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オンライン研修(座学・ハンズオン)のテクニック

Last updated at Posted at 2021-12-22

この記事の目的

オンライン研修におけるテクニックを紹介します。

特に読んで頂きたい方

オンライン研修で座学やハンズオンを行う機会がある方

構成

グッドパターン(良いテクニック)、
アンチパターン(やったらダメなこと)
を分けて書いています。

どちらも、
自分が研修をやって体験したこと、
逆に、研修を受けて見ならったこと、
を元に書いています。

目次

グッドパターン(良いテクニック)

準備・体制 編

補助講師は必須
ハンズオンは VM ではなくクラウドで
リハーサルはちゃんとやる

講座開始直後 編

対象者の範囲を最初に明言する
録画する前に必ず周知
画面共有のやり方

内容 編

理解度や進捗確認はリアクションで
休憩時間
眠気対策
コマンドのレスポンスはちゃんと書く
最初に不正解の方法を体験してもらう

アンチパターン(やったらダメなこと)

ハンズオンが早い
コマンドがコピーし辛い
ハンズオンは VM ではやらない
データのサンプルが趣味全開で意味不明

良いテクニック

補助講師は必須

メイン講師だけで研修をやろうとすると、
不明点があった際に進行が止まってしまいます。
オンラインでもこれは同じです。

補助講師がいれば、こういった際にフォローができます。

※個人的には、講師経験が少ない方のサポートを、
講師や技術経験のある方が補助講師となり行う、
というパターンが良いと思います。

フォローは Slack が便利

オンライン会議ツール次第ではありますが、
補助講師がフォローを口頭でやるのは、
メイン講師と声が被ってしまうのでNGです。

会議ツールのチャットも、Zoom のように個別に分けられるものならよいのですが、
Meet のようにチャットが1つしかないと、個別の相談に答えにくいですし、
通知も気になります。

しかし、Slack であれば、
個別の相談にも応じられますし、通知も気にならず便利です。
事前に、質問用の Slack を連携しておくとよいでしょう。

補助講師も一緒にハンズオンをやる

補助講師が一緒にハンズオンをすることで、
参加者目線でメイン講師の動きを体験できるため、
説明が分かりにくい所、不明点が残りそうな所に気づき、
都度サポートすることもできます。

ハンズオンは VM ではなくクラウドで

ハンズオンでツールの操作をする際、
参加者の端末に VM を入れておき、そこでツールを起動してもらう、
という手法があると思います。

VM を使うとどうなるのか

通常の研修であれば、会社の貸与PCなどを使えば、
参加者のマシンスペックは共通になりますが、
オンラインの場合は、個人 PC のスペックに依存します。

なので、VM 上にツールを入れ、
さらにオンライン会議に繋ぐとなると、
個人 PC のスペックによっては、
ツールが起動しない! などの不測の事態が起こりえます。

だからクラウドを使う

AWS などのクラウドを使えば、個人 PC のスペックはほとんど気になりません。

クラウド上のインスタンスに teraterm などで繋いでもらい、
コードを作ったりツールを起動してもらう。
または、あらかじめクラウド上に用意したツールにアカウントを割り振り、
アクセスして操作してもらう。

といった感じです。

VM での手順もあると理想

しかし、クラウドだけでハンズオンを行うと、
研修後におさらいをしようと思っても、
クラウド上のインスタンスが消えていてできない、という事もあるでしょう。
講師側も、クラウドをタダで提供し続けるわけにはいきません。

なので、個人環境での再現の仕方(VM でのツールの導入、構築手順など)をテキストに含めておけば、こういったニーズにも対応できます。

リハーサルはちゃんとやる

ハンズオンテキストや、準備した環境に漏れが無いか確認する。
これは最低限必要です。
通常は、テキストの完成後に行います。
※修正があった場合、致命的なものは、
 その部分だけ再リハーサルするとよいでしょう

やり方

基本的には本番同様のやり方で行います。
メイン講師が説明を行い、補助講師が参加者としてハンズオンを行います。
実作業にかかった時間も記録しておきましょう。
※相談や修正にかかる時間を抜くため、
 停止が可能なストップウオッチなどがあるとよい

また、ハンズオンは時間との勝負です。
リハーサル時に「この部分は分かりにくい、説明が足りない」
などがあれば、テキストに説明や画面遷移図を追加すると良いでしょう。

対象者の範囲を最初に明言する

研修の冒頭で、この講座でやること & やらないことを明言しておく。
参加者は、この時点で自分の意図していない講座だと分かれば、
それ以降は受講しなくて済みます。

※オンラインであれば、そのまま退出すればよいので負荷が少ない
※事後アンケートで不満(例:思っていた講座と違う、時間返せ!など)も出ないはず

例:
講座名:ログ収集 Elasticsearch クエリ作成方法
やること
 ・検索クエリの書き方
 ・集計クエリの書き方
 ・複合クエリの書き方

やらないこと
 ・基本的なログ収集のやり方
 ・elastic 製品のインストール方法、初期設定の方法
 ・Logstash や Kibana について

録画する前に必ず周知

オンライン研修では、研修全体を録画し、
記録として残しておくケースがあると思います。

しかし、講義開始前から録画する、というのはタブーです。
必ず、参加者に周知した上で録画を開始しましょう。

参加者の中には、
「録画するなら画面オフにしたい」
という方もいるかもしれません。

なので、
「これから録画します。必要に応じて、画面オフをお願いします」
などと周知してから、録画を開始するのが良いでしょう。

画面共有のやり方

座学ならばテキスト(スライド や Qiita)画面だけを共有すればよいので問題ありませんが、
ハンズオンではテキストに加え、UI や CUI端末(teraterm など)を操作する必要があります。

その時は、”PCの全画面を共有する” のが便利です。
こうすれば、テキストも端末も自分が操作している内容が共有できるので、
相手も自分と同じ画面が見えます。

ハンズオンでは特に、
講師による画面の操作があった方が分かりやすい
ので、これは大事です。

注意点

  • 見せたらまずいものは置かない
    • デスクトップやブラウザのタスクバーに機密情報が無いか
    • デスクトップの背景は見られて恥ずかしくないか

理解度や進捗確認はリアクションで

座学の説明を理解できているかどうか、
ハンズオンに付いてきているかどうか、
これらの確認をどうやるのか。

対面なら挙手や画面を見れば分かるけれど、オンラインでは分かりません。
なので、対面同様、会議ツールの ”手を上げる” などで把握すると良いです。

※Zoom だと OK, NG のチェック があるので、理解していない場合は NG を上げてもらう手もある

リアクションの結果を見て、8割位できていれば先に進み、
できていない人に対しては補助講師がフォローする感じで進めるのが理想です。
※メイン講師ができていない人のフォローをしてしまうと、
 そこで研修が止まってしまい。
 残りの人は傍観することになってしまう。

休憩時間

オンライン研修は目と耳に神経を集中させるため、
実際の研修よりも神経を使います。

なので、休憩時間は1時間ごとに8~10分は取る良いでしょう。

また、休憩中に質疑応答を受け付けるのもありです。
休憩後は会議ツールのリアクション(手を上げる など)で復帰確認しましょう。

眠気対策

研修、特に座学パートは、参加者にとっては眠気との闘いです。
話をしている講師は良いですが、聞いている方は眠くなりますzzz

座学 > ハンズオン という流れで進行する

講義を幾つかの章に分け、
章ごとに 座学 > ハンズオン という流れを組むと、
ハンズオンで手を使うため、参加者は目が覚めます。

合間合間にクイズや問題を挟む

座学だけの研修なら、章ごとにクイズや問題を挟むと良いでしょう。
会議ツールのアンケート機能で問題を出したり、
チャット欄に書き込んでもらうとよいでしょう。

参加者としては、座学の理解度チェックにも繋がります。

※ちなみに私は elastic 製品の研修で、
「elastic 社があるカリフォルニア州はどこ?」というクイズを出しました

コマンドのレスポンスはちゃんと書く

ハンズオンテキストにコマンドなどの実行を書いた場合、
そのレスポンスはちゃんと明記しましょう。

ハンズオンに追い付けない人や、
研修終了後に自分で結果を確認したい場合に、
レスポンスが書いていないと、何が正解なのか分からないためです。

例:
コマンド

systemctl status logstash

レスポンス

$ systemctl status logstash

● logstash.service - logstash
   Loaded: loaded ~
   Active: active (running) ~
   ・・・

最初に不正解の方法を体験してもらう

これはオンラインに限ったテクニックではありませんが、
良いと思ったので共有します。

ハンズオンにおいて、
あえて、最初に不正解の方法を体験させ、
次に正解の方法を体験してもらう手法です。

「この方法だとうまくいきませんよね、でもこうすると成功するんです」
「なので、xxxが必要なんですよ」
というシナリオ。

なぜ、この方法はダメなのか、
なぜ、こっちの方法にすると良いのか、

ということが身をもって体験できるので、
理解が深まると思います。

やったらダメなこと

ハンズオンが早い

ハンズオンのペースが早すぎると、
「ハンズオンなのに話を聞くだけで終わった」
「早すぎて、コマンドはコピペじゃないと追い付けない」
「できれば少しくらいは自分で打ってみたかった」
というケースが出てくるかもしれません。

この辺は塩梅が難しいですが、
一つの項目を実施したあと少し待つ、
リアクションボタンで進捗を確認する、

といったフェーズを設けるとよいでしょう。

コマンドがコピーし辛い

資料が PDF だったりすると、
コマンドがコピーし辛く、ハンズオンでは不便です。
特に、長いコマンドだと致命的です。

Qiita で資料を作る

Qiita のコードブロックにはコピーボタンがあります。
ハンズオン資料を Qiita の限定公開で作れば、
コピー操作は苦にならないでしょう。
※ただし、Qiita に研修の記事を書いてよいか、関係者との相談は必要

プレゼンテーション資料を使う

資料を パワーポイントや Google スライド などにすれば、
PDF よりはコピーしやすいと思います。

コピー用テキストを用意する

コマンドだけを書いたテキストを共有する、という手もあります。
Qiita が使えない場合、個人的にはこれが一番使いやすかったです。

ハンズオンは VM ではやらない

良いテクニックで紹介した、ハンズオンは VM ではなくクラウドで の逆ですね。

私は以前、個人の VM 上で Elasticsearch & Logstash & Kibana を起動する、というハンズオンをやったのですが、
見事に、個人 PC のスペックが足りず、Elasticsearch が起動できない、という事態になりました;

データのサンプルが趣味全開で意味不明

ツールなどで使うデータのサンプルに、
”車の車種” や ”ゲーム・スポーツ” などが出てくるケースです。

自分もついついやってしまいますが、
参加する側としては「なにこれ?」状態です。

例えば、ツールの集計機能などを使って、
「このゲームで一番攻撃力が高いキャラはxxxですね!」と言っても、
ツールの使い方は分かるでしょうが、目的が意味不明です。

また、趣味の用語をそのままデータに使うと
SpMagicalAttack のような、よく分からない長い単語を書かねばならず、
打ち間違い(Typo)も起きやすくなります。

サンプルデータを用意するときは、
汎用的な情報(野菜とか動物、対象者が SE なら PC とか)
が良いかもしれません。
また、長い単語も typo に繋がるので短めで。

例:OSの種類
* windows
* linux
* macos

最後に

2021年12月現在、
テレワークの普及で、オンライン研修の需要は増えています。

しかし、各社でのオンライン研修のノウハウが不足していて、
中々実施に至らない、うまくいかない、というケースもあるでしょう。

この記事が、そういった方々のお役に立てれば幸いです。

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