はじめに
- 自分が所属部門の育成施策を検討する育成担当になってからやった試行錯誤の結果得た学びを書きます。
- 育成予算とかが割り振られて、ある程度育成施策の裁量が許される系の大きめ組織ならある程度使いまわせるんじゃなかろうか。
- 会社としては大枠の方針があって、部門ごとに自由に決めれる感じ。会社の制度自体は説明しません。あくまで個人的な学びの話。
課題認識と対策
当初は自己学習する人が少ない組織でした。
技術書とか買ったことないです、みたいな人が多い組織でした。
そんな組織では新しいものは生み出せないので、育成施策を通して徐々に変えていきました。
そんな四苦八苦の結果の学びを載せておきます。
ちなみに今では、全員が何かしらの技術書を保有。(自分で選んで購入している)
自発的な勉強会なども毎週どこかしらで行われています。
学び
- 「知識」と「実践力」は分けて考えるのが良さそう&外部コンテンツをうまく使う
- 知識の育成
- 体系的な知識の習得は「資格」が効率が良い。
- 入門的な知識の習得は「Udemyなどの学習コンテンツ」や「外部研修」などが効率が良い。
- 応用的な知識の習得は「書籍」が良い。
- 実践力の育成
- 現場でチャレンジできる状況を作り出す
- 現場への導入が難しい場合は思考実験してもらう
- LTなどを中心にした外部の有志で行われる勉強会で得られる事例を参考にするのも有効
- 知識の育成
- 育成を重視する仕組みを作る
- 業務時間中に学習できるようにする
- 自己学習の習慣がない人は「チームを組んで学習することで習慣を作ってもらう」
- 自己学習することを個人目標に入れてもらう(ボーナス評価とか給与評価などに混ぜる)
- 学習することは強制するが何を学習するかは選ばせる
- 会社命令として学習は強制する
- でも何を学習するかはある程度任せる。
- とはいえ「普通自動車免許」とか勉強されても困るのである程度の制限は伝える。
- 会社の制度を使いやすくする
- 書籍を購入しやすくする
- 外部研修を申し込みやすくする
「知識」と「実践力」は分けて考えるのが良さそう&外部コンテンツをうまく使う
概要説明
「知識」と「実践力」は分けて考えるのが良さそう
人によるとは思うけど、実感としては、以下。
- 実践しながらだと知識が歯抜けになりやすい(必要な部分だけ食べるイメージ)
- 体系的な知識だけでは目の前の現場に適用するのは難しい(理想はわかるけど、この場ではどうすればいいの的な)
どっちも大事なので、これをうまくデザインするのが大事だという感覚。
主にPJ側で実践をしてもらう。
育成施策では知識の習得を中心にやってもらう。
なお、知識の習得ばかりで現場側での実践に至ってない場合は、その間を埋めるような施策を育成側でやるのはあり。
外部コンテンツをうまく使う
「知ってる人が教える」みたいなスタイルを当初やってたものの、限界があった。
コンテンツの幅が少ないし、教えてる人が学習する機会が減る。
当然、教えることで勉強になることはある。予想外に抜けてる知識が見つかったり、良い教え方を身につけたり。
でも、「知ってる人が教える」だけに頼るのは疲弊感がすごいので、避けた方が良い。
知識の育成
- とりあえず入門くらいの習得は「Udemyなどの学習コンテンツ」や「公式のハンズオン」などが便利。
- 体系的な知識の習得は「資格」が効率が良い。
- 文化や考え方に近い部分の習得は「外部研修」などが効率が良い。
- 応用的な知識の習得は「書籍」が良い。
とりあえず入門:何も知らんけどちょっと知りたい、くらいの感覚。深いところは学びにくい。
体系的な知識:広く浅く理解したい系。Java書けるけど、Java聞かれると答えられないみたいな時に。
文化や考え方に近い部分:アジャイルやロジカルシンキングなど、知識として理解するだけじゃいまいちしっくりこない系。
応用的な知識:体系的な知識などを前提に、どのように適用させるかなどを整理して教えてくれるものが多い。
それぞれに良さがあるので、うまく使い分けてもらう。
使い分け方を教えるのがいいくらいだと思う。
実践力の育成
- 現場でチャレンジできる状況を作り出す
- 現場への導入が難しい場合は思考実験してもらう
- LTなどを中心にした外部の有志で行われる勉強会で得られる事例を参考にするのも有効
実践力に関しては現場での実践が一番身につく気がする。
例えばCI/CDをやったことがない現場なら、CI/CDにフォーカスした案件をちゃんと作り出して、そこで組織として身につけていく。
ただ、受託開発の現場では、案件を作るにはちゃんと顧客にとってのメリットも考えた上で提案に持っていく必要はあるので、なかなか作り出せない時はある。
そういう状況の場合は次の現場に向けて思考実験や部分的な実験を育成施策の中でしてもらう。
何かテーマを設けて、それについて調べて実践したり発表したりしてもらう。
外部の「やってみた」系の発表や記事などは、現場導入の参考になるのでそういう形で使うのが良いと思う。
外部のやってみた系の発表や記事から体系的な知識を得たつもりになるのはまずいけど、実践例としては非常に参考になるのでうまく使う。
育成を重視する仕組みを作る
- 業務時間中に学習できるようにする
- 自己学習の習慣がない人は「チームを組んで学習することで習慣を作ってもらう」
- 自己学習することを個人目標に入れてもらう(ボーナス評価とか給与評価などに混ぜる)
仕事中にちゃんと勉強できるように仕組みと文化を整備していこう。
仕組みの部分は評価制度に育成をすることを組み込む。
文化の部分は組織トップのメッセージとして言い続ける。
あとは、各PJのマネージャーに協力してもらえるようにする。
ここら辺はいい感じにやるとしか言えん。。。うまく言語化できひん。。
メッセージを出しても、学習する習慣がない場合や、業務を優先しがちな状況ってのはあります。
ついつい目の前のタスクの方を優先してしまうことは多いです。
そういう人向けには「チームを組んで、毎週2時間定例で勉強会を設ける」などをしてもらう。
最初は非効率的でも、まずは習慣づけするところを中心に扱いましょう。
学習することは強制するが何を学習するかは選ばせる
- 会社命令として学習は強制する
- でも何を学習するかはある程度任せる。
- とはいえ「普通自動車免許」とか勉強されても困るのである程度の制限は伝える。
組織として新しいチャレンジをできるようになりたいので、学習すること自体は強制する。
ただ、何を学習するかは自分で決めてもらう。
決めれない人にはある程度選択肢をこちらから提供してもらうとスムーズ。
ただ、完全な自由にするかどうかは組織次第だけど、個人的にはある程度の制約をつけるべきだと思っている。
細かい部分は個別判断だと思うけど「例えば〜」みたいなのは提示しておくと良いと思っている。
学習効果は強制されるよりも自発的に取り組んだ方が大きいので、その間をとってこんなアプローチをとってる。
ある程度自由度があれば、割とみんな自発的に学習してくれる印象。
会社の制度を使いやすくする
- 書籍を購入しやすくする
- 外部研修を申し込みやすくする
会社の制度がわかりづらいケースはあります。
マニュアルは公開されてるけどわかりづらいとか。
多少噛み砕いたマニュアルをわざわざ作るのもありだと思ってます。
多少メンテは大変ですけど、それで組織全体のレベルが上がるならメリットのが上回るかと思います。
もうちょっと具体的に
## 今どんな感じか
期初に何を学習するか宣言してもらう
最近はこんな枠組みでやってます。
- 資格勉強コース
- 研究活動コース
- 自由学習コース
資格勉強コースはいくつかの資格を提示して、こういうのから選んでねーって感じでやってます。
当然、提示できてないものも相談には乗るよーと伝えています。
学習のための書籍やEラーニングや外部研修費用は出す。資格受験のお金も出す。
予算が潤沢にない場合は、初回受験費用だけでもありだとは思う。ここら辺はお財布の都合次第。無い袖は振れない。
研究活動コースは、書籍や外部研修からインプットして、自分のPJに適用するためには?みたいなのまで含めて発表をしてもらうコース。
3〜6名くらいのチームを組んで学習〜発表をしてもらいます。
毎週集まる時間を決めてもらい、学習の習慣化などを含めて活動してもらいます。
自由学習コースは、上記枠組みに囚われない自由なコースです。
育成担当に相談してオッケーなら何でもあり。
研究活動コースだと、あんまり知らない若手のサポートなどに手を取られがちで、もうちょっと深いところを調べたいって人がソロでやってるケースが多い印象。
評価制度と組み込む
年間〜人日を学習に費やすなどを個人目標として立ててもらいます。
学習してたらOK。その上で、資格取得とかの成果まで行けたら加点。みたいな印象。
学習工数費やせてなかったらNG。
※部門独自の基準であって、全社の基準じゃないっす。
もちろん完全個人に任せるのではなく、学習工数の消化状況をウォッチして、芳しくない人にはフォローしてあげる。
PJ側の圧力が厳しくて・・・など、本人の努力ではどうしようもない場面などあれば、PJマネージャーにこちらからアプローチする。
それ以外
概ねすでに説明した通りだから割愛。
ここに至るまでに
現状は上記ですが、学習習慣がない時代には、研究活動コースだけやってた時期もあります。
組織の状態を把握して、手を替え品を替えて、新しいものを生み出せる組織を作り出すのが大事だと思っています。
まとめ
- 「知識」と「実践力」は分けて考えるのが良さそう&外部コンテンツをうまく使う
- 育成を重視する仕組みを作る
- 学習することは強制するが何を学習するかは選ばせる
- 会社の制度を使いやすくする
- 組織の状態に合わせて、自分なりのやり方を見つける。
次回予告
本記事は、2022アドベントカレンダー「受託アジャイル」です!
次回は、「アジャイルでよく聞く謎ワードたち」をします。