はじめに
アドベントカレンダー最後の投稿が、非エンジニアな自分でいいのかと思いながらも、
この記事では開発組織の行動指針の意味合いとその先に待っているものについて
少し妄想しようかと思います。
弊社は日々技術研鑽を行っている仲間たちに対して、マネジメントとして組織の行動指針を示しています。
- Scientific
- Technological
- Ambitious
- Relevant
- Transactive memory
弊社組織は、
第二の創業という形で、約2年前に会社として出発した以降、様々な面で変化を求められており、それは今後もしばらく継続すると思われます。
よーくご存知の方は、もしかしたら「使い方間違ってるよ!」となるかもしれませんが、
浅い知識ながら「ジョン・コッターの変革のプロセス」に擬えて、この行動指針の先に待っているものを妄想してみようと思います。
コッターの変革のプロセス概要
そもそもコッターさんというのはハーバード大学卒で、同大学ビジネススクールの名誉教授という
すごそうな方で、リーダーシップ論で有名な方。
リーダーシップとマネジメントも明確に分けるなども面白そうなお話ですが、それは置いておきまして、
「ジョンコッターの8段階の変革のプロセス」というのも、リーダーを主語にした形で
以下のように定義されてます。
1. 危機意識を高める
2. 変革推進のための連帯チームを築く
3. ビジョンと戦略を生み出す
4. 変革のためのビジョンを周知徹底する
5. 従業員の自発を促す
6. 短期的成果を実現する
7. 成果を活かして、さらなる変革を推進する
8. 新しい方法を企業文化に定着させる
出典:https://globis.jp/article/2239
ジョン・P・コッター『企業変革力』日経BP社、2002年を参考にグロービスさん作成
また、これらを推進するにあたって障害の元となる
「8つのつまづきの石」
という要素もあると提唱されています。
1. 内向きな企業文化
2. 官僚主義 ー 新しい事柄を好まずに古くからの慣習を尊重する集団的な様式や意識
3. 社内派閥
4. 相互の信頼感の欠如
5. 不活発なチームワーク
6. 社内外に対しての傲慢な態度
7. 中間管理層のリーダーシップの欠如
8. 不確実に対する恐れ
この記事での概要紹介は本当に項目だけご紹介とします。
(検索すれば体験記事も含めてたくさん出てきますので。)
組織の現在地
このプロセスに対して弊社が現在どのようなステージにいて、
冒頭の行動指針と併せてつまづきの石をどう回避しているかについて。
結論としては、ステップ5-6あたりにいると思われます。
約2年の間にプロダクト開発組織の中で、改善フローの確立と技術負債への向き合い方が
一定定まってきた上で、組織メンバーが自発的に動きながら、そこには成功も失敗もありながら、
複数のチームが目的に向かって振り切って行動し、一定の成果が出始めている、
といった状況に感じられるからです。
強いて言えば、
コッターさんの言う短期的成果はもう少し先のことを言っていると思うので、
現在地は6に至る過程と捉えると良さそうです。
なんだ、なんかだいぶ進んでいるじゃないか、とも思いますが、
つまづきの石についても簡単に検証してみます。
-
内向きな企業文化
内向きな企業文化 社内で起きる課題に終始してしまっていないか、という点なので、
これは継続的に注意しなければならない点。課題ってたくさんありますから。
対抗する行動指針としては
Technological!Ambicious! -
官僚主義 ー 「新しい事柄を好まずに古くからの慣習を尊重する集団的な様式や意識 」
変革という言葉からすると確かにそぐわない主義ですね。
対抗する行動指針としては
Scientific!Technological! -
社内派閥
社内派閥 今のところ弊社では縁がなさそうですが、組織は常々役割分担するものですので それぞれの専門性をリスペクトしながら最大スピードを出したいですね。 対抗する行動指針としては
Transactive memory! -
相互の信頼感の欠如
相互の信頼感の欠如 それぞれグループで目的を持っていると、ただ合わせるだけだと矛盾してしまったり、 矛盾までいかなくてもベクトルが合わなかったりしますよね。 ただ1つのプロダクトを全体で提供しているという意味では必ず ユーザーがメリットを享受できるようにしたいですし、不利益を被るのは防ぎたいと思います。 その中で、完璧な役割分担なんてものもないですし、時々で組織分割の形も変わるべきですので その前提でユーザーファーストに、その中でお互いをリスペクトしながら議論をしたいですね。 対抗する行動指針としては、
Scientific! Relevant! Transactive memory! -
不活発なチームワーク
不活発なチームワーク これも4番と同様 対抗する行動指針としては、
Scientific! Relevant! Transactive memory! -
社内外に対しての傲慢な態度
社内外に対しての傲慢な態度 社内外のステークホルダーって本当に様々いると思いますが、
ビジョンをいかに信じて誠実に語ったり、一緒に働く仲間をどれほど信用できるかだったり、 いずれもコミュニケーションに対して共感を得られるかどうかって大事ですよね。
この共感力というのは、科学的なアプローチでも一定フォローできますが、 それだけでは満たされない気がします。 -
中間管理層のリーダーシップの欠如
中間管理層のリーダーシップの欠如 中間管理層ということは部下も抱え、上司もいて、という状態を指すはずですが、 その層のリーダーシップが期待されるということは 、
リーダーシップの発揮 with 部下 ・リーダーシップの発揮 with 上司 ・リーダーシップの発揮 with 横のリーダー の3点が考えられそうですね。
行動指針としては、5つ全て関係しそうですが、 コッターさんの定義ではリーダーシップとマネジメントは異なるそうですので、
そもそもリーダーシップの観点でどういう点で技術力を活用し、 何に対して野心的になればいいのか、主体的になればいいのかより詳細な定義が必要そうですね。 -
不確実に対する恐れ
不確実に対する恐れ 挑戦に対して、積み上げてきたものが崩れてしまったり、目の前の数字が下がってしまったり、 というリスクが見えない、ということが多い項目でしょうか。
サービス運営に限って言えば、では誰が答えを知っているのか、というのが とても大事な気がします。
最終的には「ユーザーに聞く」みたいなのも含めて ビジョンや想いをブラさず挑戦し続けるために、どんな楽しみ方があるか、という 観点で解決策の議論が必要な項目だと思います。
もちろん問題の種類というのは様々であってこそ体系的なものでも8つも出てくるわけですが、
今潜在的なものから、これから来るものまで考慮すると、上記から少し新しい要素が見えてきた気がします。
この先に待っているもの
コッターさん提唱のつまづきの石が、今起きているかこれから起きるのかは関係なく
課題なのだとすると、今後以下の要素が必要になってくるのだと思います。
- (6番より) 共感力およびそれを上げるための組織施策
そして1番と合わせて社外ステークホルダについても全員が意識すること。 - (7番より) 中間マネジメント層のマネジメント力ではなくリーダーシップ力の開発
- (8番より) 一度積み上げた成功に固執せず必要な変化を続けること=自立型組織の深い理解を促す仕組み
さいごに
情報技術で課題解決をしていくために、
そしてそれをチームとして、エンジニア組織で大きな成果を出していくために、
変革は1日にしてならず。
本記事は弊社アドベントカレンダーのトリとして記載をさせていただきましたが、
今回のアドベントカレンダーでも各々が自発的に、楽しく取りまとめて
ここまで繋がれてきました。
この1つ1つの積み重ねの先に、会社にも社会にも輝かしい未来が待っておりますので
それを全員で全力で信じて、良いお年を。