はじめに
- あくまで実感の話であって、数字的な根拠があるわけじゃないです。
- 心理的安全性そのものについては Qiita - 心理的安全性を目的にするのは少し変だという話 とかにもまとめてるのでご興味あれば。
自分が大事にしていること一覧
- 何のための心理的安全性なのかを明示する
- 発話の成功体験を積んでもらう
- 相手を基準に会話する(自分を基準にしない)
- 言葉遣いについて考える機会を設ける
- 怒りをできるだけコントロールする
何のための心理的安全性なのかを明示する
心理的安全性は突き詰めようとするとどこまでもいけますし、下手するとこれが理由に衝突になり得ると思っています。
「あのマネージャー心理的に安全だと感じないんですけど?」←→「成果出さずに自分の心地よさだけ優先されても?」
また、心理的安全性はお金みたいなもんだと思っていて、あるに越したことないんですけど、それ自体を目的にすると何かがおかしくなってくる印象。
そのお金は何のために稼いでいるのか?家族が不幸を感じない程度に欲しいのであれば、「お金がどれだけあるか」ではなく「不幸を感じていないか」を基準に評価するべきだと思っています。
そのためにも、何のために心理的安全性を求めているのかをチームメンバーに示していくのが大事だと思っています。
例えば以下のような。
- このPJは技術的にチャレンジが多い。
- 一人で全部を把握することは難しい以上、いろんな人の気づきが大事。
- みんなが意見を言い合って良いシステムにしていきたい。
- 意見の主張は時に衝突を生み出す。
- 衝突を完全に避けるのは難しいので、衝突しても大丈夫だと思える関係性を普段から作ろう。
みたいな。
衝突があったことを指して、「心理的に安全性が下がった」みたいな主張が生まれるのは違うと思っているので、そこらへんのフォローアップとしてもこういう表現をするようにしています。
発話の成功体験を積んでもらう
主に新規メンバー向けのアプローチです。
既存の関係性の中に入ったばかりの頃は、なかなか意見が言い出しにくいと感じる人が多いと思っています。
最初の一歩は本人の意思に任せるよりは、既存メンバーから手を差し出すイメージが良いと思っています。
具体的には以下のような。
本当に最初の頃
- 初めての人でもついていけそうな話題を選ぶ。(雑談でもいいができれば業務の話題が良いと思ってる)
- その話題の中で名指しで話を振る。
- 話を振る前に丁寧にハードルを下げておく。(急に振られても困ると思うんですが、全然「わからないっすわー!」みたいなんでもいいっすよ〜、みたいな)
- 発言を遮らずに最後まできく。
- 発言に感謝し、内容を尊重する。(発言ありがとうございます!初回でちゃんと意見言えるのすごいっすね!内容も〜とか確かにって感じました!とか)
- これを繰り返す。
それ以外
- 望ましい行動をしてくれたときに褒める・感謝する。
- 例えば、指名せずに発話してくれた場面などがあれば褒めたり感謝したりする。
相手を基準に会話する(自分を基準にしない)
新規メンバーに限らずです。
「それおかしいよ!どうしてそんなことしちゃったの!?」みたいなのは、自分基準です。
「なるほど〜。それだと〜という部分で不都合が出ちゃうので改善して欲しいです。ちなみに、他の人も同じ間違いしちゃってるかもしれないので、その状況についてもう少し詳しく教えてもらっても良いですか?」みたいなのが相手基準です。
全然違いがわかんないっすね、これ。
相手と自分がいた時に、どちらを基準に説明してもらうかで説明のしやすさは大きく違ってきて、相手基準にしてもらったほうが、事実を把握しやすいと思っています。
相手=部下、自分=上司として説明していきます。
自分基準(上司基準)の例で挙げた「それおかしいよ!どうしてそんなことしちゃったの!?」では、部下は上司が納得するような論理を探る必要性を感じます。
この状況下での説明は不安を強く感じながら、この説明で納得するかな・・・?と探り探りの発言になるでしょう。
緊張の結果、変な発言に繋がり、上司が不機嫌になり・・・みたいな悪循環があると思っています。
相手基準(部下基準)の例で挙げた「なるほど〜。それだと〜という部分で不都合が出ちゃうので改善して欲しいです。ちなみに、他の人も同じ間違いしちゃってるかもしれないので、その状況についてもう少し詳しく教えてもらっても良いですか?」では、部下は上司が納得するかというよりは、部下自身の状況を説明することにフォーカスできるでしょう。
なお、ここで上司が不機嫌になると、途端に自分基準(上司基準)に変わってしまいます。最後の最後まで部下が部下基準で話せるような空気感を作るのが大事です。
言葉遣いについて考える機会を設ける
新規メンバーに限らずです。
言葉遣いをキツく受け止められてしまう人はいます。
でも、多くの場合、「慣れた表現を使ってしまいがち」だったり「他の表現を知らない」ことのが多いと思います。
これは、なるべく実例をもとにみんなで良い表現を提案していくようなアプローチです。
なお、これをやれるだけの心理的安全性があれば割ともう十分な気はしてる。
具体的には以下。
匿名でのアプローチ
- 1on1などの場面で「キツいと感じた表現」「こう言って欲しかった」みたいなのを集める。
- そのまま表現するとダメージが大きそうな場合は多少柔らかくして整理する。
- 全体に展開できそうなものは全体に展開する。個別メンバーに限った話はその人だけに1on1で伝える。
- 展開する際は「これがダメだった(否定)」というスタンスではなく、「こういう表現にしていって欲しい(改善)」にフォーカスを合わせる
中には「これがダメだった」と受け止めてしまう人もいるので、諸刃の剣でもある。
他にもいろんなアプローチは考えたことあるけど、実際に使ったことあるのこれだけなので、これだけ記載しておきます。
怒りをできるだけコントロールする
怒りは表明しない方が良いみたいな話を多く聞きますが、一方で表明した方が良いという話もたまに聞きます。
どっちの理屈も探れば出てきそうなので、ここではあくまで主観的な経験則をベースに話をしていきます。
淡々と対処する
個人的な実感としては、怒らないと伝わらない相手には、怒っても伝わらないように感じています。
怒るだけこちらのリソースを無駄遣いしてる気分になってきたので、ここ何年か怒ってないです。
淡々と原因を調べる、対策する、効果がなければ別の手段を取る。
別の手段の一つには「人を入れ替える」も含まれている、くらいの感覚です。
なお、交代までにどの程度失敗を許容できるかはPJ次第であって、個人の感情次第ではないと思っています。
イライラする人へのアプローチ
どうしても感情の動きが大きい人はいます。
その人には、もう一度思いっきりぶちまけたら?などを提案しています。
無理に抑え込もうとするから変な形で表出するのであって、一度全部出してから落ち着いてから話し始めれば良いと思っています。
一度怒ってしまうと自分ではうまく切り替えられないという場合は、一度場を切り替えるなども手段だと思っています。(休憩を入れる・違う日時にセッティングし直す、など)
大事なのは自分に合った感情のコントロール方法を見つけることだと思います。
感情のコントロールに有効だと感じていること
- 思っていることを感情のまま全部発言してもらう(発言の途中から冷静さを取り戻し始めるイメージ
- 場を変える・休憩を入れる(結構、感情は場にひきづられる気がしているので、少し環境を変えると良いと思います
- 睡眠をとる・食事をとる(揉めそうな打ち合わせは昼食後くらいがベストだと思っています
これらは小手先のテクニックではありますが、思った以上に効果あるように感じています。
思っていることを全部発言してもらってる最中は、否定しないのが大事です。
なるほど、確かに、あ〜そうか〜・・・など、相槌は入れつつ、全部言ってもらいましょう。
本質的なコントロール
- 原因を明確にする(何にイライラしているのかを整理しましょう、1on1などで話に付き合ってくれる人を見つけるのが良いと思います
- 原因を解消させる(原因を解消しない限りイライラは続きます。なお、原因が明確になるだけで解消するケースも多いです。
- コントロールできないものは諦める(世界が平和にならないことにイライラするとエンドレスでしょう
- コントロールできるものにフォーカスする(例えば毎月募金するとかにフォーカスしましょう
大事なのは本人が納得することで合って、外部から押し付けるのは逆効果。
「そんなんコントロールできないんだから諦めればいいじゃん!」って外野から言うのは楽。
どうやって諦めたらいいんや!みたいな話。
諦めることからスタートするよりは、別にフォーカスするものを見つけるところから始めた方が良い気がする。
全部を意識しづつけることはできないので、新しいものをフォーカスすると、既存でフォーカスしていたものが減ります。
そうやって諦めるようにしていくのがいい気がします。
(当然、このアプローチが逆効果の人も居ます。全部を意識しようとしてしまって、よりストレスフルになってしまう。)
1on1などで支援しています。
まとめ
- 何のための心理的安全性なのかを明示する
- 発話の成功体験を積んでもらう
- 相手を基準に会話する(自分を基準にしない)
- 言葉遣いについて考える機会を設ける
- 怒りをできるだけコントロールする
次回予告
本記事は、2022アドベントカレンダー「受託アジャイル」です!
次回は、「組織の育成担当として取り組んだ育成施策」をします。