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【UE5】傾斜フローマップをランタイムで計算する

Last updated at Posted at 2024-08-17

概要

マテリアルで傾斜ベクトルを計算し、テクスチャを使わずにフローマップによる流体表現を行います。
ランタイムで計算を行うので、様々な形状やアクタの回転にも対応できます。
fl1.gif
エンジンバージョンは5.4.3を使用しました。

実装

傾斜ベクトルの求め方

傾斜ベクトルの求め方はHoudiniのSOPノードLabs FlowmapにあるSlopeメソッドを参考にしました。
スクリーンショット 2024-08-17 185248.png
内部の処理を見ると、法線と下方向のベクトルの外積から従法線を出し、更に従法線と法線の外積で傾斜ベクトルを計算しています。
スクリーンショット 2024-08-17 185312.png
同じ処理をUEのマテリアルで再現すると以下のような感じになります。
スクリーンショット 2024-08-17 185047.png
Normalizeするかどうかはお好みで。
スクリーンショット 2024-08-17 190756.png
XYだけの値に見えますが、傾斜ベクトルは上を向くことがないのでZチャンネルにはマイナスの値が入っており、ちゃんとワールド空間のベクトルになっています。

Flow Map

マテリアルでは便利なFlow Map関数がいくつか用意されていますが、今回はFlowMaps_Simpleを使用します。
スクリーンショット 2024-08-17 193007.png
Diffuse、もしくはNormal MapインプットにFlow Mapで歪ませるテクスチャオブジェクトを刺します。
Flow Vector Mapには先ほど計算した傾斜ベクトルを入力するのですが、本来ここにはテクスチャのFlow Mapを入力するため、計算したベクトルをワールド空間からタンジェント空間に変換します。
Transformノードを挟み、ノードのDetailsからSourceをWorld Space、DestinationをTangent Spaceに設定します。
スクリーンショット 2024-08-17 195951.png
出力される値がRGBなのでMaskノードでRGに変換し、Gチャンネルが逆なので-1を乗算して反転させます。
スクリーンショット 2024-08-17 195754.png
UVのスケールやスピードの調整、ベクトルの大きさをお好みで調整するといい感じになります。
スクリーンショット 2024-08-17 200825.png

制限

  • メッシュの法線が正しい方向を向いていることが前提になります
  • 法線の再計算を行わないWorld Position Offset後は正確な傾斜を計算できません
  • タンジェント空間での計算なのでUVシームによってテクスチャの切れ目が発生します
    スクリーンショット 2024-08-17 202223.png
  • UVアイランド毎のスケールの違いなどによって流れる速度や見え方が変わります
    fl2.gif
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