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A5クリップボード、セルフプリントのススメ

Last updated at Posted at 2024-08-15

240812_A5clipboard_rd.jpeg

A5クリップボードを使いたい

日常的なメモを取るにあたり、A5のクリップボードをつかいたいのです。コンパクトなのでカバンにさっと入れられ、書く面積もじゅうぶんあります。A4コピー用紙を半分に折ればよいのでコストもほとんどかからず、枚数も実質無制限です。

しかし市販のA5クリップボードにはいくつかの問題があります。たとえば、クリップ部分が大きく、筆記できるスペースが限られます。クリップ部分が厚く、板サイズもA5より大きいのでカバンのなかでかさばります。

IMG_9351_rd.jpeg

なので、3Dプリンタをつかって、クリップボードを自分で作成することにしました。

試作が案外に良かった

第一歩として、既存モデルを加工して試作品を作成してみました。

使用したモデル:Simple A5 notes holder

平らな板状に加工して、市販のダブルクリップで紙を挟むスタイルにしました。

img|450

▲ 屋外作業でもOKでした

試作品は、市販品に劣ることなく、理想に近いものでした。しかしいくつか改善余地がありました。

  • 厚みを減らし、持ち運びやすくしたい
  • 板の長辺方向を少し短くしたい
  • 角の丸みをもう少し小さくしたい

これらの調整を既存モデルで行うには限界があったため、自分でモデルを設計することにしました。

OpenSCADでのモデル化

そこで、OpenSCADでクリップボードのモデルを作りました。OpenSCADでは、モデルの各パラメータを簡単に設定でき、さらにカスタマイザで調整することもできます。

以下のようなコードを使って、縦幅、横幅、角の丸み、板の厚さをかんたんに調整できるようにしました。

// パラメータの設定
// Height
plate_height = 214;  // 縦幅(ミリ)
// Width
plate_width = 156;   // 横幅(ミリ)
// Corner Radius
corner_radius = 4;   // 丸角の半径(ミリ)
// Thickness
plate_thickness = 2; // 厚さ(ミリ)

// 丸角の板を作成
module rounded_plate(plate_height, plate_width, corner_radius, plate_thickness) {
    // 中央の矩形部分
    cube([plate_width - 2*corner_radius, plate_height, plate_thickness], center = true);
    cube([plate_width, plate_height - 2*corner_radius, plate_thickness], center = true);
    
    // 丸角の部分
    translate([-plate_width/2 + corner_radius, -plate_height/2 + corner_radius, 0])
        cylinder(h = plate_thickness, r = corner_radius, center = true);
    translate([plate_width/2 - corner_radius, -plate_height/2 + corner_radius, 0])
        cylinder(h = plate_thickness, r = corner_radius, center = true);
    translate([-plate_width/2 + corner_radius, plate_height/2 - corner_radius, 0])
        cylinder(h = plate_thickness, r = corner_radius, center = true);
    translate([plate_width/2 - corner_radius, plate_height/2 - corner_radius, 0])
        cylinder(h = plate_thickness, r = corner_radius, center = true);
}

// 板の呼び出し
rounded_plate(plate_height, plate_width, corner_radius, plate_thickness);

このコードをOpenSCADで開くと各パラメータを簡単に調整でき、好みに応じた形状やサイズを手軽に作成することができます。特に、角の丸みや板の厚さを微調整し、好みや用途に応じて、筆記のしやすさと持ち運びの快適さを両立させられます。

img

おわりに

このクリップボード作成で、3Dプリンタの可能性をあらためて実感しました。完全に自分のニーズにあったアイテムを手軽に作成できます。

特にOpenSCADは、サイズや形状を自由にカスタマイズできて非常に便利です。クリップボードの厚みや丸角の半径など、細かな調整ができ、実用性とデザイン性のバランスが取れた小道具をつくれました。

img|450

▲ 写真ではわかりにくいですが、余白が少なくなり、重さも20%減

環境

  • 3Dプリンタ: Bambu P1P
    A5サイズの板もプリントできます。

  • フィラメント: eSun PLA+
    使いやすく、お手頃価格のフィラメント。

  • ソフトウェア: OpenSCAD version 2021.01
    パラメトリックデザインを効率よく行える強力なツールです。

  • スライサー: Bambu Studio 1.9.3.50
    簡単な操作で高精度のスライス&プリントが可能でした。

  • コンピュータ: MacBook Pro (14-inch, 2021) with macOS Sonoma14.5(23F79)

参考リンク

  • OpenSCAD公式サイト: OpenSCAD
    OpenSCADのダウンロードやドキュメントを参照できる公式サイトです。

  • MakerWorld: MakerWorld
    さまざまな3Dプリントモデルが共有されているサイトで、他のユーザーが作成したモデルも参考にできます。

  • OpenSCAD Tutorials: OpenSCADチュートリアル
    OpenSCADを学ぶためのチュートリアルが掲載されたサイトです。基本から応用まで幅広い知識を得られます。

  • OpenSCAD 入門記事: キーキャップ設計による OpenSCAD 入門
    ぼくはこの記事がとても入りやすかったです。

  • この記事の最新版は A5クリップボードを3Dプリント でメンテしています。

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