はじめに
この記事では、SQL文を書く際の考え方と手順を紹介します。また、インターネットTVのデータベースを題材に、具体的に考え方と手順を確認していきます。
SQLを書くときの考え方
SQLを書く際、まず問題を理解し、必要なデータを特定し、クエリの構造を考えるという順番で進めます。
-
問題を理解する
問題を理解することで、クエリの目的を明確にし、その結果として必要なデータを抽出することができます。 -
必要なデータを特定する
問題を理解した上で、必要なデータがどのテーブルやカラムにあるのかを特定し、リストアップします。 -
クエリの構造を考える
クエリの構造を考える際には、JOINの種類、サブクエリやCTEの使用、ウィンドウ関数などを検討します。これにより、効率的で正確なクエリを作成することができます。
必要なデータがどのテーブルやカラムにあるのかを特定する方法💡
MySQLでは、データベース内のテーブルやカラムに関する情報を調べるために、
SHOW TABLES
やDESCRIBE
コマンドを使用します。これらのコマンドを使用して、必要なデータがどのテーブルやカラムにあるのかを特定し、リストアップします。-
データベース内のテーブルを一覧表示するには、以下のコマンドを実行します。
SHOW TABLES;
-
各テーブルのカラム情報を調べるには、以下のコマンドを実行します。
DESCRIBE table_name;
ここで、
table_name
は調べたいテーブル名に置き換えてください。
基本的な手順です。
-
SHOW TABLES
コマンドでデータベース内のテーブルを確認し、関連するテーブルを特定する。 -
DESCRIBE
コマンドを使用して、各テーブルのカラム情報を調べ、必要なカラムを特定する。 - 特定したテーブルとカラムをリストアップし、これを元にクエリの構造を考える。
このように、
SHOW TABLES
とDESCRIBE
コマンドを使ってテーブルとカラムの情報を取得し、問題の要件に応じてリストアップすることで、効率的なクエリの構造を考えることができます。
-
SQLを書く手順
-
SELECT句で必要なカラムを指定し、データを抽出します。
-
FROM句でテーブルを指定し、必要に応じてJOINを行うことで関連するデータを結合します。
-
WHERE句で条件を指定し、特定のデータだけを抽出します。
-
必要に応じてGROUP BY句でグループ化し、HAVING句で条件を指定ことで、特定のグループだけを抽出します。
-
ORDER BY句を使用して、結果を昇順または降順にソートします。
実践編
実践編で取り扱うインターネットTVのテーブル設計です。
インターネットTVのテーブル設計
テーブル名: channel_table
カラム名 | データ型 | NULL | キー | 初期値 | AUTO INCREMENT |
---|---|---|---|---|---|
channel_id | BIGINT(20) | PRIMARY | YES | ||
channel_name | VARCHAR |
外部キー制約: なし
ユニークキー制約: channel_name
テーブル名: time_slot_table
カラム名 | データ型 | NULL | キー | 初期値 | AUTO INCREMENT |
---|---|---|---|---|---|
time_slot_id | BIGINT(20) | PRIMARY | YES | ||
start_time | TIME | ||||
end_time | TIME | ||||
channel_id | BIGINT(20) | FOREIGN |
外部キー制約: channel_id -> channel_table.channel_id
ユニークキー制約: channel_id, start_time
テーブル名: program_table
カラム名 | データ型 | NULL | キー | 初期値 | AUTO INCREMENT |
---|---|---|---|---|---|
program_id | BIGINT(20) | PRIMARY | YES | ||
program_title | VARCHAR | ||||
program_description | TEXT | YES |
外部キー制約: なし
ユニークキー制約: program_title
テーブル名: season_table
カラム名 | データ型 | NULL | キー | 初期値 | AUTO INCREMENT |
---|---|---|---|---|---|
season_id | BIGINT(20) | PRIMARY | YES | ||
season_number | BIGINT(20) | ||||
program_id | BIGINT(20) | FOREIGN |
外部キー制約: program_id -> program_table.program_id
ユニークキー制約: season_number, program_id
テーブル名: episode_table
カラム名 | データ型 | NULL | キー | 初期値 | AUTO INCREMENT |
---|---|---|---|---|---|
episode_id | BIGINT(20) | PRIMARY | YES | ||
episode_number | BIGINT(20) | YES | |||
episode_title | VARCHAR | ||||
episode_description | TEXT | YES | |||
video_length | TIME | ||||
release_date | DATE | ||||
views | BIGINT(20) | 0 | |||
season_id | BIGINT(20) | YES | FOREIGN | ||
program_id | BIGINT(20) | FOREIGN |
外部キー制約: season_id -> season_table.season_id, progrram_id -> program_table.program_id
ユニークキー制約: episode_number, season_id(season_idがNULLでない場合)
テーブル名: genre_table
カラム名 | データ型 | NULL | キー | 初期値 | AUTO INCREMENT |
---|---|---|---|---|---|
genre_id | BIGINT(20) | PRIMARY | YES | ||
genre_name | VARCHAR |
外部キー制約: なし
ユニークキー制約: genre_name
テーブル名: program_genre_table
カラム名 | データ型 | NULL | キー | 初期値 | AUTO INCREMENT |
---|---|---|---|---|---|
program_id | BIGINT(20) | PRIMARY | |||
genre_id | BIGINT(20) | PRIMARY |
外部キー制約: program_id -> program_table.program_id, genre_id -> genre_table.genre_id
ユニークキー制約: program_id, genre_id
実践編:初級
初級:ある番組名のすべてのエピソードを取得する方法
考え方と手順に従って、インターネットTVのデータベースから、指定した番組名 (例: 'News Hour') のすべてのエピソードタイトルを取得するSQLクエリを作成します。
- 手順1: 問題を理解する
今回の目的は、指定した番組名のすべてのエピソードタイトルを取得することです。これにより、ユーザーはその番組のエピソード一覧を確認できます。
- 手順2: 必要なデータを特定する
次に、どのテーブルからデータを取得する必要があるかを特定します。今回は、episode_table
からエピソードタイトルを取得し、program_table
から番組名を指定する必要があります。
- 手順3: クエリの構造を考える
必要なデータを特定したら、どのようにクエリを構成するか考えます。今回は、episode_table
とprogram_table
を結合し、指定した番組名に一致するレコードをフィルタリングする必要があります。
- 手順4: SQLクエリを作成する
- SELECT句で必要なカラムを指定する
- エピソードタイトル(
episode_title
)を取得するため、SELECT episode_title
と記述します。
- エピソードタイトル(
- FROM句でテーブルを指定し、必要に応じてJOINを行う
-
episode_table
とprogram_table
をJOINします。FROM episode_table JOIN program_table ON episode_table.program_id = program_table.program_id
と記述します。
-
- WHERE句で条件を指定する
- 指定した番組名(ここでは'Example Program')に一致するレコードをフィルタリングするため、
WHERE program_table.program_title = 'News Hour'
と記述します。
- 指定した番組名(ここでは'Example Program')に一致するレコードをフィルタリングするため、
- 今回はGROUP BY句は不要です。
- クエリを完成させます。
SELECT episode_title
FROM episode_table
JOIN program_table ON episode_table.program_id = program_table.program_id
WHERE program_table.program_title = 'News Hour';
-- 実行結果
+----------------------------+
| episode_title |
+----------------------------+
| The Beginning |
| The Adventure Continues |
| The Mystery Unfolds |
| The Plot Thickens |
| The Twist |
| The Final Battle |
| A New Beginning |
| The Return of the Villain |
| The Secret of the Artefact |
| The Hunt Begins |
| The Trap |
| The Final Showdown |
+----------------------------+
12 rows in set (0.01 sec)
実践編:中級
中級:ジャンル別の平均視聴数を取得する方法
考え方と手順に従って、インターネットTVのデータベースから、各ジャンルごとにエピソードの平均視聴数を計算するSQLクエリを作成します。
- 手順1: 問題を理解する
今回の目的は、各ジャンルごとにエピソードの平均視聴数を計算することです。これにより、人気ジャンルやトレンドを把握できます。
- 手順2: 必要なデータを特定する
次に、どのテーブルからデータを取得する必要があるかを特定します。今回は、**genre_table
からジャンル名を取得し、episode_table
から視聴数を取得する必要があります。また、program_genre_table
を使ってジャンルとエピソードを関連付けます。
手順3: クエリの構造を考える
必要なデータを特定したら、どのようにクエリを構成するか考えます。今回は、genre_table
、program_genre_table
**、およびepisode_table
を結合し、ジャンルごとに平均視聴数を計算する必要があります。
- 手順4: SQLクエリを作成する
- SELECT句で必要なカラムを指定する
- ジャンル名(
genre_name
)と平均視聴数(AVG(views)
)を取得するため、SELECT genre_name, AVG(views) AS average_views
と記述します。
- ジャンル名(
- FROM句でテーブルを指定し、必要に応じてJOINを行う
-
genre_table
とprogram_genre_table
をJOINし、次にepisode_table
をJOINします。FROM genre_table JOIN program_genre_table ON genre_table.genre_id = program_genre_table.genre_id JOIN episode_table ON program_genre_table.program_id = episode_table.program_id
と記述します。
-
- 今回はWHERE句が不要です。
- 必要に応じてGROUP BY句でグループ化し、HAVING句で条件を指定する
- ジャンルごとにグループ化するため、
GROUP BY genre_table.genre_id, genre_name
と記述します。
- ジャンルごとにグループ化するため、
- 今回はORDER BY句が不要です。
- クエリを完成させます。
SELECT genre_name, AVG(views) AS average_views
FROM genre_table
JOIN program_genre_table ON genre_table.genre_id = program_genre_table.genre_id
JOIN episode_table ON program_genre_table.program_id = episode_table.program_id
GROUP BY genre_table.genre_id, genre_name;
-- 実行結果
+------------+---------------+
| genre_name | average_views |
+------------+---------------+
| Action | 3750.0000 |
| Adventure | 7133.3333 |
+------------+---------------+
2 rows in set (0.00 sec)
実践編:上級
上級:シーズンごとのエピソード数を取得する方法
考え方と手順に従って、インターネットTVのデータベースから、シーズンごとのエピソード数を計算するSQLクエリを作成します。
- 手順1: 問題を理解する
今回の目的は、シーズンごとのエピソード数を取得することです。これにより、各番組のシーズン構成を把握できます。
- 手順2: 必要なデータを特定する
次に、どのテーブルからデータを取得する必要があるかを特定します。今回は、program_table
から番組情報を取得し、season_table
からシーズン情報を取得し、episode_table
からエピソード情報を取得する必要があります。
- 手順3: クエリの構造を考える
必要なデータを特定したら、どのようにクエリを構成するか考えます。今回は、program_table
、season_table
、およびepisode_table
を結合し、シーズンごとにエピソード数を計算する必要があります。
- 手順4: SQLクエリを作成する
-
SELECT句で必要なカラムを指定する
番組名(
program_title
)、シーズン番号(season_number
)、およびエピソード数(COUNT(episode_table.episode_id)
)を取得するため、SELECT program_table.program_title, season_table.season_number, COUNT(episode_table.episode_id) AS episode_count
と記述します。 -
FROM句でテーブルを指定し、必要に応じてJOINを行う
season_table
とprogram_table
をJOINし、次にepisode_table
をJOINします。FROM season_table JOIN program_table ON season_table.program_id = program_table.program_id JOIN episode_table ON season_table.season_id = episode_table.season_id
と記述します。 -
今回はWHERE句が不要です。
-
必要に応じてGROUP BY句でグループ化し、HAVING句で条件を指定する
- シーズンごとにグループ化するため、
GROUP BY program_table.program_title, season_table.season_number
と記述します。
- シーズンごとにグループ化するため、
-
今回はORDER BY句が不要です。
-
クエリを完成させます。
SELECT
program_table.program_title,
season_table.season_number,
COUNT(episode_table.episode_id) AS episode_count
FROM season_table
JOIN program_table ON season_table.program_id = program_table.program_id
JOIN episode_table ON season_table.season_id = episode_table.season_id
GROUP BY program_table.program_title, season_table.season_number;
-- 実行結果
+--------------------+---------------+---------------+
| program_title | season_number | episode_count |
+--------------------+---------------+---------------+
| Cooking with Julia | 7 | 9 |
| Cooking with Julia | 1 | 6 |
+--------------------+---------------+---------------+
2 rows in set (0.00 sec)
さいごに
最後まで読んでいただきありがとうございます。
私自身、SQLの書き方についていろいろと悩み、苦労しながら学んだ内容をこのブログ記事にまとめました。もし、この記事が現在SQLやデータベースを学習している方々の助けになるなれば嬉しいです。