与えられた10分間の観測データを使い、10分後のRealized Volatilityを予測するコンペ
Optiver Realized Volatility Predictにて知っておくべき周辺知識をまとめた。
Realized Volatilityとは
ボラティリティの推定値の一種
ボラティリティは資産価格の変動度合いを表し、この指標が高い商品は高リスクと判定できる。
Realized Volatilityは、高頻度データによる株価リターンを使用し、日時換算したボラティリティを指す。
ごちゃごちゃ書いているが、要は日中に観測されたリターンの2乗を観測回数分足して、
日時換算したものがRealized Volatility
定義式はt日の観測回数i回のRVが下記式
$$
RV_t = \sum_{i=1}^{n}r^2_{-1+i/n}\quad
$$
$\lim_{n \to \infty}RV_t$が一日単位で観測された累積ボラティリティと 一致していることが示されているので、
観測回数を増やせば増やすほど真のボラティリティに近づく。
なお、一般的なボラティリティ自体は$dS_{t}=\mu S_{t}, dt+\sigma S_{t}, dB_{t} $
におけるシグマを指すようです。(Wikipedia定義)
名前がややこしいが、あくまでRVは統計量なので平均値の仲間のようなもの(と思っている)
今回のコンペにおけるRealized Volatility
上記は金融工学におけるやや厳格なRealized Volatilityを記載した。
今回のコンペでは金融知識を持たないKagglerに配慮し、もっとシンプルなRealized Volatilityの定義が用いられている。
本題に入る前に、下準備とし市場の流動性と株式評価の上で重要なOrder book statisticsとLog Returnについて確認する。
- bid/ask spread
- Weighted averaged price
- Log Return
bid/ask spread
原文
As different stocks trade on different level on the market
we take the ratio of best offer price and best bid price to calculate the bid-ask spread.
異なる水準の株価のトレードをする際の__最高買値__と__最安売値__の比であり、以下で定義される。
$$
BidAskSpread=BestOffer/BestBid-1
$$
株の流動性の1つの指標として用いられようで、これが1に近いと取引費用は小さく
流動性が高くなります。(つまりボラは低い)
Weighted averaged price
読んで字のごとく重みづけされた平均価格。定義見たほうが早い
$$
\frac{WAP=BidPriceAskSize+AskPriceBidSize}{BidSize+AskSize}
$$
Realized Volatilityを計算する上での価格はこれを用いるので、
関数化必須
Log returns
異なる時系列の株価を比較するときに、logを使うと計算が楽になります(あたりまえ体操)
$$
r_{t_1,t_2} = \log(\frac{S_{t_2}}{S_{t_1}})
$$
Realized Volatility
ようやくRealized Volatilityの定義に入る。
年単位で正規化された株のログリターンの、年換算標準偏差がVolatility
WAPによって定義された株価$S_t$をログリターンにぶち込み、
各tにおける二乗和の平方根を取った値σこそ、今回求めるRealized Volatility
$$
σ = \sqrt{\sum_{t}r^2_{t-1,t}}
$$
頑張ってこれを予測していきましょう
終わりに
RMSPEについて
指標としてはRMSPE(Root Mean Squared Percentage Error)が使われる。
誤差を正解値で割った値の二乗の平均の平方根(長い)
RMSPEを0に近づけていくことがコンペの目標だが、RMSPEだからと言って留意すべきことは特段なさそう
特徴量の検討方法について考察できたら追記します。
参考文献
Kaggleのチュートリアル
https://www.kaggle.com/jiashenliu/introduction-to-financial-concepts-and-data
高頻度データによるボラティリティの推定:Realized Volatilityのサーベイと日本の株価指数および株価指数先物の実証分析
https://www1.econ.hit-u.ac.jp/finmodel/pdf-2/2014-7Wakaki.pdf
Realized volatility のショックの影響力についての検証
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/07-J-14.pdf