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2024年12月27日のAutodesk Fusion (Windows版)
「できないこと」を知るのは難しい
「できること」をやる方法はググれば秒でわかる。
「何をどうやってもできないこと」を知るには数十分はかかる。
そして「XXXでは自分に必要なことができない」と知るには数週間かかる。
この記事が、あなたの数週間を節約する一助になれば幸いである。
その1:SVGの寸法を規格どおりに解釈することができない
SVGは、一番外側のsvg要素の属性で width / height / viewBox を指定する。InkscapeでSVGを作ると、width / height にmmなどの物理的な長さの単位がついており、viewBoxが単位なし(user units)になっている。width / height / viewBox によって、物理的な長さとuser unitsのマッピングが定義される。内側の要素で単位なしの長さを使うと、それはuser unitsとして解釈され、 mmなどの物理的な長さとして扱われる。
しかしFusion 360でSVGを挿入すると、こういうSVG規格は無視され、単位なしの長さは常に 1/72 1/96 inchとして扱われる。
(2023/7/7追記:どこかのアップデートで1/72 inchから1/96 inchに変わった。SVG規格の無視はそのまま)
対策:SVGファイルをテキストエディタで見て、物理的な長さとuser unitsのマッピングを把握し、SVG挿入時のスケールを指定する。
その2:可変パラメータを持つ部品が作れない
パラメトリックCADなのだから、コンポーネントを使うときにパラメータを指定したくなるが、できない。
対策:Fusin 360をパラメトリックCADだとは考えない。Blenderみたいな3Dお絵かきソフトだと考える。使うパラメータをいちいち手で設定してSTEPファイルを書き出したりすれば逃げられるかも。
その3:ボディをスイープできない
形状の複雑な部品を差し込むための溝を作りたい、という場合にボディをスイープしたくなるが、できない。
対策:ない。ないったらない。俺を信じろ。理由はその4で。
その4:回転押し出しの軸は、スケッチ平面上にしか置けない
もしスケッチ平面上にない軸を指定すると、スケッチ平面に投影した軸を勝手に使う。
3と4が合わさると結果は凶悪で、完全に詰みになり、使うCADソフトを切り替えるしかない。これはFusion 360では「できないこと」なのだ。
対策:ない。ないったらない。俺を信じろ。
その5:"The model is using cached geometry to solve. Please reselect reference geometry for failed features in the timeline."は修正できない
対策:Fusion 360を窓から投げ捨てる。
その6:平面(construction plane)の原点は指定できない
「絶対にバグだとは認めないし直さないでござる」のパターン。GoogleはAndroidのAndroid not showing files in MTP until device rebootで、8年間このプレイを続けたことで名高い。
対策:できないものという前提で組み立てる。
その7:デカール操作のAPIはバグによりダイレクトモデリングモードで動かない
I am afraid to say Decal functionality is not exposed through Fusion API.
対策:ない。Fusion 360を窓から投げ捨てる。
2024年10月のアップデートでデカールのAPIがついた。パラメトリックモデリングモードでは機能するが、ダイレクトモデリングモードでは RuntimeError: 2 : InternalValidationError : timelineObj
という例外を吐いて落ちる。
参照:Decal API in direct modeling mode raises "RuntimeError: 2 : InternalValidationError : timelineObj"
さらに意味不明なバグがある。
リブランディングの件と合わせて、Autodesk Fusion 360の将来性が不安になってくる。
その9:BodiesのグループはAPIから操作できない
Feature Request? : API for creating and managing "Group"s in browser
対策:アトリビュートを使う