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Rangerの世界: macOSとキーボードで開かれる新しい道(その3)

Last updated at Posted at 2023-08-06

はじめに

追悼

Vimの生みの親であるBram Moolenaar氏が亡くなられたとの報に接しました。ご冥福をお祈り申し上げます。Rangerもまた、Vimがなければ存在し得なかったソフトウェアです。Bramさん、世界をすこしでも過ごしやすい場所にしてくれて、ありがとうございました。

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Bram氏の功績に深く感謝し、今回もVimにインスパイアされたファイルマネジャー、Rangerのご紹介をいたします。

今回のテーマ

さて、前回までの記事で、Vimライクなキーボード操作がたのしいRangerをご紹介しました。macOSでも、Ranger+よいキーボード、の組み合わせ心地がよいものです。

その1では、ウェブ上の素晴らしいリソースを紹介いたしました。その2では、Rangerを使い始めのころに起きがちな「終われないんだけど問題」の対処法を紹介しました。

いろいろあそんでためす基盤はできたとおもいます。そこで今回は、標準機能で特に便利だとおもうものをご紹介したいとおもいます。

基本操作

基本操作をざっくりとおさらいしておきます。

  • 移動系
    • カーソル移動:h j k l
    • ファイルのコピー・ペースト:yypp
    • ファイルのカット・ペースト:ddpp
    • 複数ファイルのコピー/カット・ペースト:まずSpaceを押し、ファイルを選択状態にしてからyy/ddpp
  • タブ系
    • タブを開く:C-n
    • タブを切り替え:tab
    • タブを並べて表示:~(戻すにはもういちど押す)
  • 表示・編集系
    • プレビュー:i
    • エディタで開く:Enter

とりあえずこれぐらいで、Rangerをつかいはじめられるとおもいます。Vimキーバインドがベースなので、Vim使いは直感的につかえることでしょう。Vim使いでなければ、Rangerで慣れておくと、Vimがスムーズになる恩恵があります。

キー操作はほかにもたくさんあります。おなじ操作を他のキーでもできます。もっと便利な操作をまとめて行えるものもあります。
なお、?kでキーバインド一覧を表示できます。

ブックマークで自在に飛び回る(標準機能)

Rangerにはブックマーク機能があります。Vimのマークに近いノリです。

  • ブックマークを追加:m<key> ※は任意の1文字
  • ブックマークを削除:um<key>
  • ブックマークにジャンプ:'<key>

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'を押すと上の画像のようにリストが表示されるので、おぼえておく必要はありません。

ブラウザでもそうですが、ブックマークはやたらと作っても、けっきょく使わなくなりがちです。いまのところ、下記の方針でブックマークを運用していて、いい感じです。

カテゴリ わりあてる文字
よくつかう・プロジェクト アルファベット大文字
定期的に使う 数字
設定系 アルファベット小文字
使い捨て a b
  • よくつかう・プロジェクト:ほぼ毎日のようにつかうもの。または主なプロジェクトのフォルダ
    • ファイル操作の起点:DownloadsをL、個人フォルダをP
    • プロジェクトその1:おおもとをR、サブフォルダでよくつかうものをD
    • プロジェクトその2:おおもとをY、サブフォルダでよくつかうものをM H F
    • プロジェクトその3:K
    • プロジェクトその4:O
  • 定期的につかう:週1とか月1とか、毎日ではないが繰り返し使う
    • 経費精算の資料フォルダ:9
  • 設定系:rangerやemacsなどの設定フォルダ
    • Ranger:c
    • Emacs:e
    • Hammerspoon:h

わたしのユースケースだと、これがとてもいい感じです。プロジェクト関係は、頭文字を採用しているので、がんばって覚える必要がありません。わすれるぐらいならブックマークから削除すればいいですし。設定ファイルのあるフォルダにさくっと行けるのは、めちゃくちゃ便利です。

サブシェルを起動する(標準機能)

Sで、カレントディレクトリでサブシェルを起動します。exitでRangerに戻ります。

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FinderでTerminalを開こうと思うと、右クリックして、サービスだかなんだかからメニューを選択しなければなりません。あまりに面倒くさいので、AlfredのWorkflowのftをつかっていました。Rangerなら、ファイル操作をしている流れのそのままで、シェルコマンドが打てます。これは人生が変わるぐらいうれしい機能です。

具体的には、カジュアルにgitコマンドを打ちたいときに多用しています。本格的にgit管理するときはツールをつかったり自動化したりしています。しかしローカルでカジュアルにgitで履歴をのこしておきたいときがあります。そのときは、さくっとサブシェルに行ってgitコマンドを打てると、ワークフローが途切れないのでサイコーです。

ファイル名をまとめて変更する(標準機能)

:bulkrenameというコマンドがあります。まず、Spaceで複数のファイルを選択します。つづいて:bulkrenameと打ちます。

コマンドは補完が効きます。実際には:b<tab>または:bu<tab>とタイプすれば済みます。

エディタ画面がひらき、ファイル名が並んでいます。エディタ(Vim)で編集し、保存して終了すると、ファイル名が変わっています。

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macOSのFinderにも名前をまとめて変更する機能はあります。Rangerは「エディタ」が起動するので、おもいどおりにファイル名を扱えるメリットがあります。

たとえば、ファイル名から半角と全角の空白を削除し、ファイルの頭に受領日付をつけておく、みたいなことをFinderからやろうとおもうとイヤになります(だから結局やらない……)。

おわりに

今回は、カスタマイズ不要でつかえるのおすすめ機能をご紹介しました。まず、ごく基本的な操作を概括し、つづいてブックマーク、サブシェル起動、複数ファイルのリネームをご紹介しました。

次回は、設定ファイルをカスタマイズすることで実現できる、おすすめ機能をご紹介する予定です。たとえば、macOSのQuickLookをもちいてもプレビューできるようにしたり、ファイル削除ではなく「ゴミ箱に入れる」ができるようにする、など、macOSのFinderの恩恵を、Rangerにも取り入れる方法を紹介したいとおもいます。

それでは、ハッピー・キーボード・ライフを過ごされますよう!

ご参考

一連の記事

  • その1:Rangerの魅力的なリソースをウェブからピックアップ
  • その2:「終われない問題」への対処法
  • その3:標準機能の中から、特に便利な機能の紹介
  • その4:カスタマイズして便利な機能の紹介
  • おまけ:カラースキームのオススメの組み合わせ

環境

  • ranger 1.9.3
  • Python 3.11.4
  • iTerm Build 3.4.19
  • macOS Ventura 13.4.1
  • MacBook Pro (14-inch, 2021)
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