3
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

AIに情報収集を任せすぎると人間は腐るって話。

Last updated at Posted at 2024-08-13

「今年のオリンピック、あんまり盛り上がってなくない?」

弟からそんな話をされて、あぁ、ついにこの時が来てしまったのかと思いましたね。


--


オリンピックがクソ熱いです。
こんなこと、誰が言わなくてもわかります。

テレビをつければ昼夜問わず特集がくまれ、新聞には毎日のようにメダルを獲得した選手たちのかがやかしい結果が紹介されています。
(この記事を書いているのは2024/08/10です。)


しかし、私のX(旧Twitter)には、まったく別の世界が広がっています。

その世界では、スプラトゥーンのスーパープレーや面白い動画、ブログ仲間の収益化報告、意識の高いビジネスアカウントのポエムばかりが流れています。それだけで構成されたタイムラインです。そう、オリンピックの話題はいっさいありません。

テレビや新聞では連日オリンピックが話題になっているのに、私のXではオリンピックの話題が1つも流れてこないんです。Xだけを見ていると「そもそもオリンピックなんてやってたんだ?」と思ってしまうレベルです。


はて、これは一体どういうことなのでしょうか?


AIは自分の興味のある情報しか表示しない

AI(人工知能)は、私たちの生活を大きくかえました。特に、私たちが日々目にする情報はAIによって選ばれ、提供されるようになっています。ニュース、SNSの投稿、商品のおススメ、すべてが私たちの好みや過去の行動にもとづいてカスタマイズされています。

この便利さのおかげで、私たちは簡単に情報にアクセスでき、興味のある内容を効率よくえることができます。しかし、この便利さには、見すごしてはならない問題が隠れています。

それは、私たち自身が情報を選ぶ機会が減っていることです。


私たちは情報を能動的に探しに行く必要が少なくなりました。以前は、新聞や書籍、テレビ番組を自分でえらび、さまざまな視点や意見にふれることができました。私たちは次第に自分でかんがえ、判断する力を失うおそれがあります。

また、新しい視点や異なる意見に触れる機会が減ることで、私たちの知識や思考は偏りがちです。

この現象は「フィルターバブル」と呼ばれ、私たちの視野を狭くしてしまい、自分の考えが常に正しいと錯覚してしまう危険性があります。


なかには「人間はすでにAIにコントロールされているんだ」と感じている人もいるでしょう。AIが提供する情報だけを信じ、何も考えずにその情報を摂取するだけでは、私たちは狭い世界に閉じ込められていると言えるでしょう。

このような状態で生きることが、果たして「人間らしい」といえるのでしょうか?とらえようによっては少しホラーな話ですが、皆さんはどう思われますでしょうか。


Xでは特に情報が偏る

話は冒頭へ、私のX(旧Twitter)で表示される情報に戻ります。

実は、私のタイムラインこそが、AIがもたらす「フィルターバブル」の典型的な例です。私がいつもどんな投稿に反応し、どんなアカウントをフォローしているかによって、Xのアルゴリズムが私に「最適な」コンテンツを提供しているのです。

過去の私が、スプラトゥーンの動画や、ブログ仲間とのコミュニケーションをしているため、アルゴリズムが「このアカウントは、こういうのが好きなんだな!」と判断し、表示される内容がどんどん偏ってきているのです。


ちなみに、Xは2023年4月にアルゴリズムを公開しています。
出典:X. “Twitter's Recommendation Algorithm”(2023/03/31) - https://blog.x.com/engineering/en_us/topics/open-source/2023/twitter-recommendation-algorithm

次のように書かれています。(日本語訳)

Twitter には、ユーザーの最近の関連ツイートを取得するために使用する候補ソースがいくつかあります。リクエストごとに、これらのソースを通じて何億ものツイートの中から最適な 1,500 件のツイートを抽出しようとします。フォローしている人 (ネットワーク内) とフォローしていない人 (ネットワーク外) から候補を見つけます。

~中略~

私たちの最初のアプローチは、あなたがフォローしている人々や同様の興味を持つ人々のエンゲージメントを分析して、何が関連性があるかを推定することです。

要するに、私や私がフォローしている人々が「いいね!」やリポストしたポストを優先的に表示する仕組みになっているのです。これにより、私のXには私の好きなコンテンツだけが表示されるようになっています。


「なんだそれ、Xってそんなことになってるの?」と思ったかたもいると思うのですが、冷静に考えてみるとそりゃそうって話です。だって、Xの目的は「私に幅広く、正しい情報を提供すること」ではなく、アプリに長く滞在させて広告収入を増やすことなんですから。


実際、Xはユーザーをアプリに長く留めることを目的としており、例えば、外部リンクを含むポストの表示回数を極端に減らしたり、コミュニケーションの活発なアカウントを優遇してポストの表示回数を増やしたりしています。

また、Xのタイムラインには定期的に広告が表示されるようになり、最近ではリプライ欄にも広告が表示されるようになりました。普段あまり意識しないかもしれませんが、実際には多くの広告が表示されており、その広告すらもアルゴリズムによって選ばれています。


日常的にAIにコントロールされているもの

最近の私は、AIがオススメしてくれた情報だけを見て「ぶふっ、面白い!」と笑っては、何もポストせずにXを閉じる日々を過ごしています。オリンピックが始まっていることに気づいたのは、はじまってから2日後、しかも妻から知らされたときでした。

その瞬間「あぁ、自分はAIにコントロールされてるなー」と感じました。


さて、実は私たち人間はけっこう前からAIにコントロールされています。その代表例がネットショッピングです。

日常で利用するAmazon、楽天、Yahoo!ショッピングなどのオンラインショッピングサイトを思い浮かべてください。Amazonの「あなたへのおススメ」、楽天の「同じ商品を買った人はこちらも購入」、Yahoo!ショッピングの「リアルタイム人気ランキング」───これらはすべてAIが私たちの過去の行動や好みに基づいて提案してくるものです。

これらの機能のせいで、私たちは本当に必要なものに加えて、ついついAIのオススメする商品まで購入してしまうことがよくあります。もちろん、これは非常に便利な機能であり、これを排除しようという意図は全くありません。


暑い季節になると、冷感グッズがオススメとして表示され、私たちは「便利だな」「親切だな」と感じてその商品を購入してきました。このように、すでに私たちはAIによる提案に従って商品を選んでいたのです。


AIにコントロールされるだけの人間は、人間なのか?

「誇張するな!」「大げさ過ぎるだろ」と思う方もいるかもしれませんが、AIが選んだ情報だけを摂取し、その情報に「いいね」を押し、さらにそれを他の人に拡散するだけの人間は、本当に人間と言えるのでしょうか?

もっと突き詰めると、自我を持たず、自分で考えることをしない人間は、果たして人間と言えるのかという問題が浮かび上がってきます。もちろん、どんな状況でも人は人です。しかし、その人らしさはどこにあるのでしょうか?


もし私たちが、自分から積極的に情報を取得しようとしなければ、AIにコントロールされるだけの存在になってしまうでしょう。

もう一度、自分の情報の摂取方法を見直してみる価値があるかもしれません。

ズバリ、今の私たちに求められているのは、自分から情報を収集することと、自分の頭で考える力を持つことです。これは、人間としての思考力を維持し、自分自身を成長させるために不可欠なスキルです。

私たちは、AIにコントロールされるのではなく、AIを上手に利用しながら、自分自身の思考力を磨き続ける必要があります。それこそが、AI時代における真の自己啓発と言えるでしょう。AIが提供する情報に振り回されるのではなく、自ら情報を選び、分析し、判断する力を養うことが大切です。

そう、人間らしさを保つために。


--


「知らない間に、AIにコントロールされている」なんて、SFみたいな話ですが…

これは『小さな芽』なのか。



以上です。

3
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
3
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?