初めに
対象とする読者
- 議事録を書けるようになりたい方
- 議事録を書くのに苦労している方
- ちゃんと書けよ!などと怒られた方
導入(読み飛ばしてOK)
「エンジニアに議事録なんていらなくない?
録音すればいいでしょ?もしくはトランスクリプトとか。」
と思われるかもしれません。
私もそうでした。
ただ、録音では後で見返すときに大変ですし、
トランスクリプトは翻訳性能がいまいちです。
また、話したことをそのまま書くだけでは意味がありません。
「誰が、いつ、何を、どうする」といった感じでサマリを書かなければ、
後から見るときに苦労します。
議事録の書き方
LV1: 会話の内容を漏らさず記録し、議事録を作れるようになる
会議中にやること
- 誰が、何を話したか の組合せでメモを取る
-
アジェンダに既に書かれていることはメモしなくて良い
- 口頭で多少異なる話をしていてもメモしない
- もちろん、不安ならメモしても構わない
- ただし、アジェンダに載っていない内容を話しているのなら、メモしておく
- 「書き忘れましたが~」とか「これは捕捉ですが~」など
- 書き漏れなら、後で本人に追記してもらっても良い(それで怒る人は普通いない)
- アジェンダにない雑談でも、とりあえずメモしておく
- 雑談だと思いきや、仕事の相談だったりするので、
判断できないうちはメモを取る。
- 雑談だと思いきや、仕事の相談だったりするので、
- よく分からなければ、単語レベルでもよいのでメモしておく
- 例:「このサービスってxxxなところがいいですよねぇ」という話があったら、~xxxの部分をメモする
会議後にやること
- メモを清書する
- 話の項目(基本的にはアジェンダの項目)毎にサマリを作る
-
最後に TODO リストを作る
- 誰が、何を、いつまでに やるのか
-
不明点は参加者に確認する
- 業務の内容や単語が分からなくても、恥ずかしがらずに聞く
- 時間があるなら検索してから聞くのもアリ
- 最後に、参加者に議事録を展開し、認識齟齬がない事を確認する
これができるとどうなる?
- 議事録作成に必要な基本的な力が身に付きます。
ここがスタートラインです。
最初は厳しいですが、めげずに数をこなしてください。
チャレンジ課題
議事録担当じゃなくても議事録を取ってみよう!
自分の書いた議事録と、他の人が書いた議事録を比較して、
漏れている部分はないか、余計な部分はないか、見てみましょう。
LV2: 業務の内容や、会話に出てくる単語を、ある程度理解できるようになる
- 業務の内容や用語を理解し、簡単なものは人に確認しなくても分かるようになっておく
-
業務に関係しそうな技術の知識を学び、単語の意味が分かるようになる
- インフラエンジニアなら Linux や Prometheus のようなツール類
- 例:Ansible の案件ならば、Playbook や template, role が何なのかが分かる
これができるとどうなる?
- メモを取る際に会話を理解しやすくなる
- 清書時の確認の手間が省ける
LV3: メモしなくてもよい事項を、見極められるようになる
この辺は議事録に書かなくてOK。
- 会話の中で、その業務に明らかに関係ない雑談
- 例:明日の天気は晴れですね
- 例:この前、新型の Mac Book を買ったんですよ~
-
アジェンダに記載されていること
- 単なるアジェンダの読み上げはメモしない
- ネットで検索すれば出てきそうな知識
- 例:Ansible の template は jinja2 を使っているんですよ
- 必要なら Qiita などの技術ページの URL を貼っておけば良い
- 自分の勉強ついでにメモするのなら有益
これができるとどうなる?
- メモを取る作業が軽減される
- 清書が楽になる
LV4: サマリを作りながら、メモを取れるようになる
会議中に以下の事をやってみる。
-
各アジェンダ毎に、メモの内容からサマリを作れるようにしておく
- いつ、誰が、どこで、何をするのか(5W1Hを意識する)
- 作業依頼やタスクが出てきたら、TODO を書いておく
- 相談や質問なら、回答をまとめておく
- 必要なら 「こんな感じで進めること良いですか」と参加者に確認する。
- 会議中に確認することで、後で清書>確認した際の認識齟齬を早めに潰せる
これができるとどうなる?
議事録を取るだけ の人から 会議の参加者 へ
- 会議に自身も参加できる
- 質の高い議事録が作成できる
LV5: 会議で話をしつつ、議事録を取れるようになる
- 会議の主体となり、顧客やメンバーと話をしつつ議事録を取る
- 後述の「司会者がリアルタイムに議事録を書く」など
- 話しているとメモを忘れることもあるが、そのときは会議中や会議後に参加者に展開し、確認してもらえば良い
これができるとどうなる?
あなたは議事録マスターです
- ここまでできたらほぼ一人前です
- 他の方の議事録の作成をサポートするなど、一段上を目指してください
その他のテクニック
アジェンダをコピーして議事録を作る
Google ドキュメントなどを使い、アジェンダを貼りつけます。
多くの会議はアジェンダに沿って話しているはずなので、
議事録部分の文字だけ色を変えておけば、流して読めるので見やすいと思います。
司会者がリアルタイムに議事録を書く
これは、私が実際にやってみて効果があったことです。
Teams などのオンライン会議では、
司会者がアジェンダを画面共有しながら進めることが多いと思います。
なので、進めながらリアルタイムに議事録を書けば、
参加者から「それは違う」などと指摘を貰えるし、
逆に司会者から「この認識で良い?」と聞くこともできます。
- 前述の「アジェンダをコピーして議事録を作る」と併用します
また、画面にサマリが出ることで、
会話を聞き逃していた参加者からも、発言を得られるかもしれません。
参加者は怒らないであげて
議事録を取る人もスキルはそれぞれ。
不明点を相談した際に「んなことも知らねぇのかよ!」のように怒られると、
萎縮してしまい、次回から聞かれなくなります。
それはつまり、議事録の精度も下がりますし、
その人の成長も阻害してしまします。
なので、絶対にやめてください。
怒りたい気持ちは分かりますが、
不明点を聞かれても、怒らないでください。
何度も同じことを聞かれるかもしれませんが、
「メモしておいてね」程度にとどめてあげてください。
あとがき
議事録を取るのは地味な作業に見えますが、以下の点でとても有益です。
- メンバーがやることを明確化する
- 相談、質問した内容を整理する
- 何かあったときの証拠になる
特に最後。
人は数か月前に話した事なんてまず覚えていません。
例えば、運用作業でこんな事件が
Aさん「この削除手順、なんであるんだっけ?いらなくない?」
Bさん「あ、そうですね。消しますか。」
・・・数週間後
Aさん「おい、ディスク使用率MAXになってるぞ!」
Bさん「あ、一時ファイル消してなかった。。
この前消した作業はこのためだったのか。。」
※これはフィクションです
もし、議事録をちゃんと取っていたら
Aさん「この削除手順、なんであるんだっけ?いらなくない?」
Bさん「この手順は XX月XX日の障害時にできたものです。
この一時ファイルは、作業時に毎回作られるので、
消さないと溜まり続けてディスクを逼迫します。」
Aさん「じゃあ残しておこう!
でも、なんで必要なのか書いておいてよ。」
Bさん「手順書に理由を明記しておきますね。」
※これはフィクションですが、似たような事例は経験済みです
議事録をまとめ、後で見返すことができるようにしておくと、
作業のミスや仕様変更への回答、障害発生時の自衛にも繋がります。
最後まで読んで頂きありがとうございました!