削がれるというような状態に陥っていました。
これをなんとか解決する良い方法がないか探していたところ、「見つめる鍋は煮えない」 という言葉が「思考の整理学」で紹介されていました。
鍋を沸かしているところを観察しながら「早く煮えないかな」と思っていても、なかなか煮えません。
時計を見ながら「早く授業終わらないかな」と思っていても、なかなか終わりません。
このように、何かをずっと注視していると体感時間が遅くなる、という経験は誰しもあると思います。
それと同様に、「この課題に対して良いアイデアが早く出てこないかな」とずっと考えていても良くない、ということです。
アイデアが出てくるまでの体感時間が長くなるし、その間ずっと思考し続けてしまうため余計に疲れる、という現象が起こるためです。
それを回避するにはどうするか。
寝ろ!!!!!
この一言に尽きます。
寝るというのは、自身が寝るというだけではありません。
アイデアも一時的に寝かせる、ということです。
②で述べた通り、1つのアイデアに固執してずっと考えても良いことはありません。
そこで、1つのアイデアを一時的に寝かせておく。その間は別のアイデアについて考えたり、業務に集中したりしましょう(気になって集中できないよという方は、前述の通り、メモして一旦忘れましょう)。
思考の整理には、「上手く忘れること」も含まれているのです。
と、ここまで偉そうに書いてきましたが、私はこれを実践することができませんでした。
業務中やプライベートでもずっとアイデアのことばかり考えてしまっていました。
その理由は、この本を読んだのが7月の末で、もうほとんど企画フェーズが終わりの段階だったためです。学ぶのが遅すぎました。
これからは日常的に何か面白いアイデアを思いついたらメモして寝かせておくことを習慣にしようと思います。
3.自分が次回ハッカソンに参加するなら
私はこのANGEL Dojoへ参加するにあたって、もっと準備をしておけば良かったと後悔しています。
その後悔を同じ人に味わって欲しくないため、自戒を込めて「次自分がハッカソンに参加するならこうする」ということを書き記しておきます。
※というか、「参加するためにこうする」のような、事前準備的な部分がメインです。
①日常的に、色んなイノベーションの情報をキャッチアップしておく
参加する前に、他のイノベーションを参考事例としてインプットしておく、ということです。
具体的に言うと、その参考事例はどんな常識を壊したのか、どのような発想でそうなったのか、 何と何が掛け合わさったのか、などについてインプットしておきます。
ただ事例を知るだけでなく、イノベーションの根本となった考え方について理解しておけば、アイデア創出の大きなヒントになると実感したためです。
例えば、任天堂は「ゲームをするのはゲーム好きだけ」という常識を壊し、「家族で楽しめる体感型ゲーム」としてWiiを発売しました。今までにいなかった客層を取り込み、ゲーム業界全体の新規顧客創出に貢献しています。
スターバックスは「カフェとはコーヒーを売る場所である」という常識を壊し、「Third Place:自宅でも職場でもない、第三のリラックスできる場所」という新しい空間を創出しました。
ウーバーイーツ、メルカリなども今までの常識を覆し、再定義することで大きく発展してきました。
これらの考え方をメンターから教えてもらいました。
それらを元にして私たちのチームでは、「旅行計画ガチャ」「最悪を楽しむ旅」「子供が旅行プランを作成できるサービス」などを思いつき、話し合うことができました。
創出されたアイデアが採用されるか・面白いか・実現できるかはさておき、アイデア創出のヒントになったことは間違いありませんでした。
ハッカソン参加までに、アイデアを思いつくためのインプットをしておくことが重要なのだと実感しています。
②生活の中で世の中の課題を探してみる
これは、日々の生活から「もっとこうだったら良いのにな」と思う瞬間をメモしておく、ということです。
例えば、「洗濯物を洗濯バサミで干すとき、跡がついちゃうの嫌だな」という課題に対して、「跡がつくのは仕方がないから、その跡を可愛くしてしまおう」と考えたのが肉球柄の洗濯バサミです。
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パッと思いつく例やアイデアが他に出てこないのが私の未熟な点なのですが、このような課題を1日1つずつ見つけるのを習慣化していけば、アイデア創出が苦になることは無さそうです。
③何かアイデアを思いついたらとにかくアウトプットする
①や②を見つけた際には、メモを取ることが重要です。
思いついたアイデアを全て覚えておくのは非現実的ですし、そんなことをしていては脳の容量がどんどん圧迫されてしまいます。
したがってこれまでに話してきた通り、考えはメモして一旦忘れておくくらいが丁度良いのだと思います。
4.終わりに
ANGEL Dojoに参加して早1ヶ月、この段階で既にたくさんの学びを得ることができました。
自身の未熟さ・至らなさを痛感する日々ですが、毎日新たな刺激を経験できて非常に有意義な時間になっています。
これからは設計・構築を進めていくのですが、これまた設計フェーズで新たな悩m…もとい、学びを得まくりです。
そちらは別途まとめていこうと思います。
読んでいただき、ありがとうございました!
どなたかの助けになっていれば幸いです!