A5クリップボードを使いたい
日常的なメモを取るにあたり、A5のクリップボードをつかいたいのです。コンパクトなのでカバンにさっと入れられ、書く面積もじゅうぶんあります。A4コピー用紙を半分に折ればよいのでコストもほとんどかからず、枚数も実質無制限です。
しかし市販のA5クリップボードにはいくつかの問題があります。たとえば、クリップ部分が大きく、筆記できるスペースが限られます。クリップ部分が厚く、板サイズもA5より大きいのでカバンのなかでかさばります。
なので、3Dプリンタをつかって、クリップボードを自分で作成することにしました。
試作が案外に良かった
第一歩として、既存モデルを加工して試作品を作成してみました。
使用したモデル:Simple A5 notes holder
平らな板状に加工して、市販のダブルクリップで紙を挟むスタイルにしました。
▲ 屋外作業でもOKでした
試作品は、市販品に劣ることなく、理想に近いものでした。しかしいくつか改善余地がありました。
- 厚みを減らし、持ち運びやすくしたい
- 板の長辺方向を少し短くしたい
- 角の丸みをもう少し小さくしたい
これらの調整を既存モデルで行うには限界があったため、自分でモデルを設計することにしました。
OpenSCADでのモデル化
そこで、OpenSCADでクリップボードのモデルを作りました。OpenSCADでは、モデルの各パラメータを簡単に設定でき、さらにカスタマイザで調整することもできます。
以下のようなコードを使って、縦幅、横幅、角の丸み、板の厚さをかんたんに調整できるようにしました。
// パラメータの設定
// Height
plate_height = 214; // 縦幅(ミリ)
// Width
plate_width = 156; // 横幅(ミリ)
// Corner Radius
corner_radius = 4; // 丸角の半径(ミリ)
// Thickness
plate_thickness = 2; // 厚さ(ミリ)
// 丸角の板を作成
module rounded_plate(plate_height, plate_width, corner_radius, plate_thickness) {
// 中央の矩形部分
cube([plate_width - 2*corner_radius, plate_height, plate_thickness], center = true);
cube([plate_width, plate_height - 2*corner_radius, plate_thickness], center = true);
// 丸角の部分
translate([-plate_width/2 + corner_radius, -plate_height/2 + corner_radius, 0])
cylinder(h = plate_thickness, r = corner_radius, center = true);
translate([plate_width/2 - corner_radius, -plate_height/2 + corner_radius, 0])
cylinder(h = plate_thickness, r = corner_radius, center = true);
translate([-plate_width/2 + corner_radius, plate_height/2 - corner_radius, 0])
cylinder(h = plate_thickness, r = corner_radius, center = true);
translate([plate_width/2 - corner_radius, plate_height/2 - corner_radius, 0])
cylinder(h = plate_thickness, r = corner_radius, center = true);
}
// 板の呼び出し
rounded_plate(plate_height, plate_width, corner_radius, plate_thickness);
このコードをOpenSCADで開くと各パラメータを簡単に調整でき、好みに応じた形状やサイズを手軽に作成することができます。特に、角の丸みや板の厚さを微調整し、好みや用途に応じて、筆記のしやすさと持ち運びの快適さを両立させられます。
おわりに
このクリップボード作成で、3Dプリンタの可能性をあらためて実感しました。完全に自分のニーズにあったアイテムを手軽に作成できます。
特にOpenSCADは、サイズや形状を自由にカスタマイズできて非常に便利です。クリップボードの厚みや丸角の半径など、細かな調整ができ、実用性とデザイン性のバランスが取れた小道具をつくれました。
▲ 写真ではわかりにくいですが、余白が少なくなり、重さも20%減
環境
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3Dプリンタ: Bambu P1P
A5サイズの板もプリントできます。 -
フィラメント: eSun PLA+
使いやすく、お手頃価格のフィラメント。 -
ソフトウェア: OpenSCAD version 2021.01
パラメトリックデザインを効率よく行える強力なツールです。 -
スライサー: Bambu Studio 1.9.3.50
簡単な操作で高精度のスライス&プリントが可能でした。 -
コンピュータ: MacBook Pro (14-inch, 2021) with macOS Sonoma14.5(23F79)
参考リンク
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OpenSCAD公式サイト: OpenSCAD
OpenSCADのダウンロードやドキュメントを参照できる公式サイトです。 -
MakerWorld: MakerWorld
さまざまな3Dプリントモデルが共有されているサイトで、他のユーザーが作成したモデルも参考にできます。 -
OpenSCAD Tutorials: OpenSCADチュートリアル
OpenSCADを学ぶためのチュートリアルが掲載されたサイトです。基本から応用まで幅広い知識を得られます。 -
OpenSCAD 入門記事: キーキャップ設計による OpenSCAD 入門
ぼくはこの記事がとても入りやすかったです。 -
この記事の最新版は A5クリップボードを3Dプリント でメンテしています。